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調子はいかが? 多くの人にとっての健康的な未来

, WFP日本_レポート

国連WFPが改良したかまどは学校の生徒およびコミュニティに加え、地球にもメリットをもたらしています

セネガル北部のマタムにあるアナム・リドゥベ小学校の昼食時間です。近くの食堂からおいしそうな香りが漂ってきて、食堂に集まってきた225人の生徒の期待が高まります。今日は月曜日。メニューはササゲ、チキンと卵です。

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たき火に比べて改良されたかまどは有害な排出物および必要な燃料を減らすことができる。写真:WFP/Senegal
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学校で給食を食べる子どもたち。 写真:WFP/Senegal

この国連WFPの学校給食支援対象校では、子どもたちに栄養価の高いバランスの取れた食事を提供することに重点を置いています。しかし、健康的なのは材料だけではありません。料理を作るためのかまども特別なのです。

「このかまどを説明するための言葉は数多くあります。クリーン、効率的、安全。その時の流行と何を強調したいかによって使用する言葉を選びます」と国連WFPエネルギー・コーディネーターであるラファエル・ベランカは言います。私たちはわかりやすく、「改良された」という言葉を使うことにします。

火急の問題

「私たちが活動を行っている国の多くでは、学校給食などの調理は、たき火の上で行われます」とベランカは続けます。「屋内の場合には、健康に深刻な影響を与えます。それには比較的症状の軽い目の炎症から死にいたる可能性のある肺炎や肺がんが含まれます」

数値は驚くべきものです。たき火の上で調理を行うことが原因で年間4百万人が世界的に早死にしているのです。これはマラリアと結核を合わせた人数より多いです。

ベランカはこう言います。「学校に通う子どもを含む、弱い立場におかれた人たちが適切で栄養のある食事を十分とれるよう、私たちは苦労を惜しみません。食事を調理する人の健康が害されることのない、かまどの使用は、私たちにとって自然な次のステップです」

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たき火で調理をする人。写真:WFP/Peter Loius

健康への懸念だけでも代替手段が必要になる理由ではありますが、たき火による有害な影響はこれにとどまりません。

まず安全性の問題があります。特に小さい子どもは、火に近寄りすぎることで火傷のリスクが発生します。そのうえ、環境上の問題もあります。

アフリカで最も古い環境保護団体であるNature Kenyaによると、木材および木炭を調理に使用しているケニアの学校は、それぞれが毎年56エーカーの森林の消失をもたらしている可能性があるとのことです。

グアテマラの農村、サン・ミゲル・トゥクルで教師をしているティファニ・フアレスも、それを裏付けます。「私たちの学校では子どもや親が調理のために薪を集めています。毎回、町からより離れたところまで探しに行っています。このあたりでは森林が後退しているのが分かります」

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薪集めは時間がかかり、危険を伴うことの多い作業です。写真:WFP/Rein Skullerud

薪が簡単に入手できない場合、人びとは市場で購入することになります。それは栄養価の高い食料など、他の物に費やすお金が減ることを意味します。改良されたかまどを使用することで同じ量の食料を少ない薪で調理することができ、時間とお金を節約できます。

しかし、これらのかまどには汎用品はありません。理由の1つとして、地元の料理の好みに合っていないといけないのです。例えば「中央アメリカでトルティーヤを調理するためのかまどは、アジアの炒め物を調理するのには向いていません」とベランカは言います。

利便性もまた重要な要素です。ベランカによると「改良されたかまどを使用するために今までと違ったことをしなければならない場合には、かまどは使われません」

歓迎される、その他の効果

よりクリーンで効率的で便利なかまどは、家事に時間の大半を費やす女性の生活に大きな影響をもたらします。

「女性は、薪を集め、火の番をし、料理をして煤で汚れた台所の壁と調理器具をきれいにすると、その他の意義のあることを行うことや意思決定に参加する時間はほとんど残されていません」とベランカは言います。

「洗濯機や、その他の技術的革新と同様に、改良されたかまどは女性が力を得ることに多大な影響を及ぼします」ベランカによると、学校はコミュニティがかまどを導入する入口になるといいます。健康を増進し、それぞれの家庭に経済的・環境的利益をもたらすことになります。

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ブルンジの学校にあるのと同じような改良されたかまどは炭素排出量を減らすことにもつながります。写真:WFP/Raffaella Bellanca

また、個別のコミュニティを超える、さらなる環境上の利益があります。効率の向上は炭素排出量を減らすことができるのです。より良いかまどによってより高い排出量の削減ができます。

「カーボンオフセットを使用し、炭素排出量を収益化することで、さらなる資金を得て支援を維持し拡大することができます」国連WFPはシステムを構築するために世界銀行と組んでいます。

「カーボンオフセットの仕組みでは排出量の削減を数値化する必要があるため、エンドユーザーとの係わりが必要です。その点で学校は理想的です。国連WFPはすでに学校とは継続的な関係を構築しており、食料のデータを集めるとともに、排出量のデータも容易に集めることができます」

マタムでは給食の調理師が当然の権利である休憩をとっています。子どもたちに食事を与え、地球環境の改善に貢献をしたばかりなのです。