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飢餓と栄養不良の撲滅に向けた6つの解決策:国連WFP、G7広島サミットの首脳に呼びかけ

紛争、経済ショック、気候危機、肥料価格の高騰により、かつてないほどの食料危機が発生し、悪化しています。
, WFP Editorial Team
気候ハザードにより食料が確保できなくなるリスクに対処できるよう注意喚起する一連の早期警報プログラムに基づき、エチオピアのソマリ州ダナン・ケベレの女性たちに重要な情報を伝える地域担当者。Women in Danan kebele, receiving an early warning information by community advocates in Somali Region of Ethiopia as part of an integrated early warning program to help manage the risks posed by climate hazards to food security. Photo: WFP/Michael Tewelde
気候ハザードにより食料が確保できなくなるリスクに対処できるよう注意喚起する一連の早期警報プログラムに基づき、エチオピアのソマリ州ダナン・ケベレの女性たちに重要な情報を伝える地域担当者。Photo: WFP/Michael Tewelde

「世界中のすべての人を養うのに十分な食料が生産されているのにも関わらず、3億4500万人が飢餓に瀕しています。私はG7各国がこの危機を覆し、世界の食料システムを強化する国際的な取り組みの先頭に立つことを強く求めます。」国連WFPシンディ・マケイン事務局長 


5月19から21日にかけて、世界各国の首脳が広島で開催される主要7か国首脳会議(G7)の場に集うのに合わせ、国連WFPは、非常に多くの地域が直面している脆弱な状況に対する短期的および長期的な解決策を改めて提唱します。

コンゴ民主共和国のキンシャサにある学校。政府の取り組みを国連WFPが支えています。Photo: WFP/Vincent Tremau
コンゴ民主共和国のキンシャサにある学校。政府の取り組みを国連WFPが支えています。Photo: WFP/Vincent Tremau
国連WFPのG7に対する要請 

世界では、次の食事を得られるあてのない人が8億2800万人にのぼり、34万3000人が「壊滅的」な飢餓状態にあります。(「壊滅的」とは、国際指標である総合的食料安全保障レベル分類 (Integrated Food Security Phase Classification(IPC))において最も深刻な状態(IPC5)を指します。)

命を救い、そして将来にわたり食料、栄養ニーズを自立的に満たせるよう支援するため、速やかな介入と革新的な解決策が必要であり、この他に道はありません。

現在国連WFPは、特に深刻な人道危機に直面するアフガニスタンコンゴ民主共和国ハイチスーダンシリアイエメンで高まるニーズに対応し、人々を窮地から救い出すため、飢餓撲滅に向けた長期的な解決策も視野に入れつつ、休みなく活動しています。

半月状の堤により痩せた土壌を回復させるプロジェクト。エチオピアのソマリ州のゴデ近郊。紛争が起きている国では、緊急食料支援の他、地力回復プロジェクトなど様々な取り組みを通して、強い地域づくりを支援しています。Photo:WFP/Michael TeweldeA half-moon land rehabilitation project near Gode, in Ethiopia's Somali region. In conflict-ridden countries, WFP combines emergency food assistance with land rehabilitation and other programmes to build resilience in the longer-term. Photo: WFP/Michael Tewelde
半月状の堤により痩せた土壌を回復させるプロジェクト。エチオピアのソマリ州のゴデ近郊。紛争が起きている国では、緊急食料支援の他、地力回復プロジェクトなど様々な取り組みを通して、強い地域づくりを支援しています。Photo:WFP/Michael Tewelde

穀物と肥料の世界2大輸出国であるロシアとウクライナの戦争が2年目に入り、黒海穀物イニシアチブが危機的状況に陥っています。その影響は世界中に波及し、状況改善の見通しは立っていません。

2022年、国連WFPの資金の8割近くがG7とEUからの支援によるものでした。状況が差し迫る中、私たちはこの決意をさらに先に進めていく必要があります。すべての人にとって公平で平和で持続的な未来を構築するため、G7各国の首脳が国際食料安全保障と、世界中の数百万の人々の生活の改善に向けた戦略的開発の促進に取り組むよう求めます。

国連WFPは、G7各国の首脳に対する要請において、大きく以下の2つの領域で各解決策に取り組むよう求めます。

速やかなインパクト

戦略的な資金提供の拡大

世界ではすべての人を養うのに十分な食料が生産されていますが、飢餓は今も続いています。政府間で協議を行い、各国の保有する専門技術や資源を互いに活用し弱点を補完し合うことが重要です。食料支援は、急激な飢餓や栄養不良を防ぐために欠かせない取り組みですが、短期的な解決策であり高いコストが伴います。食料支援は、開発や持続可能な農業の拡大に対するより長期的な投資と両輪で進めることが重要です。

ニジェール:何百万個もの半月堤が国連WFPの支援で作られています。雨水の貯水、帯水層への水の補給、農業生産性の向上の要となります。Photo: WFP/Evelyn FeyNiger: millions of half-moons have been built with WFP's support. They're key for harvesting water, refilling underground aquifers and increasing agricultural productivity. Photo: WFP/Evelyn Fey
ニジェール:何百万個もの半月堤が国連WFPの支援で作られています。雨水の貯水、帯水層への水の補給、農業生産性の向上の要となります。Photo: WFP/Evelyn Fey

取引の促進

主要な穀物や肥料の供給網の断絶といった課題と気候危機が重なり、数十年にわたる開発の成果が損なわれ、世界は飢餓の撲滅からさらに遠ざかりつつあります。国連WFPは特に、ウクライナからの穀物輸出経路を確保する黒海穀物イニシアチブの継続を世界各国の首脳に求めます。

気候対策

各国政府は、気候が食料生産に与える影響を緩和するための早期警報システムに投資し、国連WFPが様々な官民団体と協力して進める、気候ショックの予測、影響緩和、速やかな復旧のための気候リスク助成プログラムを支援することが重要です。

転機をもたらすインパクト

長期的なレジリエンス構築に向けた投資の拡大

世界の食料の3分の1近くが小規模農家により生産されており、国際社会は、このような農家が種や肥料、技術的知識といった必要な資源を入手できるようにし、同時に小規模農家向けの学校プログラムの促進や、次の時代を担う農家のための国による教育、保護、ソーシャルセーフティーネットの強化に取り組む必要があります。

バングラデシュのコックスバザールに住むジュミさんは、オンライントレーニングを受講しており、国連WFPが支援するオンラインポータルから教育コースにアクセスしています。Photo: WFP/Sayed Asid Mahmoud
バングラデシュのコックスバザールに住むジュミさんは、オンライントレーニングを受講しており、国連WFPが支援するオンラインポータルから教育コースにアクセスしています。Photo: WFP/Sayed Asid Mahmoud

協働の促進

G7には、国連WFPの活動を支えることのできる資源や技術があり、各国政府による戦略的開発の解決策の構築を推進、支援することが可能です。国連WFPは、G7各国がパートナー国や同盟国にも支援を呼びかけ、解決策や専門技術を有する民間団体を巻き込み、国連WFPや各国政府、気候変動や紛争に苦しむ国と協力し、足並みを揃えて行動し革新を進め、食料と栄養の安全保障に向けて取り組むよう求めます。

グアテマラ:プラン・デ・ジョコート地区の女性たちは、国連WFPの災害に強い地域づくりの取り組みの一環として、干ばつに強い作物を育て、乾季に備えています。Photo: WFP/Giulio d'Adamo.
グアテマラ:プラン・デ・ジョコート地区の女性たちは、国連WFPの災害に強い地域づくりの取り組みの一環として、干ばつに強い作物を育て、乾季に備えています。Photo: WFP/Giulio d'Adamo.

平和への取り組み

紛争や情勢不安は飢餓の最大の原因の一つです。飢餓のない世界を実現するため、政治的意志と紛争解決が極めて重要です。G7首脳と国際社会は、食料安全保障の問題だけでなく、紛争の解決、平和に向けた対話の促進、国連WFPが資金の大半を投じて人道支援を行っている人々の置かれた長引く危機的状況の解決に取り組む必要があります。

国連世界食糧計画の新事務局長に就任したシンディ・マケインは昨年11月、ローマを拠点とする国連機関の米国常駐代表(当時)として、ラオス人民民主共和国のパークセー郡で国連WFPが支援する学校給食プロジェクトを視察しました。Photo: WFP/Lee Sipaseuth
国連世界食糧計画の新事務局長に就任したシンディ・マケインは昨年11月、ローマを拠点とする国連機関の米国常駐代表(当時)として、ラオス人民民主共和国のパークセー郡で国連WFPが支援する学校給食プロジェクトを視察しました。Photo: WFP/Lee Sipaseuth
G7が世界の支えに

広島で開催されるG7サミットでは、各国首脳が協調して、より強く公平で持続的な未来に向けたアジェンダを策定できるかどうかに注目が集まっています。世界で最も裕福な国による支援、そして他の国にも継続的な固い決意を呼びかけていく政治的意志がなければ、飢餓を撲滅することはできません。

飢餓と栄養不良のない未来を実現するため、今こそ連携し、断固とした行動を起こす時です。

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