国連WFP:私たちを突き動かす価値
人道原則
国連WFPのすべての人道的活動は、人道性、公平性、中立性、独立性という核となる人道原則に裏打ちされています。このような信条があることで、国籍、人種、宗教、階級、政治的見解、地位、場所にかかわらず、命を救うための支援が支援をもっとも必要とする人々に確実に届くように活動することができます。
国連WFPの活動のあり方は、紛争が活発な地域で多く見られる複雑で脆く不安定な環境での活動も含め、この人道原則に支えられています。人道原則は、職員の安全を確保しながら、国連WFPとパートナーがもっとも弱い立場にある人々に確実に支援を届ける際の指針を示します。
人道原則とは、次から成り立っています。
人道性:困窮する人を見つけたら必ず手を差し伸べること。人道的な行動とは、生命と健康を守り、人間を尊重するものでなくてはならない。
中立性:人道的活動を行う者は、敵意を持っていずれかの側についてはならない。また、政治、人種、宗教、イデオロギーに関する議論に関わってはならない。
公平性:人道的活動とは、ニーズのみを基盤としなくてはならず、国籍、人種、性別、宗教的信条、階級、政治的見解を考慮することなく、もっとも緊急性を有するケースを優先しなくてはならない。
独立性:人道的活動とは、関係者による政治的、経済的、軍事的目的から切り離されたものでなくてはならない。
持続可能性と回復力
不安定で荒廃が進んだ環境下では食料難に陥りやすく、そうした状況では、災害や、社会に衝撃や危機をもたらす事象が頻繁に起こります。世界の農地全体の約4分の1は荒廃しており、アフリカの3分の2の人々が荒廃した土地で暮らしていると推定されます。
国連WFPは、命を救う活動のほかに人生を変える活動も行っており、不安定な環境の根底にある脆弱性に取り組むとともに、栄養状態を改善し、食料安全保障を強化する回復力の構築を支援しています。国連WFPのリスク情報をもとにした総合プログラムは、各政府と連携しながら、脆弱性の根本原因に対処することで、家族や地域社会が食料を手に入れられるように支援します。活動は、地域社会と家族の自立支援、小規模農家の支援、気候リスク管理、気候変動への対応に分けられ、国連WFPとパートナーは、食料難にある人々が生活を自ら改善し、自己修復力と、頻発する衝撃に強く迅速に回復できる力を構築できるように支援しています。
早期警報システム、気候ショックの影響に対処する事前行動、天然資源の持続可能な管理などのプログラムは、危機にもっとも陥りやすい人々が、現在の生活のニーズを満たし、将来世代のために資源を確保できるようにするものです。現在、私たちは世界的な食料危機に直面しています。世界の120カ国以上で展開されている国連WFPの活動は、食料支援を通じて人命を助け、人生を変えています。
食料の安全と品質
健康的で栄養のある食料を届けることは、国連WFPにとっての最優先事項です。国連WFPは、最高の食料の安全と品質という基準を自らに課し、購入から輸送までのサプライチェーンの各段階でチェックをしています。
国連WFPの専門家は、国連WFPの現在または今後供給されるすべての食料が満たさなくてはならない90を超える食料の詳細と要件を確認し、評価します。食料の安全と品質基準が満たされているか確認するため、提供されるすべての食料に対して15個の必須テストが行われます。
食料安全の問題では、国連WFPが、調査と品質管理を迅速かつ総合的に行えるように、報告のための強固な構造とメカニズムを設置することもあります。これには、組織の全レベルでの食料インシデント管理(Food Incident Management:FIM)委員会の設置も含まれます。
透明性と説明責任
国連WFPの活動が成功するための重要な鍵は、寄付者、パートナー、支援者からの信頼です。政府関係機関や一般国民との情報共有においては、国連WFPが国連の代表であり、国連WFPは、継続的に効果と効率をあげています。国連WFPは、一般公開されているウェブサイトや、各国政府がアクセスできるWFP執行理事会のサイトなど、さまざまなチャンネルを通じて、多量の情報を共有しています。
効率性
紛争、気候機器、コロナによるパンデミックの影響、価格高騰によって、世界が未曽有の飢餓の淵にある今日、国連WFPは、1ドルでも最大限に生かさなくてはなりません。国連WFPでは、データプラットフォームを使用して、活動を最適化するとともに、ニーズ、対象となる人々と彼らに送られ現金の有用性、食料在庫の場所、予算業績をリアルタイムで確認しています。過去5年間では、業務プロセスを簡素化して、世界および地域の「人件費」を総費用の6.5%まで削減しました。
最高の行動基準
国連WFPは、すべてのスタッフが最高の行動基準と誠実性を維持することを期待し、求めます。国連WFPのスタッフは、全員が国連憲章の原則に自ら従うとともに、契約によって従う必要があります。また、基本的人権、尊厳、すべての人々の価値と疑う余地のない平等な権利を、個人としても専門家としても常に尊重しなくてはなりません。このような原則が、支援を必要とする弱い立場にある人々と地域社会に誠実性をもって手を差し伸べるという、国連WFPの注意義務を支えています。国連WFPには、すべてのスタッフを最大の尊厳と尊重をもって扱い、違法行為や不正行為の報告に対処する強固なシステムがあります。国連WFPは、職場環境、ならびに国連WFPスタッフと支援する人々の間における尊重の文化を強く支持しています。