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目をそらすことはできない:紛争、経済崩壊、新型コロナウイルスがイエメンを飢きんの淵に追い詰めている

ニーズの高まりを受け、国連WFPは緊急の財政支援とスムーズな人道的アクセスを求め活動しています
, Simona Beltrami and Annabel Symington

アラファトはサナアの通りで手押し車を押し、妻と4人の子どもたちが待つ間借りした部屋に戻ります。以前は紅海沿岸のホデイダで倉庫作業員をしていたアラファトは、紛争が港町を巻き込み、職を失ったために首都に逃げてきました。

彼はいくつかの仕事をしていますが、彼の収入は6人家族には十分ではありません。彼が手押し車で運んでいる食料は国連WFPからの配給品(小麦粉、乾燥豆、油、砂糖、塩)であり、これが彼らを飢えから救っているのです。しかし、イエメンの他の多くの人々と同様に、アラファトは現在、毎月ではなく隔月で支援を受けています。

 

アラファトだけではなく、イエメン全体が崖っぷちに立たされています。紛争は過去最悪の状態にあり、40の異なる戦線で戦闘が激化し、多数の死者と数千人の避難民を生み、経済は崩壊寸前にあります。イエメンは今まさに、飢きんに苦しんだ2018年の状態に引き戻される瀬戸際にあります。

 

今日の状況はさらに悪化しています。現地通貨であるリヤルの価値は過去最低の水準に達し、外貨準備はほぼ枯渇しているため、主要な食料の輸入は間もなく途絶えることになります。食料品の値段が急騰し、価格は現在、紛争前のレベルと比較して140%高くなっています。植物油や豆類などの主食の価格は、過去8か月だけで50%近く上昇しています。

その結果、適切な食事をとることのできない人々が増え続けています。戦線が日々移動しているため、国内の一部の地域ではアクセスが非常に困難になり、人道支援組織は最も支援を必要としている人々に手を差し伸べることができない状態です。

アラファトの末息子であるスルタンは、重度の急性栄養失調の治療を受けなければなりませんでした。Photo: WFP/Mohammed Awadh
アラファトの末息子であるスルタンは、重度の急性栄養失調の治療を受けなければなりませんでした。Photo: WFP/Mohammed Awadh

一方、国連WFPは資金不足が深刻なため、一部の地域で食料支援の削減を余儀なくされており、さらなる削減は避けられない状況です。

 

新型コロナウイルスの大流行は、この悲惨な状況をさらに悪化させています。5年間の紛争で医療システムは崩壊状態となり、イエメンは新型コロナウイルスによる死亡率が世界で最も高くなりました。また多くの家庭では、海外、特に湾岸地域の親戚からの送金収入を失い、仕事を見つけるのにも苦労しています。

 

健康な成長に不可欠な栄養価の高い食事をとることのできない子どもたちは、深刻化する人道的危機の中で最悪の事態に直面しています。アラファトの2人の男の子と2人の女の子も例外ではありません。彼の末っ子であるスルタンは重度の急性栄養失調と診断されました。

イエメンの子どもたちのほぼ半数が栄養失調の結果として発育不全になっています。 Photo: WFP/Mohammed Awadh
イエメンの子どもたちのほぼ半数が栄養失調の結果として発育不全になっています。 Photo: WFP/Mohammed Awadh

「スルタンは生まれた時から、とても弱っていました。母乳育児で良くなると思っていましたが、なかなか良くなりませんでした」とアラファトの妻、オム・スルタンは言います。

「スルタンを最寄りの保健所に連れて行ったところ、医者から栄養失調だといわれました。スルタンが死んでしまうかもしれないと思うと、私は胸が張り裂けそうになりました。母親が子どもを失うことを恐れないわけがありません」と彼女は続けます。

 

「子どもたちがお腹いっぱい食べることができるのならば、私は何でもやります」

支援された補助食品のおかげで、スルタンは体重が増え始め、以前よりも元気になってきました。しかし、彼にはまだ治療が必要です。イエメンの子どもたちの半数近くが発育不全に陥っており、彼らの身体的・精神的な発達は栄養不良によって不可逆的な影響を受けました。約200万人の子どもたちが栄養面での支援を必要とし、そのうち36万人が治療を受けなければ命を落とす危険にさらされています。

 

「子どもたちがお腹いっぱい食べることができるのならば、私は何でもやります」とオム・スルタンは言います。家族は朝と一日の終わりに1回食事をしますが、食事の種類はほとんど毎日同じです。

「最後に鶏肉を食べたのは約1か月前です。鶏肉は非常に高価で、同じ量で2食分の材料や、スルタンのおむつなどの重要なものを購入できるため、どうしても後回しになってしまいます」と彼女は言います。

オム・スルタンは、栄養失調で子どもを失うのではないかと心配していました。360,000人のイエメンの子どもたちは、治療を受けないと命を落とす危機にさらされています。 Photo:WFP/Mohammed Awadh
オム・スルタンは、栄養失調で子どもを失うのではないかと心配していました。360,000人のイエメンの子どもたちは、治療を受けないと命を落とす危機にさらされています。 Photo:WFP/Mohammed Awadh

アラファトの家族のように、イエメンの3,000万人の人口の3分の2は満足な食事をとることができません。

 

「イエメンでのニーズは、紛争、経済危機、新型コロナウイルスの猛威により、これまでにないほど高まっていますが、国内の人道的活動への支援は低迷しています」と、国連WFPイエメン事務所代表のローラン・ブケラは言います。同国での活動を支えるために、国連WFPは月平均2億ドルを必要としていますが、2020年には必要とされていた資金の半分しか得られなかったため、食料支援の削減が行われました。

 

「得られた資金でできる限りのことをしていますが、それだけでは十分ではありません。人々が一歩ずつ死の淵に近づく中で、手をこまねいて何も行動を起こさないわけにはいきません」。ブケラは、財政的な支援だけでなく、国中の人道的組織が安全で支障のないアクセスを確保するための政治的な努力を求めています。