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スーダンにおける小麦バリューチェーン強化事業でJICAと協働

国連世界食糧計画(WFP)は21日、国際協力機構(JICA)とスーダンにおける「小麦バリューチェーン強化計画」を共同で実施することに合意しました。この事業は、耐乾性品種を含む小麦種子及び肥料の配布、及び小麦の生産と貯蔵管理の改善等を通じて、スーダン産小麦の市場での競争力を高めるだけでなく、品質の良い小麦の流通を促進することで、国内避難民や受け入れコミュニティの住民など、脆弱な消費者が小麦を手ごろな価格で入手できるようにすることを目的にしています。外務省から約2年にわたり国際機関連携無償9億5100万円の拠出を受けて実施される予定です。

梁瀬直樹JICAアフリカ部長と津村康博WFP日本事務所代表による署名式

 

2023年の民政移管を進める過程での武力衝突発生前、スーダンの小麦消費量の8割近くが輸入小麦に依存していました。現地生産量を増やす努力をしていたにも関わらず、現地での加工・貯蔵時のポストハーベスト・ロス(農作物が収穫された後、消費者に届くまでの間に発生する損失)が課題となっていました。現在も紛争が続くスーダンにおいて、国内の食料生産を支援し、生産された作物を確実に消費に繋げるための支援は、スーダンの食料安全保障の持続的な確立につながるものです。


事業の第一の柱は、JICA「地球規模課題対応国際科学技術協力プログラム(SATREPS)」の成果を活用した耐乾性小麦品種の増産と品質向上の支援です。そして第二に、スーダン産小麦粉の生産量の向上を可能にするための、小麦収穫後に廃棄されるポストハーベスト・ロスを防ぐ支援です。この支援は、スーダンの女性支援にも繋がっています。具体的には、農業普及員の半数を女性とする、あるいは女性が主導する運営委員会を組織するなど、女性の活躍が可能な場を小麦バリューチェーンに組み込む計画です。
 

スーダンでの食料安全保障の向上のためには、小麦の生産性向上と共に、作物収穫後の管理、貯蔵、加工、輸送における支援が不可欠です。本事業の直接の支援対象は37,000人以上の農家です。スーダンにおける持続的な小麦生産と安定供給の強化、小規模農家所得の増加、そして国全体の食料安全保障の向上を目指し、包括的に支援していきます。