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人道支援活動への資金が減少する中、国連世界食糧計画(WFP)は西アフリカの厳しいリーンシーズンに対処するための大規模な対策を開始

Photo: WFP/Evelyn Fey
ダカール – 国連世界食糧計画(WFP)は西アフリカと中部アフリカで、毎年6月から8月に訪れるリーンシーズン(1年で食料が最も不足する収穫前の時期)に、730万人を対象に命を守るための食料および栄養支援を強化します。このプログラムはブルキナファソ、カメルーン、中央アフリカ共和国、チャド、マリ、モーリタニア、ニジェールおよびナイジェリアで6月に開始され、各国政府のリーンシーズン対応計画を支援するものです。

国連WFPの支援対象者の数は、十分な資金があれば1,200万人まで拡大する可能性があります。しかし、昨今の人道支援活動への資金減少により、記録的に高いニーズに直面しているにも関わらず、国連WFPは当初計画よりも支援対象者数を減らして活動せざるを得ない状況です。

西アフリカおよび中部アフリカは、深刻な食料安全保障と栄養の危機に直面しており、6月から8月には約5,500万人が急性の飢餓に直面すると予測されています。これは2019年に記録した1,260万人の約4倍に相当します。栄養不良も異常なほど悪化しており、推定1,700万人の5歳未満の子どもが急性の栄養不良に陥っています。

「深刻な食料不足は、最も脆弱な状況にある家族への緊急の食料確保だけでなく、彼らがより明るい未来を築くための変革的な解決策を推進することも急務であることを示しています」と、国連WFP西アフリカ地域局のクリス・ニコイ局長は述べています。

「最も支援を必要としている人々のために、緊急対応を優先し続ける必要があります。しかし一方で、食料安全保障の強化や、農業の生産性向上、家族の購買力強化、気候変動から受ける経済的ショックへの緩和策など、持続的な解決策への投資を増加させる必要があります」と付け加えます。

西アフリカおよび中部アフリカの飢餓と栄養の危機は、紛争、食料価格の高騰、そして気候変動から受ける甚大な影響が複合的に絡まって引き起こされています。市場の混乱に起因する経済的ショック、インフレーション、経済活動の低下、国内通貨価値の下落、燃料や農業資材のコスト高などが、多くの人々に影響を及ぼしています。特に、ナイジェリア、ガーナ、シエラレオネでその影響が顕著です。

国連WFPのリーンシーズン対応は、急性の飢餓に直面している人々に、直ちに食料や栄養支援を届けることを目的にしています。対象者は難民や、最も脆弱な避難民、深刻な食料不安に直面している人、気候変動や経済的ショック、紛争による安全保障の危機により深刻な影響を受けている人々を含みます。

この危機が、その規模や頻度、そして複雑さを増す一方で、それに対応できるだけの資金が追いついていません。その結果、最も緊急に支援を必要としている人々さえも、支援を受けることができずにいます。そのため食料不安に直面している何百万もの家族が、来年にはさらに深刻なレベルの飢餓に陥るリスクがあります。

特に懸念されるのは、今年、各所で深刻な日照りと洪水が予測されていることです。これが農業や畜産の生産に影響を与え、次のリーンシーズンを長引かせ、被災地域の脆弱性をさらに悪化させる可能性があります。

ニコイ局長は「人道的なニーズの増加は、現在の資金レベルをはるかに超えています。この負のサイクルから抜け出す唯一の方法は、持続的な解決策も優先することです」と主張しました。

西アフリカおよび中部アフリカでは、国連WFPは長期的で変革的な飢餓への対応を推進してきました。包括的な食料システムへの投資や生活保護を通じて、コミュニティーのショックに対するレジリエンスを高める政府システムの強化に取り組んでいます。2018年以来、国連WFPはサヘル地域全体で統合的なレジリエンス強化プログラムを実施してきました。それにより、荒廃した土地を再生させて食料や飼料が生産できるようにし、子どもたちの教育を支援し、食料アクセスを改善して人々の収入を増加させました。

このプログラムはブルキナファソ、チャド、マリ、モーリタニア、ニジェールの約290,000ヘクタールの土地を回復させ、3,000以上の村に住む400万人以上の人々のレジリエンスを構築してきました。水資源の有効な管理と、荒廃した土地の再生を通じて学校給食や栄養支援、そして小規模農家の支援と結びつけています。

また繰り返し起こる様々なショックにも関わらず、国連WFPの支援を受けた家族は日常的に食事をとれるようになり、頻度も、口にする食べ物の種類も増えました。2022年と2023年には、ニジェールで最も食料不安の高い地域にある村々の83%(56万人の居住者がいる)で、政府によるリーンシーズン対応対象として優先されましたが、人道支援を必要としなかったために政府の対応計画の5,400万米ドルが節約されました。

チャドでは、国連WFPとパートナーは、政府の「1家族、1ヘクタール」というイニシアティブを支援しています。これは土地や生計手段へのアクセスを通じて、50万人の地域住民と難民を支援することを目的にしていて、毎日を生きるための食料を得ながら、より明るい未来の計画を立てられるようにするものです。

人道的対応だけでは財政的に持続可能ではなく、飢餓と栄養不良の根本原因に対処することができません。貧困に苦しむ家族の購買力を強化する生活保護制度をタイムリーに実施するなど、このようなイニシアティブを優先して拡大する必要があります。

 

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国連世界食糧計画(WFP)は世界最大の人道支援組織であり、緊急時に命を救い、食料支援を通して、紛争や災害、気候変動の影響から立ち直りつつある人びとのために平和、安定、繁栄への道筋を構築しています。

 

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富田 絵理葉 eriha.tomita@wfp.org

田中 理子  satoko.tanaka@wfp.org

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