UNHCRおよび国連WFPのトップがイラク訪問 シリア難民の受け入れに謝意を表明
2013年8月27日
(このプレスリリースは国連WFPおよびUNHCRが合同で発表したものです。)
バグダッド発
難民の保護を行う国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)および食糧支援を行うWFP 国連世界食糧計画(国連WFP)という2国連機関のトップが27日、イラクの首都・バグダッドを訪問しました。イラクでは、クルド人自治区に避難してくるシリア難民が日に日に増えています。
イラクは自国内に大きな治安問題を抱え、110万人もの国内避難民が発生していますが、20万人のシリア難民を受け入れています。この2週間だけで4万6千人のシリア人が国境を越え、イラクに逃れてきました。
アントニオ・グテーレス国連難民高等弁務官とアーサリン・カズン国連WFP事務局長は、イラクが逃れてきたシリア難民を受け入れ、基本的ニーズを満たすため国連機関と協働していることに対し、謝意を述べました。
「紛争は泥沼化しており、シリアは深淵の側に立っているような状況だと言えましょう。シリアの紛争は、近年に例を見ない人道上の災難をもたらしました。戦争に襲われた国において、人々にとって何よりも重要なのは国境が開放されているということです。」とグテーレス高等弁務官は述べ、避難を余儀なくされたすべてのシリア人に対し入国を保障するよう、シリアの周辺諸国に要請しました。
カズン国連WFP事務局長は、「もう充分です。今こそ世界は一丸となり、暴力を終わらせ、回復への道を歩めるようにしなければなりません。シリアの子どもたちに対し、今日、生活に必要なものを提供するだけではなく、明日への希望をどうもたらせるか、それは私たちにかかっているのです。」と述べました。
二人はイラクの外務大臣や避難・移住担当大臣など、高官らと会談しました。高官らは、増え続ける難民に必要な支援を提供することに際しての懸念を表明するとともに、治安上の問題や、紛争の拡大についての不安も述べました。
シリアでの紛争は勢いを増す一方です。人道支援のコストは膨らみ続け、活動資金は不足しています。二人は各国のドナーに謝意を示しつつ、増え続けるイラクのシリア難民を支援するためにはさらなる資金が必要であると述べ、ドナーの理解を求めました。
グテーレス高等弁務官は、本日、イラクからUNHCRの活動に対して1千万米ドルの支援が表明されたこと、また日頃から大きなサポートがあることに対し、感謝の言葉を述べました。
また二人は、何万人もの難民が押し寄せることで、難民が住む地域のコミュニティーには大きなストレスがかかると言及し、受入れ地域のコミュニティーには開発機関などを積極的に導入し、インフラの増強や負担の軽減を図ることを約束しました。
カズン国連WFP事務局長はまた、イラクでは主に食糧引換券を配る形で食糧支援を行っていると述べました。この仕組みでは、難民が地元の商店で食料品を購入することができます。
カズン事務局長は、「国連WFPの食糧配給券により、難民は売られている食品を買うことができます。そうして地元経済の活性化に貢献し、その地域の人々により歓迎されていると感じることができます。」と述べました。カズン事務局長によれば、イラクのクルド人自治区では食品は物理的には十分あるものの、難民は人道支援なくしては食品を手に入れる術を持たない状況です。
グテーレス高等弁務官とカズン事務局長は28日、シリア難民が多く住むイラク北部を訪れる予定です。