ソマリアにおける干ばつの緊急事態
モガディシュ ― 国連機関は本日、ソマリアでは、何百万人もの人が飢きんに陥る危険にさらされていると警告しました。ソマリアでは長引く干ばつで生命と生計が破壊され、高まるニーズに対して支援のための資金が追い付いていません。
国連食糧農業機関(FAO)、国連人道問題調整事務所(OCHA)、国連児童基金(UNICEF)、国連世界食糧計画(国連WFP)は、ソマリアにおける命を救う支援活動を拡大できるよう、資金提供を呼びかけています。このたび発表された、総合的食料安全保障レベル分類(IPC)報告書では、ソマリアの人口の約40%に当たる600万人が現在、極度の食料不安に直面しており、国内の6つの地域が飢きん状態に陥る可能性があります。
これは、干ばつとそれに関連する衝撃により、極度の急性食料不安に直面している人びとの数が、年初からほぼ2倍になっていることを示しています。何百万人ものソマリアの人びとが危機への対応能力を失い、資金不足により人道支援者が緊急事態に直面する人びとのニーズに応えることができなくなるなど、人道状況の急速な悪化を反映しています。
「6つの地域で飢きんが発生するという予測は非常に憂慮すべきもので、(前回飢きんに襲われた)2011年以降、本当の意味で『(飢きんを)二度と起こさない』という決意をしていたのであれば、非常に深刻な警告となります。現実には時間がなく、これ以上資金調達が遅れれば、さらに多くの命と生活が失われるでしょう」と国連事務総長特別副代表、常駐・人道調整官のアダム・アブデルムーラは述べています。「ソマリア当局と開発パートナーに対し、確固たる意志を持って行動し、急増するニーズに見合うように支援の資金を拡大し、より多くの人の命と生活を救うよう引き続き求めます。」
人道支援機関は、2022年2月現在、合計で約200万人に人道支援を提供しました。しかしドナーからの資金が決定的に不足しているため、増大するニーズに合わせて支援を維持し、規模を拡大することができません。この資金ギャップに早急に対処しなければ、飢きんが広範囲で発生するという現実的なリスクが高まるでしょう。ソマリアが最後にこのような人道的悲劇に見舞われたのは、飢きんによって25万人もの命が奪われた2011年のことです。
「このような大規模な危機に対応するために必要な資金は、確保できていません。(資金がなくては)何もできず悲劇が起こるのを見ているしかないのです」と、FAOソマリア事務所エティエンヌ・ピーターシュミット代表は述べました。「まだ遅くはない、ということを強調したいです。今日受け取った資金で最悪の事態を防ぐことは可能です。しかし、そのためには巨額の資金が今すぐ必要です。」
干ばつが悪化し、商品価格の高騰や家畜の損失により、食料や牛乳を手に入れるのがが非常に困難になっているため、5歳以下の子どもたちが最も弱い立場に置かれています。今年末までに約140万人の子どもたちが急性栄養不良に直面し、そのうち約4分の1の33万人の子どもたちが重度の急性栄養不良に陥るとみられています。
「子どもたちの命が危険にさらされています。資金不足が解消されなければ、栄養不良率は上昇し続け、子どもたちは深刻な栄養不良や予防可能な病気に直面する可能性があります。子どもたちを飢餓で失うことは、人類にとっての損失です」とUNICEFソマリア事務所のアンジェラ・カーニー代表は述べています。「今、干ばつに関連する指標に対処することは、子どもの将来の機会を大きく増やすことにもつながります」
資金不足
干ばつへの対応は深刻な資金不足に直面しています。多くのソマリア人は支援を受けられていません。15億米ドルを求める2022年人道対応計画は、ソマリアが他の世界的な緊急事態と資金を競い合っているため、わずか4.4%しか資金が確保できていません。
飢餓と栄養の危機が急速に悪化する中、食料不安に対する資金不足が拡大しています。国連機関、基金、プログラムがニーズの高まりに対応できないことは、人道的ニーズに優先順位をつけ、誰が支援を受け、誰が受けないかという難しい決断を迫られることを意味します。
「私たちは文字通り、餓死の危険にさらされた人びとに食料を提供するために、飢えた人たちから食料を取り上げようとしているのです」国連WFPソマリア事務所のエル=キディール・ダロウム代表はと述べています。「ソマリアでの人道的大惨事を目前にした最悪のタイミングで、限られた資金に優先順位を付けるという決断を迫られています。今年はかつてない人道的ニーズと飢餓の年ですが、ソマリアに背を向けたり、手遅れにならないよう、世界に強く求めます。何百万人もの命が危険にさらされているのです。」
飢きんを引き起こす最悪の状況
FAOの食料安全保障・栄養分析ユニット(FSNAU)とその技術パートナーが行った最近の分析によると、今後3カ月以内に同国で飢きんが発生する要因として、2022年4月から6月の雨期の降水量減少、適切な人道支援の不在、食料価格の上昇傾向の継続の3点が挙げられています。平均以下の降雨量の見通し、資金不足、ウクライナ紛争による世界的なサプライチェーンの混乱と商品価格の高騰など、ソマリアは、すぐにでも飢きんに陥る可能性のある最悪の状況に見舞われています。
ある地域で飢きんが宣言されるには、人口の少なくとも20%が壊滅的な飢餓、カタストロフィー(IPCフェーズ5)の状況にあることが必要です。FSNAUとパートナーは、人口の5〜10%、約81,000人がすでに飢きんの状況に直面している6つの地域で、潜在的な飢きんのホットスポットを特定しました。 この調査によるシナリオでは、影響の出ている地域では極度の食料不足、高い栄養不良、餓死による超過死亡率が予測されています。
FAO、OCHA、UNICEF、国連WFPは、干ばつが悪化し、今後3カ月で飢きんが発生する可能性があることを深刻に懸念しています。現在の資金不足、降雨量の暗い見通し、世界的な食料価格の上昇を受け、各機関は、最も被害の大きい地域全体で人道支援を拡大するための資金を直ちに提供するよう呼びかけています。