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学校の安全な再開に向けた新ガイドライン発表

Photo: WFP/ Amadou Baraze
ニューヨーク/パリ/ローマ ― 国連世界食糧計画(国連WFP)、ユネスコ(国連教育科学文化機関)、ユニセフ(国連児童基金)、世界銀行は本日、世界で約13億人の子どもたちに影響を与えている休校が続く中、学校の安全な再開に向けた新しいガイドラインを共同で発表しました。

4機関は、COVID-19のパンデミックへの対応として教育施設が広く閉鎖されたことで、子どもたち、特に学校が教育、保健サービス、安全や栄養面を支える生命線となっている、最も置き去りにされた子どもたちにとって教育と健康に前例のないリスクが生じていると警鐘を鳴らしています。本ガイドラインは、学校が再開した際に子どもの安全を守る方法について、国や地方自治体向けに実用的な指針を提供しています。

 





「格差の拡大、健康への悪影響、暴力、児童労働や児童婚は、学校に通えていない子どもたちに及ぶ長期的な脅威の一部に過ぎません」とユニセフ事務局長のヘンリエッタ・フォアは述べました。「学校に通っていない時間が長ければ長いほど、子どもたちが学校に戻る可能性は低くなるということを私たちは知っています。学校の再開が安全に行える時に再開を優先しなければ、教育におけるこれまでの成果が覆されてしまうかもしれません」 

 





 休校が感染率に与える影響を表す証明はいまだ不十分であるものの、休校が子どもの安全と学習に及ぼす悪影響については十分に示されていると、新ガイドラインは言及しています。この数十年間で子どもの教育機会を増加させることで得られたものが損なわれるリスクがあり、最悪の場合、それが完全に覆ってしまいます。

 





 「最も貧しい国々において、子どもたちにとり学校給食は一日で唯一の食事です。しかし、COVID-19により多くの学校が休校しているため、3億7000万人の子どもたちが栄養のある食事を得られていません。さらに通常であれば学校を通じて受ける保健サービスも受けられていません。これは長期的な損害をもたらす可能性があるため、学校の再開時に学校給食プログラムと保健サービスを再開することが重要です。これは最も脆弱な子どもたちが学校に戻ることも後押しします」と国連WFP事務局長のデイビッド・ビーズリーは述べました。

 





 国や地方自治体が学校再開の決定を行う際には、教育、公衆衛生、社会経済の要素の利点とリスクの評価に基づいた上で、子どもの最善の利益と全体的な公衆衛生が中心に置かれなくてはならない、と新ガイドラインはしています。

 





学校は、学習環境を改善し、保健、栄養、心理社会的支援、水と衛生などを含め子どもたちをより包括的にサポートできるようどのような形で再開すべきか検討しなければなりません。

 





各国が学校の再開時期について検討している今、国連WFP、ユネスコ、ユニセフと世界銀行は、グローバル教育連合(Global Education Coalition)の一環として、通学に伴う感染リスクについてはいまだ決定的に証明されていないことに留意した上で、遠隔授業と比較した対面授業の利点と、学校の再開におけるリスクについて評価するよう各国政府に求めます。

 



 

「長引く休校により多くの生徒の学習に遅れをきたしている中、学校の再開時期と方法の決定は、一筋縄にはいきませんが、優先事項です。健康面において青信号が出たら、誰一人として生徒が取り残されないようにするために、一連の対策を講じる必要があります。これらのガイドラインは、政府や協力機関が生徒、教師、家族のための学校の再開を促進するための総合的な指針を提供します。私たちは一つの目標を共有しています:すべての学習者の教育をうける権利を守り、さらに前進させます」とユネスコ事務局長のオードレ・アズレは述べました。

 





ガイドラインには以下の内容が含まれます:



・政策の改革:

公衆衛生上の緊急事態における開校と休校に関する明確な政策指針の設定、置き去りにされている子どもや学校に通えない子どもを対象にした平等なアクセスの拡大、遠隔授業の強化・標準化の改革をガイドラインのすべての項目に対応した形で実施する。

 





・必要資金:

COVID-19が教育に及ぼす影響に対処し、回復とレジリエンスのための教育システムの強化に投資する。

 





・安全な運営:

感染を減らし、重要なサービスと物資を守り、健康的な行動を促進するための条件を整える。これには、手洗いのための石けんと清潔な水が使用できること、職員または生徒の体調が優れない場合の対応手順、社会的距離のルール、および適切な衛生習慣が含まれる。

 





・学習の遅れを取り戻す:

これまでの失われた学習時間を補い、教授法を強化し、遠隔学習を統合した学習モデルを構築する。職員や生徒、その家族間で感染と予防に関する知識の共有も行う。

 



 

・福祉と保護:


照会システムの強化、保健ケアや学校給食を含む学校で行われる重要なサービスの提供を通じて、子どもの福祉と保護への取り組みを促進する。



 

・最も置き去りにされた子どもの支援:

学校再開の方針を適用し、学校に通えなかった子ども、避難民や移民の子ども、少数民族などの置き去りにされた人々へのアクセスを拡大する。重要なコミュニケーションと支援活動を、多様な言語や利用可能な方法で行う。

 





「学校の再開時に優先事項となることは、生徒、特に大きな学習の損失を被った生徒を安全に、そして学習を取り戻すことができる方法で学校環境に再統合することです。より効果的で公平な新たな標準の出発点となる重要な瞬間です。再開にあたり、学校は教育にあたる労働力を準備し、運営状況を整える必要があります。また、最も不利な状況にある生徒の学習回復を支援するための特別な計画が必要になります。このガイドラインは、主要な国連機関が一丸となり前進するための枠組みを提供しています」と世界銀行教育国際部長のジェイミン・サアベドラは述べました。

トピック

医療・保健の危機 パートナーシップ 学校給食支援

お問い合わせ

WFP国連世界食糧計画日本事務所 

広報官 上野きより Tel. 03-5766-5211 Email. press@wfp.or.jp

 

 

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