南部アフリカ2カ国に日本の食糧支援
横浜発 − 日本政府は、深刻な干ばつの影響などにより食糧不足に苦しむ人々に対する食糧支援として、WFP 国連世界食糧計画を通じて総額3億4千万円をスワジランド(1億2千万円)及びレソト(2億2千万円)に供与することを決定した。日本政府が供与した資金は、トウモロコシ粉や豆類、栄養強化混合食糧の購入に充てられ、干ばつの被災者などに対する食糧支援に活用される。
スワジランドは過去15年で最も深刻な干ばつに襲われ、政府は6月に国家災害宣言を表明し、国際社会に支援を要請した。同国の成人のHIV感染率(15-49歳)は33%と世界で最も高く、成人の多くがHIV/エイズ感染により命を落とし、農業に従事する人々が減ってきている。この影響もあいまって、トウモロコシの収穫量は昨年比で6割減にまで落ち込み、人口のおよそ半分にあたる41万人が食糧支援を必要としている。
レソトも以前より、慢性的貧困や、23%という高いHIV感染率(15-49歳)に苦しめられてきたが、今年はさらに、ここ30年で最も深刻な大干ばつに見舞われた。穀物の収穫量は昨年比で42%減と予測され、価格も高騰。最大で人口の3分の1に当たる55万人が食糧支援を必要としている。
工藤絵理WFP日本事務所代表代行は、「WFPは日本政府の支援に心から感謝いたします。スワジランドとレソトの人々は従来より慢性的貧困やHIV/エイズに苦しめられていましたが、今回の干ばつでさらなる危機に陥ってしまいました。今回の支援は、最も弱い立場の人々を支え、彼らを苦境から救うことでしょう」と述べた。
近年、気候変動の影響により、世界中で深刻な干ばつや洪水などの自然災害が頻発している。雨水に頼る農業を行なっているアフリカの地域では2020年までに農業収穫量が半減するとの予測も出ているが、アフリカの農業の9割以上はこのような天水依存型農業であり、このまま気候変動が続けばさらなる食糧不安が予想される。
近年、アフリカの開発と平和構築に力を入れている日本では、来年、第4回アフリカ開発会議(TICAD IV)や主要国首脳会議(サミット)が開催される。これらの会議では、アフリカの諸問題についての話し合いが行われる予定で、慢性的貧困や頻発する自然災害などに苦しむアフリカの人々に対するさらなる支援が期待されている。