グローバル企業が飢餓撲滅にむけてWFPを支援
9月25日 ニューヨーク発
本日、WFP 国連世界食糧計画は、世界有数のグローバル企業数社と連携し、数百万ドルをかけて子どもの飢餓や栄養不足の撲滅を目指す「プロジェクト・レーザービーム」という画期的なプロジェクトを立ち上げることを発表した。
「飢餓人口が急増する中、企業や個人からの支援がより一層必要とされています。飢餓の撲滅は、一つの組織だけでは果たせない大きな課題です。しかし皆で力を合わせることで、飢餓削減に向けて大きく前進することができることでしょう。」とジョセット・シーランWFP事務局長は語った。
「プロジェクト・レーザービーム」は、「クリントン・グローバル・イニシアチブ」にて、同会合を主催したビル・クリントン元アメリカ大統領により発表された。このプロジェクトには、ロイヤルDSM社、ハインツ, クラフトフーヅ、ユニリーバ、Global Alliance for Improved Nutrition (略称GAIN、スイスを拠点とする財団法人)などが参加。これらの組織が持つ専門知識とWFPの食糧支援のノウハウの融合を図る。WFPは向こう5年間に、ここに挙げた企業・団体そして、以後同プロジェクトに参加するだろう企業・団体から5,000万米ドルの活動資金を集めることを見込んでいる。
ユニリーバのポール・ポルマン最高経営責任者は「プロジェクト・レーザービームは、衛生・食糧の安全保障・栄養面に焦点をあて、栄養不足の問題に包括的に取り組む、他に例を見ない共同プロジェクトです。飢餓という複雑な問題に対処するためにはより強い官民のパートナーシップを築くことが必要です。大きな効果を持続的にもたらすためには、レーザーのように集中的に取り組んでいくことが重要です。」と述べた。
クラフトフーヅのアイリーン・ローゼンフェルド会長兼最高経営責任者は、「我々は食品会社として長らく飢餓撲滅に注力してきました。栄養、食品技術、持続的な農業に関する革新的な専門知識を持つ我が社は、早く飢餓を撲滅できるよういっそう積極的に取り組みます。この官民パートナーシップは非常にユニークなもので、栄養不足の問題とその社会的、経済的な要因の両方を解決する鍵となるでしょう。」と語った。
ロイヤルDSM社のフェイケ・シーベスマ最高経営責任者は、「今日、世界が直面している問題に我々が真剣に取り組むことが、これまで以上に必要とされています。ビタミン剤や栄養成分の生産をリードしてきた弊社は、WFPの支援食糧の栄養成分をこれまで以上に改良し、人間の食生活で必須とされているビタミン、ミネラルを世界の人々が摂取できるよう努めます。我々はWFPと連携し、栄養不足の問題に対し持続的な解決策を探っていきたいと考えています。」とコメントしている。
ハインツのウィリアム・ジョンソン会長兼社長兼最高経営責任者は、「ハインツは世界の人々すべてが必要な食糧と栄養を摂ることができるようになるべきと考えています。私たちは、今回こうしてWFPや食品業界の各社の皆さんと連携できることになり、心より喜んでいます。食品の品質や食糧の安全保障といった世界規模の課題に向けて、創造的で持続的な解決策を見つけて行きたいと考えています。」と語った。
マーク・ヴァン・アメリジェンGAIN事務局長は、「飢餓と栄養不足に取り組むため、我々民間部門のアイデア、創造性、技術を生かさなければなりません。栄養価の高い食糧をより手に入れやすくする仕組みや、そういった食糧を必要としている人々がより安価に購入できるような仕組みを作っていくことが必要となってくるでしょう。」と語っている。
クリントン・グローバル・イニシアチブで行われたこのプロジェクトの発表会では、各社・団体の代表が集合し、世界の人々の栄養・衛生状態が改善され、食糧を安定的に確保できるよう、資金の調達や調整を行うことを誓った。
国連の専門家によれば、飢えと栄養不足は人々の健康を脅かす最も深刻な要因だ。栄養不足は発育の妨げになるばかりか、体力の衰えや知的障害につながる。飢えによる年間死者数は、エイズ、マラリア、結核による死者の合計数よりも多くなっている。
プロジェクト・レーザービームの最初の取り組みとして、モデル構築のためにアジア2カ国において栄養・衛生状態や食糧事情に関する分析を行う。
ジョセット・シーランWFP事務局長は、他の公的機関や企業・団体にもこのプロジェクトへ参加してほしいと呼びかけた。