国連WFP、世界最大級のモバイル展示会「モバイルワールドコングレス」で受賞
「SCOPE CODA」はオンデマンドで情報を提供できるモバイルソリューションです。現在、特に栄養支援のモニタリングに活用されています。これまで、子どもや母親の栄養支援の記録を手作業で紙の冊子に記載し管理していましたが、「SCOPE CODA」の導入で、すべて情報をオンライン入力しクラウド上で管理することになりました。これにより、現場の最前線で働く職員がリアルタイムのデータにアクセスし、登録情報に基づいた判断を行うことができるようになっています。世界で5,100万人の子どもたちが急性栄養不良に苦しんでいます。急性栄養不良は多くの子どもたちが死亡する根本的な要因であり、毎年260万人が死亡しています。私たちの長期的な目標は、栄養不良の治療に関わるすべての支援活動を「SCOPE CODA」でデジタル化することです。
今回の受賞は、2月にバルセロナで開催された世界最大級のモバイル展示会「GSMA Mobile World Congress (モバイルワールドコングレス)」で発表されました。このコングレスは毎年開催されおり、世界中から携帯電話事業者、製造業者、また規制に関わる担当者が一堂に会します。
「SCOPE CODA(Conditional On-Demand Assistance)」はオフライン環境でも稼働し、通信ネットワークが弱い、または全く無いような僻地でも使用することができます。スマートフォンに似た小さなデバイスで受益者の登録カードを読み取り、デバイスがオンラインになった時点で、読み取った情報を国連WFPの受益者情報を管理するデジタルプラットフォームと同期します。
これにより、現場の職員は、受益者の情報を登録し、幼い子どもや妊婦の栄養・健康状態を管理し、病気から回復した時にはそれを感知し、治療がどこで成功しているかを特定することができます。
「SCOPE CODA」は手作業によるデータ入力やレポート作成、分析を削減することで、記録データの耐久性とセキュリティーを高めながら、時間を節約します。最も重要な点は、現場の職員にリアルタイムに限りなく近い情報を提供し、支援対象者の治療の進捗や状況についての概要の把握に役立つことで、よりよい意思決定を可能にします。
「国連WFPを代表してこの賞を受賞したことは、私にとってとても名誉なことです。これは、イノベーションが人道支援の現場に大きな変革をもたらす可能性があることを示しています。SCOPE CODAは迅速で透明性の高いデータに基づいた意思決定を可能にし、2030年までに飢餓をゼロにするという目標達成への堅実なステップです」と国連WFPのCIOでIT部長のエンリカ・ポルカリは話しました。
「SCOPE CODA」は2018年3月に国連WFPのイノベーションアクセレレーターの支援を受け立ち上げられました。現在は、5歳未満の栄養不良の子ども達とともに、妊婦、授乳中の母親を対象にした栄養支援に活用されています。
国連WFPは「SCOPE CODA」を南スーダン(政府、Action Against Hunger、MEDAIR、 UNICEFと協力)、ウガンダ(政府、UNICEFと協力)、タジキスタン(政府と協力)で活用しており、来年にかけて他の重要度の高い国々でも展開していくことを計画しています。