コンゴ民主共和国の「エボラ集団感染」宣言から一年 - WHO、OCHA、UNICEF、国連WFPのトップが共同声明
「コンゴ民主共和国政府が同国北キヴ州でのエボラ出血熱集団感染を宣言してから8月1日で一年が経ちます。この集団感染については二週間前にも国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態だと宣言されたばかりです。
昨日、ゴマで新たな感染が確認され、その患者は瀕死の状況です。人口約100万人の都市で今月2例目の感染者です。このように人口が密集している地域で感染が確認されることは、国境を越えてさらに感染が拡大するリスクを高め、国際的な対応の強化と、投資の増加を緊急に必要とすることを意味します。
2,600件以上の感染が昨年確認され、1,800人以上がイトゥリ州と北キヴ州で死亡しました。約3件に1件が子どもです。一つ一つの感染『件数』は、誰かが想像を絶するような苦しみの中にいることを意味します。感染した770人以上がその後も生き延びています。
この病気は容赦なく破壊的です。
エボラは母から子へ、夫から妻へ、患者から介護者へ、犠牲者の遺体から喪に服している親族へと感染します。地域経済に打撃を与え、子ども達の通学や必要不可欠な医療サービスの提供を阻み、日常生活すべてを壊すものです。これは主に健康に関わる危機であると同時に、家族の生活や隣人や地域社会との関りにも大きな影響を与えます。
感染拡大を阻止するために大きな課題が立ちふさがっています。しかし克服できないものではありません。そして、それらは私たちが任務を遂行しない理由にはなりません。国連と協力団体は、政府を支援する対応を強化し、協力活動を推進します。国連は、保健機関が支援している公衆衛生の対応のための環境整備に尽力しています。それらは、安全の確保や物流、政治的及び地域社会への関与、影響を受けている地域の懸念に対処する活動を含みます。私たちは、感染拡大を阻む努力を確実に統合する手立てを取っていく、という政府の決定を称賛します。
私たちはまた、最前線の医療従事者や、影響を受けた地域社会の人々と協力団体の英雄的な努力に敬意を表します。彼らの絶え間ない仕事にも関わらず、この病気は広がり続けています。この集団感染は紛争地帯で発生しており、医療従事者や施設への武力攻撃や避難する人々の移動などによる不安定な情勢のために、効果的な対応が非常に複雑になっています。影響を受けている地域の一部では、暴力が原因で医療従事者がその地域に到達できず、感染拡大を阻止するための活動を阻んでいます。
私たちは暴力のすべての当事者に対し、エボラへの対応にあたる人々が安全に任務を遂行し、人々が攻撃を恐れることなく治療を受けられるようにするよう呼びかけます。
私たちと協力団体がこれまでに成し遂げてきたことに誇りをもっています。政府主導のエボラ対応を支援するために地域社会と協力し、感染リスクのある人々を保護し、影響を受けている人々に治療を行います。
•170,000人以上がワクチンを接種。
•14の治療センターで1,300人が調査的治療を受ける。
•国内外の旅行者に7,700万回スクリーニングを実施。
•感染の予防のために毎日20,000人が訪問を受ける。
•3,000サンプルが毎週8つの検査室でテストされる。
•重点地域に10,000カ所以上の洗面所を設置。
• 2,000人以上のコミュニティ・ワーカーが感染が確認されている地域で住人の懸念に耳を傾け、信頼を育み、地域単位での活動を実施。
•440,000人以上の患者と接触者に食料支援を実施。食料支援は、病気を広める可能性のある人々の動きを制限するために不可欠。
•エボラの影響をうけた地域の25,000人の児童に毎日の食事を提供。
これまで達成してきた活動に基づいて今後の活動を続ける必要があります。しかしそのためには国際社会からのさらなる支援が緊急に必要です。政府はこれまで以上に多くの支援を必要としています。エボラ発生に対する公衆衛生上の対応には非常に多くの投資が必要です。感染者の100%を治療し、感染者との接触を100%追跡し管理する必要があります。ワクチンを含む貴重な保健関連用品を安全に保管し、エボラの対応にあたる人々と重要な設備を遠隔地や倉庫に運ぶために航空輸送が必要です。私たちは引き続き対応を加速させ、新旧の協力団体にも同じことを要望します。
この重要な節目に、コンゴ民主共和国の人々に対して私たちは結束し、尽力していくことを再確認します。亡くなられた人々に哀悼の意を表します。この集団感染を終焉させるために連帯を呼びかけます。