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自然災害に強い集落づくりで家族も一つに

, WFP日本_レポート

EXILE ÜSAさんは8~9月、国連WFPサポーターとして初めてホンジュラスを訪れ、支援現場を視察しました。干ばつによる被害が特に深刻なホンジュラス西部・南部の"ドライ・コリドー"地域は、十分な食料を収穫できていません。国連WFPはこの地域で、住民たちと干ばつに負けない集落づくりを進めています。

EXILE ÜSAさんのホンジュラス視察ムービーはこちら

乾燥した土地が緑の畑に 新鮮野菜で栄養改善

ホンジュラス西部ラパス県マルカラ市から、舗装があちこちはげた山道を車でゴトゴト登ること30分。訪れたのは国連WFPの自立支援が行われているエルボルボジョン地区です。集落に近づくと、山の斜面に生き生きとした緑の畑が広がりました。

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山の斜面に広がる畑 Photo: ©WFP/Kensuke Hori

この集落は以前、乾燥のため農作物が育たず、働き手は出稼ぎに出ることでしか、収入を得られませんでした。現在は小規模農家の住民たちがルーラル・ボックスという組合を作り、助け合いながら農園や灌漑設備を運営するようになったのです。全19人のメンバーのうち、14人は女性です。

イリス・アルベリア・ロペス・サンチェスさん(38歳)は組合の共同農園で働いています。23歳の長男から1歳の末っ子まで、8人の子どものお母さんです。

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イリスさん一家 Photo: ©WFP/Kensuke Hori

農園では、人参や赤かぶなどさまざまな野菜が栽培されています。イリスさんは「以前はお米や豆だけの質素な食事でしたが、野菜を加えた栄養のある食事を作れるようになりました」と、食生活の変化を語りました。食べる分に加え、学校給食や市場に卸す分も収穫できるようになったといいます。

子どもが家をプレゼント 親子も一緒にいられるように

イリスさんは農園ができる前、子守を年上の娘たちに任せて集落の外に働きに出ていました。コーヒーの木の清掃などで稼げるのは1日100レンピーラ(500円)ほど。今は農作物を売ることで、当時を上回る収入を得られるようになりました。

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「家の近くで働けることで子育ても楽になりました」と、イリスさん。 Photo: ©WFP/Kensuke Hori

彼女たちの家にも案内してもらいました。「息子と一緒に、お金を貯めて建てたんです」と、誇らしげにイリスさんは言います。

家は白壁に囲まれた、丈夫そうな建物。政府の支援でソーラーパネルを取り付け、電気も通っています。「狭くて雨や風が入ってきて大変だった」という昔の家の、貧弱な木の柱とは比べ物になりません。

農園で1歳の子どもと一緒に、畑の草取りをするイリスさん。バラバラだった親子も、今はずっと一緒に過ごしています。

山を襲ったゾウリムシ 気候変動で大量発生

組合では昨年、灌漑設備を整備し、今年からはハウス栽培も始めました。集落の水源を維持するため、近くの山で植林も行っています。こうした設備は干ばつの被害を最小限に食い止め、収穫を増やす効果が期待できます。

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組合が今年から始めたハウス栽培で、ピーマンを収穫 Photo: ©WFP/Kensuke Hori

しかし昨年、山をゾウリムシ被害が襲いました。ゾウリムシは乾燥気候を好み、近年の気候変動の影響で大量発生したのです。組合のメンバーは、貴重な資材であり、飲み水や灌漑用水を守っていた木々を伐採せざるを得ませんでした。

今はメンバー総出で松の苗木を育て、山に植え直しています。気候変動との闘いは、まだまだ続いているのです。

国連WFPは組合の立ち上げ段階で、メンバーが安心して設備準備に取りかかれるよう資金面を支援し、現在も技術支援を行っています。

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苗木の世話をするルーラル・ボックスのメンバー。 Photo: ©WFP/Kensuke Hori

組合のメンバーは生活も栄養状態も改善し、他の集落へ技術を伝えたいという目標もできました。さらに、新鮮な野菜を学校に卸すことで、子どもたちに栄養価の高い給食を提供できるようにもなりました。

短期間で小規模農家の生活が大きく変わったことに、ÜSAさんも感銘を受けたそうです。「家族が一緒に居られるようなったというのが一番良いですよね」。ピーマンの収穫や苗木の世話を手伝いながら、笑顔で話していました。

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