イエメン:ウクライナ戦争の影響により、数百万人が飢餓の危機に
イエメンでは、3万1000人が飢きんのような状況に直面しています。食料不安を測る世界標準である総合的食料安全保障レベル分類 (IPC)分析の最新の統計によると、このIPCフェース5の「壊滅的」飢餓にある人の数は6月までに16万1000人に増えると予想されています。
WFP国連世界食糧計画(国連WFP)、国連食糧農業機関(FAO)、国際連合児童基金(UNICEF)によると、さらに160万人がIPC4の「緊急」レベルの飢餓に陥り、年末までには合計730万人となる見込みです。
しかし、資金は底をついています。国連WFPは、今後6ヶ月間の活動継続に必要な資金の11%しか確保できていないため、命を救うための緊急資金を要請しています。2022年にイエメンのすべての飢餓に苦しむ人びとに支援を届けるためには、19億7000万米ドルが必要です。
また、5歳未満の子どもの間で高いレベルの急性栄養不良が続いていることが示されています。イエメン全体で220万人の子供が急性栄養不良に陥っており、そのうち、命を脅かす重度の急性栄養不良の子どもが50万人います。さらに、約130万人の妊産婦が急性栄養不良に陥っています。
「イエメンでは毎日、空腹のまま眠りにつく子どもたちが増えています。世界のどの国の子どもにとっても、このようなことはあってはならないことです」と、UNICEFのキャサリン・ラッセル事務局長は述べています。「今日行動を起こさなければ、イエメンではより多くの子どもたちが亡くなり、生き延びた子どもたちも、将来、身体や認知の発達障害など栄養不良の結果に苦しむことになるでしょう。」
過去1年間で、イエメンの食料支援を必要とする人びとの数は120万人増加し、1740万人となりました。IPCの報告書によると、12月までには1900万人が飢餓と栄養不良に苦しむことになります。
「この悲惨な数字は、私たちがイエメンの大惨事へのカウントダウンに入っており、それを回避する時間がほとんどないことを裏付けています」と、国連WFPのデイビッド・ビーズリー事務局長は述べました。「直ちに多額の資金を確保できない限り、大量の餓死と飢きんが発生するでしょう。しかし、今行動すれば、差し迫った災害を回避し、何百万人もの人を救うチャンスはまだあります。」
「明らかなのは、今すぐ行動を起こす必要があるということです」と、イエメン常駐・人道調整官のデイビッド・グロスリー氏は述べました。「食料と栄養の支援、清潔な水、基本的な保健医療、保護、その他の必需品を含む、数百万人のための統合的な人道支援を維持する必要があります」 と述べています。
さらに、平和の達成は「食料価格を下げ、経済が解放され、人びとに仕事という尊厳を与え、支援への依存から脱却する道を開く」ために不可欠である、とグロスリー氏は付け加えました。
IPCの報告書によると、紛争と経済危機は、依然としてイエメンの深刻な食料不安と栄養不良の主な要因で、人道支援の不安定さによってさらに悪化し、「重要なホットスポットでの戦闘の激化」で、人びとが紛争地域から逃れるためにますます多くの避難民が発生する可能性があります。
グレスリー氏は、すべての紛争当事者に対し、非制裁物資の貿易と投資に対するすべての制限を解除するよう呼びかけました。「そうすることで、食料価格が下がり、経済が解放され、人びとに仕事という尊厳を与え、支援への依存から脱却する道が開けます」と付け加えました。
Hunger Hotspots: 4 countries face famine, UN report warns
人びとは水不足に苦しみ、医療サービス、教育施設、燃料へのアクセスが制限されているため、何百万人もの人びとが悲惨な状況に陥っています。現在、国連WFPは、イエメンの1,290万人に食料を届けることを目標としていますが、最も必要としている人びとに食料を提供するため、配給量の削減を余儀なくされています。雇用の欠如、食料価格の上昇、給与支払いの減少や停滞は、「量と質の面で貧しい食事、衛生施設の普及率の低さや劣悪な衛生習慣」につながっています。
これが逆に「高い疾病負担」につながっている、と報告書は述べています。多くの人びとは、生計を立てるために必要な資産を売るしかなく、「毎月高い負債額を背負い、基本的なニーズを満たすために借入額を最大にしています。」
「小麦粉やあらゆるものがあるときは、私は平和で快適に眠ることができます。小麦粉がないときは、眠れません」
このような消極的な対処法は、人びとをさらに貧困と飢餓に追いやるだけです。一方、ウクライナでの戦争はイエメンにさらなる打撃を与え、食料と燃料の価格をさらに上昇させています。すでに長年の紛争、気候変動の影響、新型コロナウイルスのパンデミックに悩まされているイエメンは、ほぼ全面的に食料の輸入に頼っています。
実際、過去3カ月間にイエメンに到着した小麦の31%はウクライナからの輸入であり、価格は2015年の7倍に急騰しています。1キロの小麦粉は、危機以前は146リアルだったのに対し、現在では南部で平均800リアル(約3.20米ドル)以上になっています。 イエメンにおける国連WFPの必要な活動費は、一月あたり1,000万米ドル増えています。
国連WFPが支援するモカの国内避難民キャンプにいる35歳のアリさん(上の動画参照)は、国連WFPに「空腹は私に多くのことを考えさせます」と語りました。小麦粉やあらゆるものがあるときは、私は平和で快適に眠ることができます。小麦粉がないときは、眠れません。どうすればいいか、どうやって食料を得ればいいか、考え、悩んでいます。安全な状態とは、戦争の危険がないことではなく、自分の家に食べ物や小麦粉があることなのです。」