国連WFP、ウクライナ紛争の影響を受けた人びとへ支援
WFP国連世界食糧計画(国連WFP)は、ウクライナ政府からの要請を受け、ウクライナ国内、また近隣諸国へ紛争から避難している人びとへ緊急の食料支援を開始します。
「一般市民の生命と生活に対する敵対行為の影響に深く憂慮しています」と国連WFPの緊急支援部門ディレクターマルゴット・ヴァン・デル・ヴェルデンは述べました。「状況が変わる中、影響を受けたコミュニティーが継続して必要とする人道支援にアクセスができるようにし、現場にいる人道支援者の安全を保障しなければなりません。」
中立性、公平性、独立性の人道原則に基づき、食料支援はまずルーマニアとポーランドを対象とし、その後モルドバとスロバキアにも拡大する可能性があります。
進行中の戦争による人道的な影響は容易に推計できませんが、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)は、紛争開始以降、すでに100万人以上のウクライナ人が自国を離れて近隣諸国に避難しているとしています。ウクライナの西側の近隣諸国に向かって、何キロにもわたる交通渋滞が発生しています。
ウクライナの男性は国を離れることが許可されていないため、ポーランドとの国境に向かっている人びとの多くは女性や子どもたちです。気温は夜間にはマイナス2℃まで下がる中、ポーランドへ渡るためには最大40時間かかるとみられています。家族は寒さと恐怖、飢えなどにうちひしがれています。
進行中の紛争の影響を受けている首都キエフとハリコフでは、食料と飲料水が不足している地域があると報告されています。
首都にいる国連WFPのスタッフによると、食料物資が減り、スーパーの棚はほぼ空になっています。キエフの住民の多くは地下鉄の駅に避難をしており、食料不足が課題となります。
国連WFPのチームはキエフ市内、そして近隣諸国に現場入りし、国連を代表して緊急通信・物流支援をリードしています。
黒海流域は世界の穀物と農業生産の重要な地域で、紛争による食料安全保障への影響はウクライナにとどまりません。
かつてないほど人道的ニーズが高まっている今年、世界の大きな緊急事態へ食料支援を行っている国連WFPの活動にも影響が出かねません。
「ウクライナ、ロシアの地域から約半分の穀物を調達しています。食料価格や輸送、原油、燃料費に劇的な影響が及ぶでしょう」と国連WFPのデイビッド・ビーズリー事務局長はイエメンからのソーシャルメディアの投稿で話しました。「大惨事の中の大惨事です。」と付け加えました。
2014年から2018にかけて国連WFPはウクライナ東部で支援を行い、100万人以上に対して現金、食料引換券、現地で調達した食料を政府支配地域と非政府支配地域の両方で届けました。
国連WFPは世界で8億1100万人が飢餓に苦しんでいると警告しています。急性食料不安に苦しむ人びとも、新型コロナウイルス感染症の影響などにより2019年の1億3500万人から2億7600万人へと急増しています。
38か国では4400万人が飢きんの瀬戸際にあります。ウクライナの危機によるニーズを満たすと同時に国連WFPは昼夜を問わず世界中で展開している活動に対する重要な物資への影響が最小限となるよう尽力しています。
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