食料システムについて知っておくべきこと ―食料システムの変革による飢きんの回避と飢餓の撲滅―
イタリア政府が主催する「プレサミット」は、7月26日(月)から28日(水)までローマで開催され、バーチャルプログラムとプラットフォームが用意されています。ここをクリックして、以下のイベントに申し込んでください。アクショントラック5-食料システムの強靭化(国連WFP副事務局長アミール・アブドゥラ氏)、火曜11:30-13:30 (ローマ時間)、学校給食連合、水曜09:00-09:50(ローマ時間)
今月初めに発表された国連の世界の食料安全保障と栄養の現状2021(SOFI報告書)は、国連世界食糧計画(国連WFP)の最悪の懸念を裏付けるものでした。昨年は、紛争、異常気象、新型コロナウイルス感染症の流行などの影響が重なり、新たに1億6,100万人が食料不安に陥り、飢餓に苦しむ人は最大8億1,100万人となりました。
国連WFPは現在、イエメン、マダガスカル、南スーダンなどで確認されている「飢きんのような」状況が、今年は最大で58万4,000人に及ぶと予想しています。さらに、国連が発表した最新の統計によると、世界の食料価格は12カ月連続で上昇し、世界で最も脆弱な立場にある人びとはより厳しい状況に追いやられています。
これは、9月にニューヨークで国連総会と並行して開催される食料システムサミットに先立ち、7月26日(月)から3日間、ローマで開催される国連の「プレサミット」が喫緊の議論の場となることを意味しています。
世界の5億戸の小規模農家をはじめ、難民コミュニティ、政府、NGO、国連機関、民間セクター、企業、大学、シンクタンクなどの代表者が、社会的保護、学校給食、栄養、サプライチェーンなどをテーマに対話を行います。
以下、国連WFPの専門家が食料システムについて解説します。
食料システムとは何か?
一言で言えば、「農場から食卓まで」のすべてを含みます。つまり、私たちが文字通りどのように食べ物を生産し、輸送し、加工し、消費しているかといった広範なものになります。
一例を挙げると?
小麦粉を例にとると、種はどこから来ているのでしょうか?どこで調達され、どこで植えられ、どのような材料を使って育てられ、どのようにして収穫されたのでしょうか?
そして、それがどのように加工され、包装され、販売されたのでしょうか?最終用途は何だったのでしょうか?家畜に与えられたのでしょうか?それとも、人々の食卓にあがったのでしょうか?スーパーマーケットにはどのように運ばれたのでしょうか?
「人の要素」
誰がその種を植えているのか?誰が収穫し、誰が消費しているのか?土壌の再生、植栽、環境への影響の評価なども含まれます。食べ物が消費されるまでのプロセス全体です。
なぜ食料システムが重要か?
国連WFPは現在、80カ国以上で1億1550万人の命を救い、人生を変えようとしています。食料安全保障の最大の要因は依然として紛争であり、次いで気候変動と新型コロナウイルス感染症の大流行です。これらの要因にもかかわらず、人びとが栄養のある食料を定期的に入手できるようにするためには、食料システムが重要な役割を果たします。
継続する困難な状況
新型コロナウィルス感染症によって引き起こされた食料システムやサプライチェーンの混乱、そしていまだに続いている失業や食料価格の高騰などの状況を考えれば、飢餓や栄養不良に苦しむ人々の数に影響を与えていることがわかります。
環境への影響
過去50年の間に人類の人口と食料生産量が大幅に増加したことで、自然の「エコサービス」、つまり河川や帯水層、健全な表土、森林地帯、海の世界などの回復が遅れています。
自然の生態系に始まり、下水道、プラスチックの廃棄、食品のゴミに至るまで、廃棄と需要が食料生産の生態系の構成要素を侵食しているということなのです。
食料システムにおける国連WFPの役割とは?
国連WFPは、紛争や異常気象による被害からの「回復力」を高めるために、土壌の修復から小規模農家への保険の提供、識字率向上計画から学校給食プログラムの運営まで、さまざまなプロジェクトを展開しています。
国連WFPとそのパートナーが協力し、食料システムが適切で安全かつ栄養価の高い食料を提供し、人びとが災害に備えるために必要なスキルや資源を提供することで、社会的保護を確保することができます。
私たちにできることは?
今年、命を救い人生を変える活動を続けるために、国連WFPは150億米ドルを必要としています。国連WFPのすべての活動は、ドナーである政府、機関、企業、個人からの寄付によって賄われています。
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