サヘル地域:飢餓と避難民の増加で数百万人が危険にさらされていると国連WFPが警告
アフリカのサヘル地域全体で餓死の危機に瀕している人の数が2019年の10倍になり、避難民の数も400%増加していると国連WFPが警告しています。
紛争、新型コロナウィルスの世界的大流行、気候、物価上昇の複合的な影響により、数百万人にとって基本的な食事が手の届かないものとなっています。
ニジェールとチャドでの国連WFPの活動を視察し、ベナンを訪れた国連WFP事務局長のデイビッド・ビーズリーは、「絶対的な危機が目の前で繰り広げられています」と述べました。「想像を絶する様な経験をした家族と話をしました。彼らは過激派に家を追われ、干ばつで飢え、新型コロナウィルス感染症の経済的影響で絶望に陥っています。」
ビーズリーは、「国連WFPの資金が枯渇し、こうした人たちは希望を失いつつあります」と付け加えました。
サハラ砂漠の南のブルキナファソ、チャド、マリ、モーリタニア、ニジェールを含むサヘル地域は、ここ何年もの間で最も乾燥した状態にあります。
この5カ国では、今年1,050万人が飢餓に苦しむと予想され、そのうち100万人以上が餓死の危険にさらされています。
これは2019年の360万人から増加し、そのうち14万1,000人は餓死の危機に瀕していました。今回の危機は、不安定な情勢、新型コロナウイルスの大流行による貧困の増加、主食の価格の劇的な上昇などの複合的な要因により、例年を上回ると予想されています。
ニーズが非常に高い一方で、最も脆弱な人びとを支援するための資金は底をつき、国連WFPは飢えに苦しむ人びとから、餓死の危険のある人びとへ食料を振り向けなければならない難しい状況に追い込まれています。
例えばニジェールでは、資金不足のため、国連WFPは食料配給の量を半分に削減しています。
国連WFPはサヘル地域での活動を継続するため、今後6ヶ月間に4億7000万ドルを必要としています。サヘル地域では、厳しい安全保障上の状況にもかかわらず、2021年には人道支援パートナーと協力し、5カ国で930万人に命を救う支援を継続しました。
国連WFPは、家族の繁栄を支援する強靭性を向上するプログラムも実施しています。2021年までのわずか3年間で、国連WFPと地元コミュニティは、5カ国で27万エーカーの不毛の土地を生産性の高い農地や牧草地に変え、250万人以上の人びとの生活を変えました。この活動は、災害に強い地域社会の構築への投資がいかに平和と安定という配当をもたらすことができるのかを示しています。
他にも希望の光はあります。例えば、隣国のブルキナファソやニジェールから北部の地域に紛争が波及する恐れが高まっているベナンでは、国連WFPと共同で実施している政府出資の学校給食支援によって、70万人の子どもたちに栄養価の高い食事が提供されています。このプログラムは、雇用を創出し、地域経済を強化する上で欠かせないものとなっています。