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Q&A:「なぜ人々は飢饉の宣言前に死ななければならないのでしょうか?」

飢饉は紛争が重要な一因であり、気候変動と新型コロナウィルスの世界的大流行による景気低迷によって加速され、何百万もの人々にとってすぐに現実となる可能性があります。以下では、国連WFPの栄養事務局長代理を努めるアリソン・オマーン・ラウィが飢饉について説明するとともに、飢饉を防ぐための緊急ニーズについて詳細に語ります。

, By Ljubica Vujadinovic
イエメン:ハッジャーにあるWFPが支援するクリニックで、中等度の急性栄養不良と診断される子ども。Photo: WFP/Issa Al-Ragh
イエメン:ハッジャーにあるWFPが支援するクリニックで、中等度の急性栄養不良と診断される子ども。Photo: WFP/Issa Al-Ragh
人道支援者としての飢饉の経験を教えてください。

アリソン・オマーン・ラウィ(以下ラウィ:ソマリアの2011年から2012年の飢饉では、エチオピアを目指す難民を支援するため、国連難民機関のUNHCRと前線で活動していました。

このとき、25万人ものソマリア人が、国境の向こうの支援を得られずに命を落としました。

 

寄付者会議でこう言ったのを覚えています。「数百万ドルが今週必要です」と。

 

それに対して誰かが、「飢饉を宣言する予定ですか?」と尋ねました。

 

私は、「まだその段階ではありません。でも、飢饉は今、確実に進行しています。私たちは実際にこの目で見ています。でも、宣言はこれからです」と答えました。

 

これは最悪の交渉でしたが、「大惨事が迫っているときには、状況が深刻化して手遅れになるのを待つ前に警鐘を鳴らすことができなくてはいけない」という考えにいたりました。

マダガスカル:アンドロイ地域シハナマロでの4月の緊急食料支援。マダガスカル南部では、114万人が緊急食料支援を必要としています。Photo: WFP/Krystyna Kovalenko
マダガスカル:アンドロイ地域シハナマロでの4月の緊急食料支援。マダガスカル南部では、114万人が緊急食料支援を必要としています。Photo: WFP/Krystyna Kovalenko
それは、該当条件を満たさなくてはならないということでしょうか?

ラウィ:理論上、飢饉の定義は明確です。飢饉は、非常に慎重な検討のうえで次の3つの指標を満たしたときに飢饉であると判断されます。

 

20%の世帯が極度の食料不足に直面していること、少なくとも子どもの30%が急性栄養不良になっていること、そして1日の死亡率が1万人に2人を上回ることです。

 

食料不足はもっとも測定しやすい基準で、死亡率が一番複雑です。惨状が進行する中で死亡者数を割り出すことはとても困難です。

 

また、栄養不良のピークが明らかになるまで1~2カ月を要する場合があります一般的に、家庭では子どもが優先され、大人は食事を我慢するためです。

 

「私たちは飢饉の宣言や死亡者数の調査を待ちません。人々が命を落とす状況になったら、道徳的にも倫理的にももう手遅れだからです」

国連WFPは、人々が危機に向かう転換点に達したことを把握できます。その理由のひとつは、私たちがその場に、現場にいるからです。

 

それでも、私たちが中に入れず死者数を把握できなかったり、病院に行って正確に何人が亡くなったか確認できないこともあります

 

国連WFPは最悪の状況になる前に対応を開始します。私たちは飢饉の宣言や死亡者数の調査を待ちません。

人々が命を落とす段階になったら、道徳的にも倫理的にももう手遅れだからです。

ソマリア:WFPによるガロウェでの2月の学校給食。10年前、ソマリアは飢饉で苦しんでいました。Photo: WFP/Petroc Wiltom
ソマリア:WFPによるガロウェでの2月の学校給食。10年前、ソマリアは飢饉で苦しんでいました。Photo: WFP/Petroc Wiltom
転換点という言葉が出ました。

ラウィ:はい。私は、土地や家を捨てて緊急人道支援を求める数百人の人々に次のように尋ねたことがあります。

「なぜ今逃げようと決めたのですか?どうして1週間前に逃げなかったのですか?どうして他の月に逃げなかったですか?」と。

 

彼らはみな、穀物の不作、家畜の死、食料品店の欠品、「税金」として軍が要求する食料や金銭の枯渇といった転換点に達していました。

そして、次に軍がやってくるときには代わりに子どもたちが奪われる、ということを彼らは分かっているのです。 

Man drives past building destroyed by conflict in Taz Yemen Feb 2020
イエメン:爆撃で破壊されたタイズの建物。2020年。Photo: WFP/Mohammed Awadh

ここで次のような問いが浮かびあがります。

イエメンでの転換点は何か、南スーダンの転換点は何か、マダガスカルの転換点は何か、食料危機を飢饉に推し進めるものは何か、どの時点で私たちは「飢饉の危機」または「準飢饉の状況」を警告すべきなのか。

 

そして、なぜ飢饉の宣言前に人々が死ななければならないのか、といった問いです。

 

悲劇的な問いですね。

ラウィ:飢饉は悲劇的で恐るべきものですが、次世代全体にも負の遺産を残します。

認知発達だけを見ても、子どもが十分に成長できなかった場合、認知欠損は決して回復しません。

 

飢饉が家族やコミュニティや国を襲うと、その未来に暗い影を落とします。

 

子どもの栄養不良は発育阻害や慢性的な栄養不良を引き起こし、一生の健康に影響を及ぼします。

幼いときに極度の食料不足を経験すると、その後に肥満になる危険があります。以降の人生では、細胞が栄養不良の記憶を抱えているため栄養を貯めこんでしまうのです。

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南スーダン:2017年の飢饉の宣言に際して、レール郡トニョール村に到着したWFPのヘリコプター。Photo: WFP/George Fom
飢饉は、どうしたら最大限予防できるのでしょうか?

ラウィ:システムの強化に努めることです。

 

これは、農業技術習得などの共同プロジェクトを通じて複数の集団がいかに平和的に共存するかを学習できるようにする、平和と和解の取り組みのことでもあります。

 

また、干ばつの影響を抑えるダムの建設など、気候関連の取り組みのことでもあります。

あるいは、ワクチン接種、十分に栄養のある食事、十分なきれいな水が子どもに行きわたるようにして、コミュニティや家族に回復力をつける取り組みでもあります。 

 

国連WFPでは、消耗症、発育阻害、ビタミン欠乏、肥満などのあらゆる形の栄養不良を予防することに大きな重点を置いています。

これは直接的な栄養プログラムによることもありますが、家族が栄養のある食事をもっと容易に手に入れられるようにする学校給食、農業支援、送金、小売戦略によることもあります。

 

飢饉の主な原因は何でしょうか?

ラウィ:紛争です。紛争は、人々が家、仕事、土地を捨てて逃げる飢饉のような状況をもたらしたり、人道支援の提供がアクセス制限により妨げられたりします。

 

また、家族の本来のシステムである、母親が子どもに免疫を与える能力、授乳する能力、子どもに医療を受けさせる能力を破壊します。

 

人道支援へのアクセスの有無が生死を分けることがありますが、紛争ではこのアクセスがもっとも制限されます。

命を救う支援に人々がたどり着けなければ、また母親や子どもが栄養プログラムにアクセスできなければ、惨状はすぐに飢饉に変わる可能性があるのです。

今こそ行動する時です。

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