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”命を救い、未来を救う”一年の記録

, WFP日本_レポート

イエメン 世界最悪の人道危機

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子どもたちの飢餓が深刻なイエメンで、国連WFPは2019年、食料支援対象者を最大で1200万人に拡大することを計画している。Photo: WFP/Marco Frattini

2018年はイエメンで飢餓が深刻化した年として記憶されるでしょう。紛争は、すでに中東で最貧国であった国を深刻な人道危機へと追いやりました。

12月に発表された報告によると、1600万人近く(イエメンの人口の半数以上)が毎朝空腹で目覚めており、持続的な人道支援のみがこの数の増加を防いでいます。イエメンの全ての世代の人々が栄養不良を抱えています。特に180万人の子どもたちが栄養不良によって、身体的にも知的にも発達のリスクに晒されています。

2019年、国連WFPはイエメンの食料支援を拡大し、1200万人に支援を届けることを計画しています。しかしながら、紛争地域へのアクセスの確保がままならないということは、各人道支援機関が必要とされる支援を全ての人々に届けられないということを意味します。

シリア 緊急支援と再生のはざまで

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ゼロハンガーを目指して:国連WFPシリアの食料梱包施設で国内避難民を含むスタッフが、より深刻な食料難を抱える人々への食料を梱包して生計をたてている。Photo: WFP/Hussam Alsaleh

シリアの7年にわたる戦争は、何百万もの人々を飢餓と貧困に追いやりました。今日、650万人のシリア人が、次の食事のあてがない状況で暮らしています。

国内の多くの地域で安定を取り戻しつつあり、避難をしていた家族は故郷に戻り始めています。しかし、その多くの人々の家屋は紛争によって破壊され、生計手段も失われています。紛争に関連した被害と異常気象により、シリアの農業生産はこの30年で最低となりました。

国連WFPは約300万人に食料支援を提供し続けるとともに、安全な地域で自立支援を行い、シリアの人々の生活再建や、紛争で被害を受けた資産の修復を支援しています。

南スーダン 平和への希望

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南スーダンでは5年に及んだ紛争と独立前の数十年間の争いにより、何百万もの人々が飢えに苦しんでいる。 Photo: WFP/Gabriela Vivacqua

南スーダン政府を含む5つの紛争当事者によって2018年9月に調印された停戦協定は、南スーダンに平和と安定への小さな希望をもたらしました。紛争によって避難していた人々も含め、南スーダンの人々は生活の再建に向かっています。

5年に及んだ紛争と独立前の数十年間の争いによって、国内の飢餓は非常に深刻な状況です。現時点で、440万人の南スーダン人が十分に栄養のある食料を確保することが難しく、2019年の春までにこの数は520万人(南スーダンの人口の約半数)まで増加すると予測されています。

政情不安とインフラ設備の欠如により、人道支援を行うには非常に困難な環境ですが、2018年1月から10月の間に国連WFPは500万人に食料と栄養支援を提供しました。

紛争が飢餓をもたらす

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紛争が多発しているコンゴ民主共和国のカサイ地域で770万人の人々が食料不安を抱え、460万人の子どもたちが急性の栄養不良に陥っている。Photo: WFP/Tara Crossley

イエメンやシリア、南スーダンの例でハイライトされるように、世界で最も深刻な3つの食料危機のうち2つは紛争の影響で発生しています。昨年の国連安全保障理事会で、国際社会は紛争と飢餓の関連を初めて正式に認めました。

2018年5月24日に全会一致で採択された国連安全保障理事会決議2417(2018)は、武力紛争のすべての当事者に民間人を保護することを義務づける国際法の順守を求めました。これは、食料が生産され配給される場所を標的にしないこと、戦争の手段として一般の民間人を飢えさせる行為を非難すること、そして、武力紛争下で民間人への安全で滞りのない人道支援を求めることを含んでいます。

気候変動の影響

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2018年のリーンシーズンを通して、国連WFPはサヘル地域の6カ国で何百万もの人々に食料支援を届けた。Photo: FAO-IFAD-WFP/Luis Tato

2018年の「世界の食料安全保障と栄養の現状」報告書は、紛争に加えて、気候変動と異常気象が、世界の飢餓人口が2016年の8億1500万人から2017年に8億2100万人に増加し、深刻な食料危機を招く大きな要因の一つであると指摘しています。

気候変動は、食料生産の安定や入手手段など食料安全保障の土台をあらゆる側面から崩すとともに、食料の栄養や多様性に悪影響をもたらします。

気候変動による食料安全保障への影響は世界各地で顕在化しています。アフリカのサヘル地域では、干ばつや、不作、主食の価格高騰が2018年の「リーンシーズン」の到来を早め、食料支援を強化させることによってのみ、本格的な食料危機に陥ることを防ぐことができました。

ロヒンギャ、危機の発生から1年

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この危機に関連し、2018年10月時点で88万4000人が国連WFPの食料支援を受けた。 Photo: WFP/Saikat Mojumder

2017年8月に発生した、ミャンマーからバングラデシュへのロヒンギャの人々の大規模な流入から1年が経ちました。バングラデシュのコックスバザールの難民キャンプには、90万人以上のロヒンギャ難民が暮らしています。

難民の大部分(80%が女性と子供)は命をつなぐために人道支援に頼っています。国連WFPの支援を受けた難民の約4分の1は直接食料を受け取るのではなく、毎月食料を購入するためのお金が支給されるプリペイドカードを使って、米やレンズ豆、卵、新鮮な野菜、干物などを自ら選択して食料を買うことができます。

食料と栄養支援を提供する一方で、今年の主な課題の一つとなったのはモンスーン季の安全確保です。「メガキャンプ」と呼ばれるクトゥパロン・バルカリキャンプは、世界最大かつ最も人口の多い難民キャンプです。

ベネズエラからの脱出

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よりよい生活を求めてベネズエラからの移民は困難の多い旅路を歩いた。Photo: WFP/Jonathan Dumont

ベネズエラの壊滅的な経済危機により、多くの人々が国外での新たな機会を求めて国を離れることを余儀なくされました。

バスのチケットさえも買うことができず、小さな子どもを連れた何千もの家族が何百マイルも隣国のコロンビアを目指して歩きました。多くの人々が不十分な服装と靴で、低気温のアンデス山脈を越えました。

わずかな所持品とともに、見知らぬ人々からの施しを受けて生きながらえながら、人々はコロンビアに到着しました。そこでようやく、国連WFPの支援を受けた簡易な食堂や、食料購入のためのプリペイドカード、栄養強化食品の配布や学校給食プログラムなどの支援を受けました。

人生を変える支援

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ブルンジ:地元の酪農業組合で生産され、国内唯一の処理工場で殺菌された超高温熱処理牛乳を小学校で手にする児童たち。 Photo: WFP/Giulio D'Adamo

国連WFPは、人々が十分な栄養を得て夢を育みながら生きていけるよう、毎日世界中で支援を続けています。こういった支援には、農業技術の向上、地域の生計能力の向上、気候変動への適応促進、そして子ども達が胎児期から2度目の誕生日までの1000日間に必要な栄養を確実に摂取するための栄養支援が含まれます。

国連WFPが運営、または支援をしている学校給食プログラムは70カ国以上で多くの児童が学校に通い続け、より明るい未来を築くのに役立っています。