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南スーダンでの緊急食糧支援と並行して、国連WFPでは、2014年より長期的な観点から人々が自立して食料を確保できるよう、女性の能力強化を行っています。「私たちの目的は現金支援にとどまりません。新しいスキルを習得した人々がそれぞれのコミュニティや家庭できちんと食料を入手できるようになることを目的として、このプロジェクトに取り組んでいます」と担当者は語ります。
生活スキルの習得 2014年以来、国連WFPは南スーダンのイェイ地区において、この地域の住民の長期的な食料確保が可能になるよう、現金支援と能力強化プログラムを実施しています。このプログラムは、女性支援のNPO(Women for Women International)と共同で実施されており、参加者は農業生産性向上や、収入創出のスキルを身に着けることができます。さらに、女性が1年間のプログラムに参加する間の本人および家族の生活を保障するための現金支援(奨学金の支給)が同時に行われ、継続的な参加が可能になっています。
プログラムの参加者は、参加期間中、月に10米ドルを受け取り、そして、様々な生活スキルを習得し、農業生産性向上の方法や簡単な計算、ビジネス・スキルを学ぶほか、衛生、健康、栄養、ジェンダーに基づく暴力、家族計画、女性のエンパワーメントについて学びます。また、住民同士で共同基金を設立し、地方に住む家族も支えていけるよう、ネットワークやグループの構築についても学んでいます。
南スーダンでこのプロジェクトを担当する職員は、「私たちの目的は現金支援にとどまりません。新しいスキルを習得した人々がそれぞれのコミュニティや家庭できちんと食料を確保できるようになることを目的として、このプロジェクトに取り組んでいます」と語ります。
未来への貯金 女性グループが共同基金を設立できるよう支援することで、彼女たちのビジネスの拡大、そして食料の安定確保も後押ししています。
ジャッキー・ディキさんはイェイから30キロほど離れたラス村にある、女性共同基金の代表を務めています。ジャッキーさんは、プログラム参加期間中に国連WFPから受け取った奨学金を貯金し、共同基金に投資しました。 「先日、草ぶきだった自宅の屋根をトタン板に張り変えたんです。プログラムに参加する前は、未亡人である自分が生きていけるのか心配でしたが、共同基金のメンバーの支えもあり、今はまったく心配していません。自由に生きていると感じられるんです!」とジャッキーさん。
現在グループでは、販売用のトウモロコシやピーナッツ、豆を育てるための農園を始めるために共同基金のお金を投資しています。今、耕作用に使っている土地は共同基金のメンバーの1人が提供してくれていますが、将来的には、地域のリーダーたちに土地を譲ってもらうことも考えています。
女性だけでなく、男性にも 2014年の開始から、2,800人以上の女性がこのプログラムに参加しました。最近では2016年4月、200人の女性と、さらに50人の男性が卒業証書を受け取りました。
プログラム開始当初は女性参加者限定でしたが、女性を勇気づけ、支える男性を増やす目的で、最近は男性の参加者も受け入れるようになりました。 妻の新たな取り組みを支えたルアテ・エリモアさんは語ります。「プログラムに参加して以来、妻は家族とコミュニティの双方に影響を与える強い女性になりました。生活を改善するために得たスキルや知識を活用するよう、仲間の女性に呼びかけています。また、すべての南スーダン人は、女性が希望を持って、社会を変えられるよう、女性の教育を奨励するべきだと思います」。
本プロジェクトは順調に成果を上げており、国連WFPはNPOと共同で、隣国コンゴ民主共和国からの難民も参加できるよう、このプログラムを拡大する計画です。