南スーダンでの地域社会強化の取り組み
南スーダン南西部のヤンビオは農業と肥沃な土地で知られています。10代のサルワちゃんと彼女の母、グレース・マーティンさんの一日はここで始まります。
小学校の最終学年になったサルワちゃんには大きな将来の夢がありますが、問題も数多くあります。
「お母さんはとても苦労してきましたが、私の学費と毎日のご飯のために今でも懸命に働いています。だから学校で一生懸命勉強して、将来お母さんを助けたいと思います」とサルワちゃんは言います。
マーティンさんは2人の子どもを抱えるシングルマザーで、子どもたちを育てながら、2人の姉妹と母親の面倒もみています。
マーティンさんは、「以前はとても大変でした。学費を払うお金が足りず、食べ物も十分になかったので子どもたちはよく病気にかかっていました」と語ります。
マーティンさんは現在コミュニティファームで働いています。ここには彼女の農園があります。また、地域の道路へのアクセス改善にも貢献しています。この2つの活動は、ドイツ開発銀行が資金提供する、地域社会強化のためのユニセフと国連WFPの共同プロジェクトの一貫です。
この取り組みは収穫後の作物管理と商取引などの研修も行っており、ヤンビオのような南スーダンの都市部で展開されています。
このプロジェクトは、地域社会における安全な学習場所へのアクセス改善、健康と栄養サービスの向上、食料安全保障の強化を目指しています。マーティンさんと娘のサルワちゃんにとって、この支援は人生を一変させ、夢を明るい未来への一歩に変えました。
「今は子どもたちが少なくとも毎日2回食事ができるので、学費を優先できます」とマーティンさんは言います。
東アフリカにあるこの南スーダンでは、710万人が食料に困窮し165万人の子どもたちが栄養不良で苦しんでおり、毎日2回食べて学校に通うことは容易ではありません。また南スーダンは、世界でも識字率が最も低い国のひとつです。
国連WFPの学校給食支援は、生徒が毎日少なくとも1回は栄養のある食事をとれるようにすると同時に、学校への出席も促進しています。これはサルワちゃんのような少女には特に重要です。南スーダンの少女の40%は18歳になる前に結婚するため、学校を辞めなくてはならず高等教育を受ける機会を失ってしまいます。
サルワちゃんも、強い地域社会を作るという取り組みに参加しています。サルワちゃんの通う学校では 国連WFPが1,400人を超える生徒に学校給食を提供していますが、ここでは科学などの科目だけでなく、生きるため、自立するために不可欠なスキルも教えています。
男女平等とジェンダーによる暴力は、少女と少年の両方のカリキュラムに必須項目として組み込まれています。生徒たちが現実社会での困難に備え、より公平な地域社会を構築できるように、学校では多面的な教育が行われています。
サルワちゃんは実践的な農業技術も学んでいます。学校菜園にも参加しており、そこで採れた新鮮な果物や野菜は国連WFPの学校給食にも使われます。
サルワちゃんは、「学校で学んだことは家族農園で実践しています」と言います。
たくさんの野菜が育つ家族農園は栄養のある食事を提供するとともに、残った作物を売ることで追加収入も得られます。
でもサルワちゃんの将来の夢は農家ではありません。
サルワちゃんは語ります。「好きな科目は科学です。科学が大好きなので、将来はお医者さんになって人を助けたい。」