瀬戸際に立つガザ:4人に1人が極度の飢餓に直面
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ガザでは、十分な食料、清潔な水、医療や衛生へのアクセスが早急に回復しない限り、飢きんが発生する危険性があります。ガザ地区の全人口にあたる約220万人が、危機的あるいはそれ以上のレベルの食料不安に苦しんでいます。
22日(木)に発表された総合的食料安全保障レベル分類(IPC)報告書で憂慮すべき状況が明らかになりました。
ガザ住民は壊滅的な飢餓に直面 紛争が続けば飢きんも:IPC報告書
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国連世界食糧計画(WFP)やその他の国連機関、非政府組織のデータを含む、最新のガザ地区の食料安全保障分析は、4世帯に1世帯以上が極度の飢餓に直面していることを明らかにしています。
戦闘が開始されてから10週間が経過しましたが、紛争が収まる兆しはありません。人道的アクセスは著しく縮小しており、支援活動を行うために必要な基本サービスは崩壊し、人道支援従事者は自分たちの命や安全も脅かされながらも、任務を遂行しています。
「現地にいる私たちのチームの大半は、自分自身もこの危機を生き抜きながら活動している現地スタッフです。彼らの多くは既に三回から四回避難を繰り返しており、自身も避難所での生活を余儀なくされているにも関わらず、支援を届けるために奮闘し続けています」国連世界食糧計画(国連WFP)のカール・スコウ副事務局長は、先週ニューヨークで開かれた国連ブリーフィングで記者団に対し、こう話しました。
「ラファ検問所には深刻なボトルネックがあり、この検問所を通過する物資は散発的で予測できません。私たちのチームは国境の反対側で、通過してくるものをピックアップするのを待っています」とスコウ副事務局長は言います。
支援物資の流れを拡大するために国連WFPと当局が調整を続けてきた結果、10月に戦闘が勃発してから初めて、ヨルダンとイスラエルとの境界にあるケレム・シャローム検問所から、2つの人道物資の輸送車列がガザ地区に入りました。750トンの緊急食料を運び入れたこの重要な一歩によって、ヨルダンからのより継続的な支援のための経路が開かれることが期待されています。
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一方で、激しい戦闘と砲撃は、この人道危機の影響を強く受けている人びとに手を差し伸べようとする現場の人道支援者たちに、大きな困難をもたらし続けています。
10月に戦闘が始まって以来、支援物資の搬入と配給は困難を極めています。五回の停電は、人道支援活動や人道支援に必要な重要情報へのアクセスを妨げました。
国連WFPとパートナー機関は、11月にガザで79万9,000人に食料を届けましたが、燃料が限られ、電気がなく、ガザ地区に入るための検問所は1カ所しか機能していなかったため、アクセスは遅々として進まず、不規則でした。
縮小する活動場所
7日間の戦闘の人道的休止は、支援物資の流れを可能にしました。国連WFPとパートナー機関は、大きな被害を受けたハンユニス、ディール・バラフ、ガザ、ヌセイラートなどの地域に住む 人びとに支援を届けるため、国連の避難所の外にある食料配給拠点の数を倍増させました。12月1日に戦闘が再開され、前線が移動すると、それらの地域は再びアクセスできなくなりました。
「支援を求めることもどこで支援を得られるのかを聞くことさえも諦めました」食料配給場所の安全が失われたディール・バラフに住むフセイン・カルートさんは言います。「今、私たちはもう一日生き延びられるかどうかを考えています」 45歳のカルートさんは、ガザ地区のアクセス困難な地域に閉じ込められ、人道支援から断絶されている数十万人のガザ住民の一人です。
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「ガザの人びとには、食料を探す自由さえありません。動けば命にかかわる可能性があるからです」国連WFPと活動をしているヒンド・クーダリーは、国連の仮設シェルターが設置されているガザ側のラファにいます。「近所の人は、ドアを開けてくれ、自分たちが持っているものを分けてくれました」
ガザからの日記:「誰かを悼む時間も、何かを悼む時間もありません」
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しかし、ガザ地区の全人口の半分は飢餓に直面しており、パレスチナ人の10人中9人は1日に1食以下しか食べず、飲むのに適した清潔な水を見つけるのに苦労しています。空腹で弱っているため、病気にかかるガザの住民は増加しています。免疫力が低下しているため、病気にかかりやすくなっているのです。

国連WFPが契約しているガザ地区の25のパン工場のうち、1軒を除いてすべての工場が砲撃で破壊されました。国連WFPの長年のパートナーの一人、ジャマール・アブアイタは、紛争前まで国連WFPのガザでの食料支援プログラムを支えてきた乳製品工場を経営していましたが、砲撃で家族とともに亡くなりました。
また、あらゆる商業活動が停止しているため、商店はほとんど空っぽで、市場でわずかに手に入る食料品の価格は高騰しています。
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国連WFPは、大規模な支援物資の滞りない輸送を可能にし、ガザ地区での飢餓悪化を防ぐため、その他の人道支援機関や国際社会とともに、即時停戦とすべての国境検問所の開放を求めています。
この記事は12月22日(金)に更新され、IPC報告書で発表された新しい数値、そしてヨルダン経由で新たにガザ地区へのアクセスが許可されたことを反映しています