爆撃と飢餓がガザを襲う中、国連WFPとパートナーは支援を強化
国連WFPパレスチナ事務所のサーメル・アブドルジャーベル代表は、エルサレムにある事務所の廊下を行き来しています。携帯電話を握りしめ、冷静な声で、アブドルジャーベル代表は1万1000人以上が死亡し、大量の避難民、広範な食料不足、そして飢餓のリスクさえ引き起こしている、6週間に及ぶ戦争が続くガザ地区への人道的アクセスを交渉しています。
この紛争は、想像を絶する人道的大惨事を引き起こしました。 絶え間ない砲撃と深刻な燃料とガス不足は、ガザ地区の生命線を遮断させ、あらゆる人道支援活動を妨げています。危機が始まって以来、国連WFPが提供できる食料支援のわずか10%しか届いていません。
「困難な状況にありますが、すべての人に手を差し伸べなければなりません。私たちはガザに食料を届け、命を繋ぎ止めるための支援活動を行うために、あらゆる関係者と協力して、できること全てを行っています」とアブドルジャーベル代表は話します。
命を危険にさらす飢餓と病気
現在、ガザ地区の人口230万人の3分の2以上が家を追われています。多くの人びとが、過密状態の避難所やその場しのぎのテント、空き地など、十分な食料や清潔な水、適切な下水処理や衛生設備もない場所に留まっています。地区がまるごと破壊され、そこにあった市場、商店、パン工場や公共サービスもすべて失われています。爆撃による死を免れた人びとも餓死や病死のリスクにさらされています。
「私たちは子どもたちのために、通りからプラスチックごみをあさって火をおこし、見つけたものを何でも調理しています。小麦粉もなく、子どもたちはお腹を下しています。味方になってくれる人は誰もいません。私たちが何をしたというのでしょう?」アルマスリーさんは国連WFPの職員に話しました。彼女の夫は、ガザ北部のベイトラヒヤにある自宅への空爆で死亡し、彼女は一人で子どもたちを養うことになりました。
「私が切実に必要としているのは一袋の小麦粉です。子どもたちが再びパンを口にできるように。」とキタンさんは避難所となっているガザ地区のカーン・ユニスで国連WFPの職員に語りました。一方、1,000トンを超える食料を積んだ国連WFPのトラックは、ラファ検問所に列をなし、キタンさんを含むガザ地区の人びとに支援を届けるために待機しています。
燃料、アクセス、国連WFPのチームにとっての原動力
国連WFPがガザ地区の人びとが飢餓に直面しているのという警告を発したことを受け、11月17日、支援物資の輸送のための燃料の運び入れを許可する合意が発効しました。この合意により、ガザ地区内に留まっていた8台のトラックは、ようやく約2万3000人に対する二週間分の緊急支援食料を輸送することができました。
支援の量と届ける回数を増やすことが、この人道的大惨事を食い止める唯一の方法です。壊滅的な被害を受けているコミュニティの負担を和らげ、命を救うための本格的な人道的対応には、少なくとも1日100台のトラックによる食料支援、複数の境界検問所、および戦闘の一時休止が必要です。国連WFPは、複数の人道支援団体やパートナー組織と協力しながら、12月までに100万人以上に支援物資を届けることができます。
国連WFPは、配給拠点への食料配達のほかに、ガザ地区に商業物資が再び流入し始めるまで、空っぽになった商店に食料を届けることで、市場の商業活動を支援することもできます。
ガザにいる職員は、現在残っているパン工場を調査し、営業再開が可能なものはすべて再開させるために努める一方、人びとがパンを入手できるよう、太陽光調理器の導入を検討しています。現在、国連WFPがガザ地区内で契約しているパン工場はひとつも機能しておらず、国連WFPが契約しているガザ最大級の製粉所も爆撃を受け、損傷しています。
国連WFPが主導する緊急通信クラスターは、停電が続くガザ地区での活動モニタリングを強化するため、支援物資の動きや取引を監視するための通信機器を運び込む方法を模索しています。「モニタリングは共同の責任です」とアブドルジャーベル代表は述べ、ガザでの通信サービス回復の必要性を強調しました。
アブドルジャーベル代表にとって、戦火に見舞われているガザの人びとに支援が届いたというニュースや、一日の終わりにスタッフが無事に拠点に戻ったというニュースは、彼や彼のチームの原動力となるささやかな勝利です。「トンネルの先の光はまだ遠いかもしれないですが、希望を失うわけにはいきません。」