COP28: 気候変動で飢餓が加速する中「損失と損害」を抑える4つの方法
11月30日から12月12日までドバイで開催され、世界の指導者たちが集結するCOP28(国連気候変動枠組み条約第28回締約国会議)では、気候変動による「損失と損害(ロス&ダメージ)」が重要な議題となります。
2023年は史上最も暑い年になると専門家は予想しており、壊滅的な影響がもたされています。
気候危機への取り組みは、世界の温室効果ガス排出量の削減をはじめとした、問題の回避から始まります。しかし同時に、住居、農作物、生活、道路や橋などのインフラに対するロスやダメージに対処するために必要な手段を地域社会に提供する必要もあります。
私たちは生活に必要不可欠な生態系や文化遺産を守ろうとする人びとを支えることができます。
気候変動による最も深刻なロスやダメージを被っているのは、しばしば気候変動の原因にはほとんど寄与していない人たちです。
貧しい国や低所得国の人びとが今も、気候変動による悪影響の矢面に立っています。国連WFPは、そのような国々において、気候変動の影響から身を守れるよう、年間1500万人以上を支援しています。
アフリカ諸国は、世界の温室効果ガス排出量のわずか4%しか寄与していないにもかかわらず、干ばつや洪水がもたらす最も壊滅的な影響を受けています。農作物は枯れ、人びとは家畜を失い、防げたはずの悲劇が起こってしまいます。
アフリカの角に位置するエチオピア、ケニア、ソマリアなどの国々では、気候変動によって引き起こされた極度の干ばつが3年間続き、2300万人が深刻な飢餓に追い込まれています。ソマリアでは、今年3月にようやく雨が降ったものの、代わりに鉄砲水を引き起こし、全土で14万人が避難を余儀なくされました。
災害が起こる前に行動
国連WFPは地域社会と協力し、気候ショックに耐えるためのレジリエンス(強靭性)を強化するため、早期警戒システムと連携した予測型対策(被害を軽減するための事前行動)を行っています。
2023年末に予測される干ばつの悪化を前に、国連WFPはレソト、マダガスカル、モザンビーク、およびジンバブエで、不作や市場の混乱から人びとを守るため、地域全体を対象とした予測型対策を開始しました。55万5000人に現金支援を提供し、家畜の保護や水不足への備えを可能にしています。
シュピカイさんはジンバブエの農民の一人で、早期警戒プログラムを通じてテキストメッセージを受け取りました。「メッセージは雨が降るかどうかを教えてくれます。それで、いつ畑に肥料をやればいいかわかるんです」とシュピカイさんは話しました。
保険を通して生活を守る
国連WFPはまた、地方自治体や地域社会と協力し、農作物や家畜の保険への加入を支援することで、気候変動による災害が発生した場合、人びとが損失に対して現金で補償を受けられるシステムを導入しています。
この保険により、人びとは失われた収入を補い、食料や追加の作物を購入したりして、生活を守ることができます。このような支給は、トウモロコシや豆類などの農作物の損失を補償し、子どもたちを学校に行かせなくなったり、家畜を売ったりするような行動の回避に役立ちます。
53米ドルの支払いを受けたマラウイの農民、カディジャさんは、国連WFPに次のように話しました。「今回の支給にとても感謝していますが、さらにこの事業を通じて学んでいるさまざまな農業技術によって、今後の気候ショックに対して強くなれることを期待しています。」
自然がもたらす解決策
物理的な保護も、ロスやダメージを最小限に抑える方法のひとつです。丘の斜面を段々畑にして地滑りを回避したり、生け垣で土壌浸食を防いだり、共同池で干ばつ時の給水量を増やしたりすることができます。このような生態系に基づくアプローチは、実績のある成功例です。
ニジェールでは、国連WFPは地域社会と協力して、土地の復旧、子どもたちの復学支援、食料支援や栄養支援へのアクセス改善を組み合わせた総合的なレジリエンス構築プログラムを実施しました。特に不作だった2021年の雨季の後も、このプログラムに参加した村の80%は人道支援を必要とせず、気候変動によるショックに耐える能力が培われたことが証明されました。
緊急支援
気候変動に対する対策の最終層は緊急支援です。気候ショックに対する準備や適応が不十分な地域社会がロスやダメージを被った際、人道支援機関は食料、現金、一時的な避難所や医療などの形で重要な支援を提供することができます。
2022年にパキスタンで発生した、国土の3分の1が水没した壊滅的な洪水の際にも、国連WFPは政府と協力し、被災者に緊急食料支援、現金支援や栄養支援を提供するとともに、パキスタンの国家防災管理庁や人道支援団体へのロジスティクス支援を行いました。
気候関連の災害が悪化の一途をたどり、紛争や経済不況を含む他のショックと複合的に影響し合う中、人道支援システムは今、限界に達しています。
支援に対するニーズと資金とのギャップが拡大し、世界中の人びとが苦しんでいます。国連WFPは、気候ショックに対して特に脆弱な地域社会におけるロスやダメージを回避し、最小限に抑え、対処するために、緊急かつ意欲的な政治行動を必要としています。
世界が立ち上がらなければ、何百万もの人びとが危険な異常気象に翻弄されることになります。