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COP26:気候危機の解決には、崩壊した食料システムを立て直さなければならない

国連WFPの気候・災害リスク削減担当責任者であるゲルノット・ラガンダが、2つの大きな問題に対する共通の解決策について語ります。
, Gernot Laganda
Madagascar
マダガスカルのファンディオバで家族と話す国連WFPスタッフ。Photo: WFP/Tsiory Andriantsoarana

私たちの食料システムが地球を壊しています ― また、気候危機が私たちの食料システムを壊しています。これらは、現在世界が直面している最大かつ最も複雑な2つの問題であり、2021年に国連が主催する2つの大きな対話の議題となっています。

 

9月に開催された国連食料システムサミットでは、WFP国連世界食糧計画(国連WFP)が警鐘を鳴らしました。食料システムが不平等、負荷がかかっている、もしくは崩壊している国では、8億1,100万人が飢餓に苦しんでいます。

 

今回のサミットでは、食料システムをより広範な文脈で捉え、私たちが食料を生産、加工、輸送、消費することで、グローバルかつ広範な影響を生み出していることを認識しました。これらの影響は、地球の気候システムの奥深くにまで及んでおり、気候変動への適応と緩和という観点から食料システムを見直す必要があります。

熱波、暴風雨、洪水、干ばつなどの異常気象は、食料へのアクセスと安定性に影響を与えます。時期外れの降雨、季節の変わり目の不規則さ、土壌や地下水の塩分濃度の上昇、害虫の発生や病気、作物や家畜の熱ストレスなどの気候ストレスによって、食料の生産が損なわれ、手ごろな価格で食料を手に入れることができなくなります。気候的、社会的、経済的な緊張によっていったん食料システムに大きな負荷がかかると、小さな混乱でも食料システムが崩壊し、人々は外部からの支援に頼るようになります。

 

食料システムと世界的な気候は、他の面でもつながりがあります。世界の温室効果ガス排出量の3分の1は今日の食料システムに起因するもので、地球の温暖化を加速させています。この温暖化は、気候の極端な変化という形でブーメランのような影響をもたらし、サプライチェーンを破壊し、食料価格を押し上げ、多くの国では飢餓や栄養不良を引き起こします。

 

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ザンビア:グウェンベ地区の学校に国連WFPが設置した水耕栽培の農園。Photo: WFP/Andy Higgins

国連WFPは、食料システム・サミットへの参加を通じて、食料システムが気候変動対策の対話の中で不可欠な議題となるべきで、気候変動対策は、持続不可能で脆弱な食料システムをより回復力のある公平なものに変える機会と捉えるべきであると提唱してきました。

 

しかし、グラスゴーで開催される国連気候変動枠組条約第26回締約国会議では、190カ国以上の国々が一堂に会しますが、食料システムの話題は国連気候変動会議の主流とはなっていません。

代表者たちは、地球の温暖化を1.5℃以下に抑え、急速に変化する気候の影響に適応するために、さまざまな立場、計画、アプローチ、期待を持ち寄ります。しかし、すべての参加者が食料システムを解決策の一部と考えているわけではありません。

 

この1年間、国連WFPは約40カ国のホスト国の政府と、食料システムにおける気候変動リスクの管理を強化する方法について、戦略的な対話を行ってきました。状況に応じて、小規模農家を対象とした気候リスク保険の活用や、地域社会が気候ショックに見舞われる前に予測に基づいて予防的に行動することなどを行ってきました。国連WFPは、小規模農家に個々の状況に応じた気候情報を提供する方法や、オフグリッドの学校給食支援に持続可能な調理法を適用する方法などのモデルを示しました。

 

国連WFPの現地事務所は、食料システムにおける損失や損害をいかにして回避できるかを示してきました。例えば、バングラデシュでは、過去数十年で最悪のモンスーンによる洪水を前に、15万人に予測に基づき事前に現金支給したことで、人びとは資産を守り、自分や家畜を危険な場所から移動させることができました。

 

脆弱な家庭には、洪水が発生する数日前に現金と警報情報が届きました。その結果、世帯への調査で、洪水時に1日も食事を摂らずにいる確率が36%減少しました。人道支援の費用は半減しました。人びとは稼ぎを維持でき、非公式な高利貸しから借りる必要もありませんでした。

 

このような解決策により、国連WFPは気候変動への適応についての議論と、食料システムの回復力についての議論を結びつけることができます。食料システムの変革は、適切に行われれば、気候変動対策を加速させることができ、逆に気候変動対策が食料システムの変革を可能にし、時にはそれを引き起こすこともあります。重要なのは、今日の世界で私たちが直面しているリスクや問題、またその解決策もグローバル化しており、相互に関連しているということを認識することです。

 

国連WFPの気候変動対策への取り組みについてはこちら から

 

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