人道的空中投下:希望の光
WFP国連世界食糧計画(WFP)は毎日、食料を必要としている人びとに物資を届けるために、5,000台以上のトラックを稼働させています。しかし、最も弱い立場にある人びとは、紛争や過酷な気象条件、またはインフラの不整備によって、依然として援助の手が届かない場所にいるのです。
ほかの効果的な選択肢がないとき、空中投下が行われます。現在、国連WFPによる空中投下は南スーダンの遠隔地のみで実施されており、絶望的な状況にいる人びとの命綱となっています。
緊急人道支援として、国際連合で最初の空中投下が行われたのは1973年8月です。国連WFPが率いる投下に12か国の軍隊が30もの貨物機を動員、チャドやマリ、モーリタニアやニジェール、セネガル、そして当時はオートボルタと呼ばれたブルキナファソなど、6年にも亘る干ばつに苦しむアフリカの西サヘル地域の人びとに空中投下が行われました。この支援の期間は3年間にも及びました。
慎重極まりない準備
空中投下までの道のりは、倉庫から始まります。空中投下による着地の衝撃に耐えるためには、頑丈な梱包が重要です。一つひとつの袋はミシンを用いて6重に補強されています。白は穀物、赤は豆類、青や緑は特定の栄養食品など、袋の色が内容物を表しています。
晴れ渡った空・・・
高度300メートルから、地上からの攻撃を受ける可能性のある紛争地域では高度5,600メートルまで、空中投下は幅広い高度から実施することができます。軍に包囲されたシリアのデリゾールに住む10万人の人びとに支援を届けるために、WFPは最も高い高度から空中投下を実施しました。
強風や砂嵐をはじめとした不利な気象条件では、正確な空中投下に支障をきたし、安全な作戦の成功を脅かします。
計画通りに空中投下を実施するためには、気象データの分析と、現地にいる職員から報告される実際の天候についての情報を照合し検証することが重要となります。
・・・地上では
投下場所は、開けていて見通しがよく、できるだけ平らで空から確認しやすい場所である必要があります。投下高度によって、小さいものではサッカーのフィールドくらいの広さから、大きいものでは1,000メートルから1,500メートル四方の広さを要します。
地上のチームは投下場所に人や障害物などがない事を確認し、飛行機で待機している職員に積み荷の投下のゴーサインを出します。その後、地上チームは食料の分配に取り掛かります。
最後の手段
1973年に初めて実施されてから今まで、空中投下は大勢の命を救ってきました。今後も、空からのアプローチが唯一の手段である場所にいる人々へ支援を届け続けます。
空中投下には、飛行機をはじめ燃料や人件費などのコスト、そしてトラックの輸送隊に比べ一回あたりの輸送量が少ないという問題があります。そのため、地上から支援を届けるという選択肢が無い場合の最後の手段として、空中投下が用いられているのです。
空から食料を届けるには、地上輸送の7倍もの費用がかかります。国連WFPの活動を支える皆様からの寛大な寄付を効率的かつ有効に活用するため、より費用効果の高い方法を探し続けています。
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