2019年の南スーダン食料危機に関して知っておくべき6つのこと
東アフリカの南スーダンで飢餓がピークを迎えている今、あなたはこの継続的な危機に対してどれだけ知っていますか?
トムソン・フィリ
5月から7月のもっとも収穫が少なく、飢餓人口が多くなる時期「リーンシーズン」に南スーダンで過去最高の690万人(人口の60%以上)が次の食事をどこから得られるかわからない状況に置かれます。これは6月に発行された総合的食料安全保障レベル分類(IPC)報告書の主要な調査結果の1つです。
収穫が少なくなる時期は雨季に重なるため、人道支援機関や商人が陸路で多くの地域にアクセスできなくなります。
IPCは食料不足の深刻度と規模の測定基準を設けています。南スーダンでIPCが分析を始めた2007年以来、これほどの飢餓人口の急増がみられたのは初めてです。
WFPの対応
2019年には、さらに多くの人に対し、人命を救うための人道支援が必要となります。国連WFPは緊急支援を増やし、今年は510万人に提供する予定です。また、国連WFPの支援は人々が将来の危機に備えるための耐久力を強化するためにも使われます。
今年、国連WFPは雨季が始まる前に60の地域に計17.3万トンの食料を配備しました。2018年の同時期に比べると6.6万トンの増加です。これは事前配備目標の98%に当たり、過去最高です。
正しい場所に正しい時期に食料を配備することは、人命を救うだけでなく、配送にかかる費用を削減することにもつながります。なぜならば陸送することで、費用がかかる空中投下を減らせるからです。空中投下は11月に終わる雨季により完全に孤立した地域に物資を届けるための最終手段です。
南スーダンの食料不足について知るべきことは下記のとおりです。
1.南スーダンは、いまだかつてない食料不足に直面しています。2013年から続く紛争による影響に加えて景気の停滞が人々の生活や生計を損なっています。
2.収穫量の低下や国内外に住む数百万の避難民、および降雨の遅れ、東アフリカとアフリカの角地域(北東部)の大部分における干ばつ、多くの人々がすべての資産を失っている状況によって食料危機は深刻化しています。
3.深刻な食料不足に直面している人の数は年々増加しています。食料不足のレベルが「緊急」(IPCフェーズ4)に達している人々の割合は人口の16パーセント(182万人)と、過去の収穫が少ない時期に比べ最大です。
4.2013年以来、南スーダンで5月から7月の収穫が少ない時期に深刻な食料不足レベル「緊急」(IPCフェーズ4)もしくは「危機」(IPCフェーズ3)に直面している人は毎年増え続けています。
5.最新のIPCでは特に被害が深刻になるジョングレイ、レイク、上ナイル地域で2.1万人に上る人々が、収穫の少ない時期のピークである7月に、飢きんのような状況に陥ると予測しています。緊急食料支援を受け取らないと彼らの生活はさらに危険にさらされます。
6.南スーダンが抱える問題は人道支援機関のみで対処できるものではありません。人々が長年の生活と生計の崩壊から立ち直るためには恒久的な平和をもたらす政治的解決しかないのです。
支援者の役割は重要です
アフリカ開発銀行、米国、英国、ドイツ、EU、カナダ、そして日本からの支援を受け、国連WFPは命をつなぐ緊急食料支援、地域の資産を建設・修復する労働の対価としての食料支援、子どもと妊産婦の中度急性栄養不良の予防・改善などの様々な活動を行っています。