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シリア支援の対象を700万人超に拡大 支援物資の空輸開始 

シリア支援の対象を700万人超に拡大 支援物資の空輸開始 
国連WFPは16日、シリア国内や近隣諸国に避難しているシリア人への支援活動を拡大し、支援対象人数を700万人超にまで増やすと発表しました。最近の調査によると、シリア国内の人口の半数近くが食糧難に陥り、生きていくために緊急食糧支援を必要としていている人は630万人近くに達しています。また、今季は、大雪をともなう寒波に見舞われ、かつてない厳しい冬となっていることから、国連WFPは国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)、UNICEFとともに、イラクからシリアへの緊急支援物資の空輸を始めました。

2014年、国連WFPはシリア国内で避難を余儀なくされている425万人と、近隣諸国に避難している約290万人に食糧支援をする計画です。「この数十年で最悪の危機です。日々、食糧難に陥るシリア人の数は増え続けています」と国連WFPシリア危機担当・地域緊急調整官のムハンナド・ハディは述べました。「近隣諸国への難民の流入を減らす方法の一つは、シリア国内で紛争の影響を受けている人たちに緊急に、必要不可欠な支援を行うことです。」

食糧が手に入りづらくなっていることを受け、国連WFPは、1人の1日あたりの摂取カロリー量を増やすべく、支援食糧の量を増やす予定です。2歳までの子どもの栄養不良を防ぐことの重要性と緊急性に鑑み、生後6~23ヶ月の24万人の子どもに栄養補助食品を配ります。また、教育を受けることが困難になっているアレッポやアルハッサケなどの地域で新たに学校給食プログラムを始め、また、次世代を担う子どもたちが飢餓や栄養不足に苦しまないよう、現金と食糧引換券を妊娠中の女性や授乳中の母親に配ります。

15日、国連WFPが手配した最初の飛行機が小麦粉、パスタ、油、砂糖、塩、米、缶詰の豆、ひき割り小麦など40トンの食糧を積み、イラクのアルビルからシリア北東部カーミシュリーに到着しました。これからの数日間、国連WFPはさらに11機の飛行機で3万人以上の人々の1か月分の食糧を運びます。UNHCRは5万枚のブランケット、1万セットの台所用品、3万枚のビニールシートなどを、UNICEFは水や衛生用品などを空輸します。空輸に際してはイラクとシリア政府の両方から許可を得ています。

今年は例年より早く冬が訪れています。猛烈な寒気の影響で、支援団体の車は足止めされ、カーミシュリー空港は数日間閉鎖、国連の支援物資を運ぶフライトも予定より遅れました。空輸が可能となったことで、これまで治安上の問題から陸路で入れなかった地域にもアクセスできるようになりました。シリア北東部のアルハッサケへ向かう道路は治安が悪いため支援機関が入れず、5月以降、陸路から支援物資が届いていません。そのため、物資を届ける他の方法が必要とされていました。「この厳しい寒さの中で、紛争の被害に苦しむこの地域の人達になんとしても食糧を届けなければなりません」と国連WFPシリア事務所のマシュー・ホリングワース代表は述べました。
UNHCRによると、アルハッサケで特に弱い立場に置かれている人は5~6万人とみられています(正式な数字は調査中)。

近隣諸国では、レバノン、ヨルダン、トルコ、イラク、エジプトで290万人以上の難民を支援するため、食糧引換券のプロジェクトを拡大します。

国連WFPは市場に食べ物があっても、人々が購入する現金を持っていない場合、食糧そのものの代わりに食糧引換券を配布しています。食糧引換券は地元の景気を促進し、難民受入国の経済も押し上げます。国連WFPは2011年10月にシリアでの緊急支援活動を始めました。14すべての行政区に毎月3000台以上のトラックを走らせ、シリア赤新月社や28の地元支援団体とともに、400万人近い人たちに食糧支援を行ってきました。シリア支援は、国連WFPの世界中の活動で、もっとも大規模かつ複雑なものです。国連WFPは2014年、シリア紛争下の人々に食糧を届けるため、およそ20億米ドルを確保する必要があります。