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食糧価格高騰についての10の質問

ローマ発:
最近アメリカで干ばつが起きトウモロコシの価格が影響を受けていることから、食糧価格の問題に再び世界の注目が集まっています。

国際連合食糧農業機関(FAO)の最新情報では、食糧価格は、しばらく下落していたもののやや増加に転じました。食糧価格が高騰すると、最も貧しい人々はさらに

生活費を切り詰めなければなりません。食糧支援のニーズは増える一方でその費用はより多くかかってしまいます。

 WFP

 
現在の食糧価格高騰の原因、影響はさまざまです。
食糧価格高騰についてより理解を深めるために以下の10の質疑応答をお読みください。
 

1.実際のところ食糧価格はどのくらい値上がりしたのですか。

世界の農産物価格の月ごとの変化を監視しているFAO食料価格指数は、3ヵ月連続下落の後、6月から12ポイント上昇し7月には平均213ポイントになりました。しかしながら、2011年2月に記録した史上最高値238ポイントは下回りました。
 

2.なぜ7月に食糧価格が急騰したのですか。

食糧価格が急騰したのは、穀物と砂糖の価格が急に上昇したからです。FAOによると、最近アメリカで起きた干ばつにより、米国のとうもろこし収穫量は当初の予測より大幅に減ると見られています。これにより7月にはとうもろこし価格が23%上昇しました。
 

3.これを始めとして、食糧価格の上昇傾向は続くのですか。

まだはっきりと分かりませんが、今のところコメの価格は安定しています。これは非常に重要です。しかしここから数年は食糧価格の高騰と変動が続くであろうという兆候がいくつも見られます。これによって、農家、消費者や各国が貧困や食糧難にさらされる可能性が高まるでしょう。
 

4.なぜ食糧価格の変動が続くのですか。

専門家によると異常気象が今後より一層増えることが予想され、穀物生産に打撃を与えると見られています。また、急成長を遂げている国々ではより豊かな食生活を人々が求めるようになります。FAOのレポートによると、バイオ燃料の増産も一つの要因と見られます。もちろん、純粋に世界の人口が増加しているという理由もあります。
 

5.食糧価格高騰の影響を最も受けやすい国はどこですか。

多くの食糧を輸入しなければならない貧しい国々です。その他に、インフレ率が高い国、外貨準備高が少ない国、通貨がドルに対して下落している国も挙げられます。
 

6.貧しい国の人々はどのようにして対処しているのですか。

国連WFPが活動する国々では、収入の60-80%が食料費に消える貧しい家庭があります。このような家庭では、食糧が高騰すればすぐに生活が困難になります。貧しい人々は一日に食べる食事の回数を減らしたり、より安く栄養価が低い食糧を買ったり、教育費や医療費を削ったりするようになります。
 

7.食糧価格高騰は貧しい農家には恩恵をもたらさないのですか?

農業によって収入を得ている人にはチャンスかもしれませんが、こういった貧しい農家の人々は自分たちが食べる食糧も十分に生産できないのです。彼らの大半は食糧を高く売れる市場には進出出来ず、また収穫量を増やす肥料などの農業資材も手に入りません。
 

8.食糧価格高騰は国連WFPの活動にどのように影響しますか。

二つの面で影響があります。まず飢餓で苦しむ人々に支援するための食糧の購入コストが上がります。一方で支援を必要とする人は増えます。もし高騰が続けば、国連WFPは資金難に直面するかもしれません。もしそのような状況が起きれば、配給食糧の量や支援を受けられる人数を減らすか、追加支援を要請しなければなくなります。そのようなことが2008年には実際に起きました。
 

9.国連WFPは食糧をどれだけ購入するのですか。

2011年に国連WFPは12億ドル分の食糧を購入しました。そのうち8億7千万ドルは途上国から購入しています。国連WFPは市場価格が比較的低い時期に積極的に食糧を購入し備蓄するようにしていますが、食糧の価格が10%上がると、同じ量の食糧を買うには年間2億ドル余分に払わなければならなくなります。
 

10.最も立場の弱い人々が食糧を安定して確保するにはどうしたらいいですか。

さまざまな方法があります。第一に、緊急用食糧備蓄システムの構築です。また、母子に対する栄養強化プログラムや学校給食支援などのセーフティネットの拡充も重要です。また働き手の大半が女性である小規模農家を支援することも非常に大切です。人道支援用の食糧は輸出規制の対象外にするよう各国に強く働きかけていくことも望まれます。