世界食糧デ―に寄せて ~国連WFPは最も弱い立場の人々に支援を届けます~
ここ一年間、食糧価格高騰や自然災害、気候関連の緊急事態、紛争などにより、ほとんどすべての大陸に暮らす人々が破滅的な打撃を受け、飢餓と貧困はより一層深刻なものとなりました。しかし、国連WFPは連携するパートナーと共に世界中で食糧支援を行い、多くの人々に希望と救いを届けてきました。
アーサリン・カズン国連WFP事務局長は、こう語ります。「飢餓に苦しんでいる貧しい人々に適切な食糧を適切なタイミングで届けるにあたり、国連WFPは数多くの難問に直面しています。近年三回も干ばつに襲われたサヘル地域、争乱に揺れる中東、および食糧価格の高騰のため輸入穀物に手が届かなくなってしまったコミュニテイなど、どれも難しい問題ですが、国連WFPは最も必要とされているところに、命を守る食糧支援を届けています。」
2011年度、国連WFPは75カ国において1億人近くを支援しました。この中には、特別な栄養支援を受けている子ども1100万人と、学校給食や学校から持ち帰れる食糧の支援を受けている2300万人の子どもも含まれています。
今年度の食糧デーのテーマは「世界の食糧供給の鍵となる農業協同組合」です。国連WFPは、作物の品質向上、商慣行の強化と市場アクセスの改善を目指して、世界中の多くの国々で農業協同組合や農業団体と連携しています。特に「前進のための食糧購入 (Purchase for Progress, P4P)」という試験事業では成果が上がっています。これは、WFPが途上国の小規模農家から余剰作物を適正な価格で買い取り、それを食糧支援に用いるというもので、20カ国で800以上の農業団体、人数にして100万人以上の小規模農家が対象となっています。
国連WFPは、姉妹機関である国際連合食糧農業機関(FAO)と国際農業開発基金(IFAD)と共に世界食糧デーを祝います。ローマに本部があるこの三機関は小規模農家が生産を増強し人々が栄養のある食事を摂れるようになるよう密接に連携しています。