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南スーダン 資金不足で数百万人が支援を失う危機

【南スーダン、ジュバ】 WFP国連世界食糧計画は今年、南スーダンで200万人以上に支援を行ってきました。しかし深刻な資金不足の影響で、今後、数百万人が支援を受けられなくなる可能性が高い危機的な状況にあります。
以下は副事務局長カール・スカウのコメントを含む、南スーダンの食料安全保障とWFPの活動状況に関する最新情報です。

食料安全保障の状況

  • 南スーダンの人口の半数(約770万人)が深刻な飢餓に直面しています。
  • このうち83,000人は「総合的食料安全保障フェーズ分類(IPC)」の最悪な状況を意味する壊滅的な飢餓状態(IPCフェーズ5)に直面しています。詳細は以下の通りです。
    • 上ナイル州の32,000人が、 3月以降の激しい戦闘により巻き込まれています。数千人が避難したが、人道支援へのアクセスが著しく制限されています。
    • 特に上ナイル州のナシール郡とウラン郡は、飢きんに陥る危険があります。
    • スーダンの紛争から逃れて南スーダンに帰還した人々は39,000人にのぼります。
    • 230万人という記録的な人数の子どもたちが栄養不良の危険にさらされています。特に上ナイル州の紛争地域やベンティウなどの洪水被災地域が、最も大きな影響を受けています。
    • 一方、支援が可能な場所では状況の改善が見られています。
    • ジョンレイ州ウロル郡では、WFPが継続的に支援を届けたことにより、今年、壊滅的な飢餓状態(IPC5)が全ての地域で解消されました。
    • 紛争と治安悪化が収まった他の10郡では、作物の生産が増加し、食料安全保障の状況が改善しました。
    • これらの成果を確固たるものにするためには、持続的な平和と人道支援が不可欠です。
    • 隣国スーダンでの激しい紛争のため、20234月以降、120万人近くが南スーダンに避難しています。多くが飢え、栄養不良、精神的ショックを抱えています。

 

WFPの対応

  • WFPは今年、南スーダンで最も脆弱な人々200万人を支援しました。これには、上ナイル州での紛争激化の影響を受けた30万人以上が含まれます。
  • 7月、WFPは飢きんに陥る可能性がある地域を含む上ナイル地域の最も遠隔地へアクセスするため、支援物資を航空機より投下しました。現在までに430トンの食料を届け、4万人への空中投下が進行中です。
  • 戦闘によりアクセスが遮断されて白ナイル川で、数カ月ぶりに河川輸送が再開されました。
  • 716日、WFPと他の人道支援団体の物資を含む1,380トンを積んだ河川輸送船が、ボルを出発し、上ナイル州へ向かいました。
  • 河川輸送はインフラが著しく限られている南スーダンにおいて、食料支援を大規模に移動させる最も費用対効果の高い方法です。
  • WFPが運営する国連人道支援航空サービス(UNHAS)は、マバン、マイウート、マラカル、マンデング、マティアン、レンク、ウランを含む上ナイル州の7つの目的地への運航を継続しており、最も遠隔地へのアクセスを提供しています。
  • 上ナイル州は、コレラの発生により甚大な影響を受けています。3月以降、WFPが主導して国連機関や人道支援組織の物流分野で連携調整を行っている「ロジスティクス・クラスター」は、コレラ関連物資109トンを上ナイル州とユニティ州の各地へ空輸しました。

 

資金の見通しと課題

  • 深刻な資金不足のため、WFPは定期的な支援を250万人にしか届けられません。これは重度の飢餓に直面している人々のわずか30%に過ぎません。
  • WFPは年末まで、最も深刻な食料不安にある250万人への支援を維持するために、27,400万米ドルを緊急に必要としています。この金額は、ほとんどのコミュニティの必要量の50%の配給量しか提供できません。
  • 追加資金が緊急に受領されない場合、9月には配給量と支援のさらなる削減が必要になります。
  • 最も脆弱な人びとへの支援を制限することは、非常に危険です。

 

編集者への注記:

副事務局長カール・スカウは、717日から20日まで南スーダンを訪問しました。以下は彼の発言は彼のコメントです。

「南スーダンで必要とされている人道支援の規模は驚くほど大きいですが、この苦難がメディアで語られることがほとんどありません。毎年洪水で立ち往生するユニティ州の家族も、上ナイル州で紛争に閉じ込められた家族も、数百万人の母親、父親、そして子どもたちが毎日、生き残るために飢餓と闘っています。

WFPはあらゆる方法で、できる限りの支援を提供するためにここにいます。しかし、高まるニーズと縮小する資源により、私たちは、人々が飢きんの瀬戸際にいる場所でさえも、支援を縮小せざるを得ません。

WFPには、最も遠隔で困難な環境でも支援を届ける専門知識、チーム、そして能力がありますが、十分な資金と安全が担保されなければ、活動にあたることができません。この国は天然資源と活気ある若者世代に恵まれており、本来であれば、その潜在能力を最大限に引き出せたはずです」

 

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国連世界食糧計画(WFP) は世界最大の人道支援機関であり、緊急時には命を救い、食料支援を通じて人々が紛争、災害、気候変動の影響から立ち直るための平和と安定、繁栄への道を築いています。

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WFP 国連世界食糧計画 日本事務所 広報
田中 理子  satoko.tanaka@wfp.org