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パキスタン緊急支援:3つの成果と3つの課題

WFPは、この夏、パキスタンにおいて発生した大洪水の被害者に対し、大規模な緊急支援活動を開始した。2か月がたち洪水によりあふれ出た水はようやくひいてきつつある。この2カ月でWFPが達成した成果と、今後の課題についてまとめる。

3つの成果

1.大規模支援

洪水によって倉庫が浸水し、食糧の備蓄の大部分が損害を受けたが、WFPは、洪水が発生してから24時間以内に食糧の配給を始め、8月には300万人に食糧を届けた。食糧や備品の緊急輸送を行い、スタッフ増員に伴い支援規模を拡大し、9月には600万人に食糧を届けることができた。

2.食糧の現地調達

パキスタンの食生活において、パンは必要不可欠な食糧であり、WFPは、小麦粉を配給するために小麦を製粉する工場を多数探す必要がある。洪水が発生した時、WFPは28ヶ所の工場と契約を結んでいたが、今回の食糧支援に必要な小麦粉を用意するためにはその2倍以上の工場が必要であった。今  日現在、パキスタン国内において63ヶ所の工場が稼働しており、地元産の小麦から毎日、平均4500トンの小麦粉が製粉されている。

3.空輸活動

洪水が発生してから1カ月以上がたったが、未だ道路が寸断され孤立している地域が多数ある。このような地域に食糧を届けるためには、複雑な空輸活動が必要となる。WFPはこれまでに30万人以上に食糧を空輸してきた。また、WFPは緊急時において、国連諸機関やNGOを束ね、物流活動のリードを  とる任務を負っており、今回も災害支援にかかわる職員や救援物資の輸送を担った。

3つの課題

1.新たな輸送路の確保

パキスタンでは多くの橋や道路が洪水によって破壊されてしまったため、壊滅的な被害を受けた町や村に道路を使って到達することは極めて困難な状況にある。また、洪水をまぬがれた道路も、自分の家に帰ろうとする人々によって交通渋滞が起きている。このため、WFPの物流チームは、道路や橋が  修復されるまでの間、食糧を輸送するための新たな輸送路の確保を検討している。

2.栄養失調の防止

パキスタンは、今回の洪水が起きる以前からすでに栄養不良の状態にある子供の割合が高かったが、今回の洪水によって、状況がさらに悪化する懸念がある。飢餓のまんえんを防ぐため、WFPは2011年1月まで毎月、平均600万人に食糧を配給する予定である。配給食糧には、パンを作るための  小麦粉だけではなく、高カロリービスケットや乳幼児に必要な栄養が入った栄養強化食品が含まれている。

3.食糧生産を支援すること

今回の洪水によってインダス川は現在、通常の状態の10倍から20倍にまで広がっている。これにより農地は浸水し、家畜は死に、井戸や農機具などは破壊されてしまっている。パキスタンではまもなく小麦の植え付けの季節が到来するが、農民が農業を再開するのは非常に難しい状況である。食  糧危機を未然に防ぐために、WFPは農地や道路、そして灌漑施設などの修繕プロジェクトに参加した人に対し、その労働の見返りとして食糧を配給する取り組みを行っている。