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ガザ北部に飢きんが差し迫る、新たな報告書が警告

2024年1月11日、ディール・バラフにて。国内避難民への食料支援。Photo: WFP/Ali Jadallah
ローマ – ガザ地区北部で飢きんが差し迫っており、ガザ地区の全人口が危機的またはそれ以上のレベルの深刻な飢餓(急性食料不安)に直面していることが、18日(月)に発表された最新の総合的食料安全保障レベル分類(IPC)で明らかになりました。

ガザ北部の二県では約30万人が今も身動きが取れなくなっており、飢きんが今から5月までの間に発生すると見込まれています。飢きんの定義となる三つの基準のうち  、一つ目の基準である急性食料不安に直面している人の割合は既に大幅に上回っており、二つ目の5歳未満の子どもの急性栄養不良の割合も基準に記録的なペースで近づいています。三つ目の基準である非外傷性の死亡率も増加していますが、戦闘が続いているためデータが限られています。

新たな報告書は、ガザ地区の人口の半分にあたる110万人が、自分たちの食料備蓄と食料を手に入れるための方法を完全に使い果たし、壊滅的飢餓(IPCフェーズ5)に陥っていると伝えました。この数は、IPCによって壊滅的な飢餓に直面していると記録された人数としては史上最も高い数値であり、わずか3ヶ月前に発表された人数の2倍です。

「ガザの人びとは今、飢餓による死のリスクに直面しています 。恐ろしいスピードで、この人為的な飢餓と栄養不良の危機はガザ地区を襲っています」と国連WFPのシンディ・マケイン事務局長は話しました。「飢きんを防ぐために残された時間はごくわずかであり、防ぐためには北部への即時かつ完全なアクセスが必要です。飢きんが宣言されるまで待っていては手遅れです。さらに何千人もの死者が出るでしょう。」

報告書は、ガザ地区全体の栄養不良の急増傾向を示しています。5ヶ月前に戦闘が激化する前は、急性栄養不良の割合は1%未満でした。しかし最新のデータによると、ガザ北部では現在2歳未満の子どもの3人に1人が急性栄養不良または「消耗症」の状態にあります。これは、身長に対して危険なほど体重が軽く、命が脅かされている状態です。

ガザ南部のディール・バラフ、ハンユニス、ラファは、IPCフェーズ4(人道的危機)に分類され、2024年7月までに飢きんの状態に陥る危険性があります。マケイン事務局長は「すでに絶望的な状況にある女性や子どもたちは、病気をしたり、住まいを失ったり、爆撃などの惨事があったら、残る全てを即座に失ってしまうような状況にある」と話しました。

報告書は、ガザ北部の飢きんを含め、支援団体が住民全体に食料、水、栄養食品、医薬品、保健衛生サービスを大規模に提供するための完全なアクセスが確保されれば、飢きんを食い止めることは可能であると述べています。それを実現するには、人道的停戦が不可欠です。

国連WFPは、基本的な食料ニーズに対応するだけでも、毎日少なくとも300台のトラックがガザ地区に入って食料を配給する必要があると見ています。特に北部での支援が求められていますが、国連WFPが北部に輸送隊を入れることができたのは今年に入ってから9回だけです。

このうち直近では、17日(日)の夜、国連WFPはガザ市にトラック18台分の食料物資を届けました。この輸送隊は、ガザ市と北部への調整経路を使った2回目の搬入で、小麦粉、食料ボックス、すぐに食べられる食料など約274トンの支援を運び入れました。この経路は、毎日輸送隊が通過、北部に安全にアクセスするために利用できるようにする必要があります。

ガザ北部へ支援物資の輸送には、イスラエル当局に毎日許可を得る必要があります。ワディ・ガザ検問所での長い待ち時間の間、トラックの輸送隊は略奪のリスクに直面し、引き返さなくてはならないことも多くあります。通過が許可されたとしても、北部への困難な道のりで略奪の高いリスクが待ちうけています。

「国連WFPと私たちのパートナー機関は、ガザ地区全土の220万人すべてに食料を供給できるよう、国境とその周辺地域に食料を待機させています。しかし、ガザ地区への食料の搬入、そしてガザ地区内での移動はまるで迷路の中を進むようなもので、いたるところに障害があります」国連WFPのカール・スコウ副事務局長兼最高執行責任者は述べました。「複雑な国境管理と、ガザ地区内の高い緊張と絶望が相まって、食料を必要とする人びと、特に北部の人びとに食料を届けることは不可能に近い状況にあります。しかし、日曜日にトラック18台分の食料が届けられたことは、それが可能であることを示しています。これは単発的なものであってはならず、支援を必要としている人に届けるには、継続的かつ定期的に実施し、規模を拡大する必要があります」

国連WFPとその人道支援パートナーは、必要とされている支援を届けるために、イスラエルがガザ地区への搬入口を増加させ、北部に直接支援を届けるアクセスを提供し、食料支援の搬入のためのイスラエルのアシュドッド港の利用を許可することを要求しています。

ガザ地区への、そしてガザ地区内での持続的な陸路のアクセスが切実に必要とされています。空中投下など他の方法では、飢きんを回避するために緊急に必要な量の支援を届けることはできません。国連WFPと人道支援団体が、支援を必要としているすべてのコミュニティに大規模な支援活動を展開するためには、何よりも停戦が即時に求められています。

 

報道関係者の方へ:



IPCについて:
総合的食料安全保障レベル分類(IPC)は、国連世界食糧計画(WFP)、その他の国連機関、非政府組織のデータを分析し、国際的に認められた科学的基準に従って飢餓の危機の深刻度と規模を判断するマルチステークホルダー・プラットフォームです。

 

IPC報告書:
報告書(48ページ)はこちらから/概要(2ページ)はこちらから

 

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