大規模な援助活動がダルフールの栄養不良の拡大を抑える(和文)
ハルツーム発 -- ダルフールの治安悪化にもかかわらず、戦闘によって疲弊したスーダン西部のひさいしゃ犠牲者への国際的対応が強化されたことにより、2006年の栄養不良のレベルは全般的にほぼ落ち着き、食糧不安はやや改善していると、最新の国連のアセスメントが報告している。粗死亡率は3年連続で下がっているが、治安への不安と多くのダルフールの人々に近づく手段のないことが、支援計画に暗雲を投げかけている。
このアセスメントによると、5歳以下の子どもの栄養不良率は昨年の11.9%から今年は13.1%へとやや上昇したが、緊急を要するレベルの15%をわずかに下回っており、2004年に21.8%だったダルフールの栄養不良率と比べると大幅に下がったままになっている。
国連の人道支援機関とNGOは、食糧支援、飲料水、医療活動、農業援助を含む救命活動を現地に送り込むことができている。しかしながら、もっとも支援を必要としている人々はいまだに非常に危険な状況にある。
国連の食糧農業機関(FAO)、ユニセフ、世界食糧計画(WFP)による合同アセスメントの中間報告によると、戦争で被災したダルフールの人々の70%は食糧不安の状態だったが、昨年の74%からはやや下がっている。今年戦争でぎせいになった被害を受けた残りの30%の人々は、何らかの形の援助を必要としているものの、多様な方法で食糧を入手しており、食糧に費やすのは収入の50%以下で、食糧支援への依存度は低くなった。
けれども各国連機関は、暴力の拡大のために戦争と干ばつの被災者に近づく手段が制限され、すでに逼迫した状況がさらに悪化していて、援助の流れの維持は危機に瀕していると警告した。
食糧不安が深刻な世帯のおよそ60%は、治安への不安が主な障害となって土地を耕作できず、家畜を飼育できず、収入を生み出す他の活動に従事できないという。
アセスメントは、避難民キャンプに住んでいる人の中で食糧を十分に入手できる人の割合が2005年の36%から2006年にはわずか14%へと実は下がったことも明らかにした。
さらに、栄養状態の悪い子どものために食糧配給センターを利用できるという家族の数は、半減したその理由として、治安が悪化と、栄養不足の数値が昨年は改善したことから閉鎖した食糧配給センターがいくつかあったことが挙げられている。
今回のアセスメントは、ダルフールの総住民600万人の中で援助を受けている370万人の中からサンプルとして選んだ世帯を査定したもので、ある程度の向上を指摘している。けれども不安定な治安と悪天候のため、アセスメント・チームは数ヶ月にわたって援助を受け取れていない数カ所の危険な地域には到達できなかった。
汚染された水を飲むことで引き起こされる病気や死亡を削減するのに欠かせない、飲料水の入手手段の確保は、63%から72%に上昇した。また、ダルフール全域の居住地域での食糧の安全確保はやや改善していて、アセスメントは、食糧の安全確保と人々が耕作して収入を生む能力との間に、直接的なつながりがあるとしている。
北ダルフール州ではアセスメントの対象となった大半の人々が居住者であり、ここ数ヶ月人道的活動が容易に近づけないという問題にもかかわらず、食糧の安全確保は改善している。だが南ダルフール州および西ダルフール州では、北ダルフール州と比べて多数の避難民が収容所に住んでいて、大半が土地を耕作できないため、食糧の安全確保は低下した。
今年はダルフール全域で51%の家族が自分の土地を耕作したが、これは昨年と同じ数字である。州別に見ると、北ダルフール州では59%、南ダルフール州では48%、西ダルフール州では46%だった。治安への不安に加えて、水不足、道具不足、疫病、雑草、農作物の病害、種の不足のために、耕作が十分にできないとダルフールの人々はいう。
農作物の販売を主要な収入源としているのはダルフールの住民の20%だけであり、37%の住民は主に農作業の賃金労働を主要な収入源としていた。
アセスメントは9月に、ダルフールの3つの州の89カ所で、2,200世帯をサンプルとして選んで行なわれた。これにより、22%の世帯は女性が世帯主で、53%の世帯主は読み書きができないことがわかった。
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本件記事についての問い合わせ先:
WFP 国連世界食糧計画日本事務所 広報担当 保田由布子(ヤスダユウコ)