最新技術で難民の尊厳を守り希望を支える
~竹下景子さんの視察報告(後編)~
国連WFP協会親善大使の竹下景子さんが今年7月、アフリカ・ルワンダを訪れました。ルワンダは多くの難民を受け入れている国でもあります。日本の四国の1.5倍程の小さな国ですが、国内には6つの難民キャンプがあり、その5つにコンゴ民主共和国からの難民が住んでいます。訪れたのは同国の難民が暮らすニャマガベ郡・キゲメキャンプ。2万3千人、4千世帯が住んでいます。
竹下景子さんのルワンダ視察ムービーはこちら
キャンプ内で国連WFPは様々な支援を行っています。その一つが母子栄養支援。キャンプ内の6カ月以上2歳未満の子ども990人と妊産婦590人が対象で、トウモロコシと大豆の粉を混ぜ栄養が強化された食料などが月に一回配られています。
診療所を訪れていた母親、マカムジマさん(39歳)に話を聞いてみました。「7人の子どもがいます。今日の配布は楽しみでした。母乳だけでなく支援食料のおかげで赤ちゃんも元気になりました。母国の紛争を逃れて、2012年からここにいます。平和になれば帰りたいです」
キャンプ内では学校給食支援も実施されています。校長のノエルさんに話を聞きました。「給食支援が始まって以来、勉強への意欲も高まり、生徒数は2倍以上に増えました。給食支援のおかげでしょう。」
「ガールズルーム」も見ることができました。これは、生理中の女の子が使える部屋で、生理用品や下着、ベッドが置かれています。「ガールズルームができてからは1日約30人の女子生徒が利用しています。学校を休んだり、退学したりしてしまう女子生徒が減りました」とノエル校長は話します。
難民の尊厳を守る現金支援
キャンプで最後に訪れたのは、最新技術を導入した現金支援の現場です。これは、個人情報が電子登録されたカードをキャンプ内の商店に持参し、指紋認証かPINコード入力で本人確認が取れると、現金を受け取れるという仕組み。難民一人当たり月約900円を受け取れます。訪れた日は、月一回の支給の初日で、沢山の人が訪れていました。
商店には色々な種類の食料/食品や日用品が置かれているので、現金を受け取った直後に必要なものを購入できます。
店を訪れていたデュサベさん(42)は、「以前の支援では直接食料が配られていましたが、現金の方が色々な種類の食べ物を選べるので有難いです」と語りました。
現金支援により、難民は自ら商品を選択する機会を得ることができ、尊厳が守られます。また、最新技術の導入により支援の効率化にも繋がっています。
難民キャンプの視察を終えた竹下さんは、「キャンプ自体がとてもエネルギッシュで、もちろん現実は厳しいのですが、その中でたくさんの子どもたちが元気に学校に通っていたり、人々が前向きな様子で生活しているのが印象に残りました」と語りました。
(視察報告前編はこちら)