ザンビア流、飢餓と気候変動解決のレシピ
アンドリュー・ジマーンさんはザンビア南部のグウェンベ小学校の温室に入り、来年の収穫をチェックします。ビニール袋から芽を出し、肥沃な土壌と最小限の灌漑で育っているものもあれば、太陽と水と養分だけに頼っているものもあります。
「両親にここの作物のことを話していますか?」受賞歴のあるアメリカ人シェフで、WFP国連世界食糧計画(国連WFP)の親善大使でもあるジマーンさんは、彼を囲む生徒たちに尋ねます。
「はい!」子どもたちは元気に答えます。
COP28:気候変動の中、飢餓を食い止めるための闘いは続く
栄養と持続可能な栽培に関する実情を把握しヒントを共有することが、ジマーンさんが今年初めにザンビアを訪問する目的でした。ここで彼は、気候危機が深刻化するなか、国連WFPが学校、地域社会、政府と協力し、強靭で健康的な食料システムを構築している様子を目の当たりにしました。
アフリカ南部に位置するザンビアは、洪水と干ばつに見舞われ、2050年までに平均気温が3℃も上昇すると予想されているにもかかわらず、ここ数十年、年間降水量が着実に減少しています。
現在ドバイで開催中のCOP28(国連気候変動枠組条約第28回締約国会議)では、ザンビアやその他の国々が今後数年間、どのように生き残り、繁栄していくかが重要な議題となっています。
「気象危機、気候変動は、自給自足が可能な国の食料安全保障に影響を及ぼしています」とジンマーンさんは言います。「ザンビアの人々はより健康的な食物を自給できるでしょうか?健康は食べ物で決まります。食べ物は薬なのです」。
国連WFPはザンビア当局や他のパートナーと協力して、農家に気象や気候に関する情報を提供し、何をいつ植えるかについての選択の指針としたり、気候変動の衝撃に耐えるために生計を多様化する方法を提供したりしています。
また学校とも提携し、グエンベ小学校をはじめとするザンビアの70以上の教育施設で、節水型の水耕栽培ハウスを試験的に導入しています。運営する生徒たちは、新しい農業や栄養に関する知識を親に伝えます。
「学校に温室があるってママに言ったら、『すごいね!』って言われたよ。」ある生徒はジマーンさんに言います。
「国連WFPは、小規模農家であれ学校であれ、気候危機への対応に有効なシステムを政府が導入できるよう支援しています。私たちはまた、成果を上げるためにテクノロジーとイノベーションの活用を推進しています。」オリパ・ズールー国連WFPザンビア・プログラム政策担当官はこう話します。
一粒の種を無駄なく
グエンベ小学校の温室は、ザンビアが再び干ばつに見舞われた後の2021年に建設されました。「この試みは、学校だけでなく、地域社会にも、水がほとんどなくても実際に食料を栽培できることを示したのです」とズールーは言います。
この学校の1,300人の生徒にとっては、もう1つの利点があります。栽培した野菜は彼らの食事に多様性をもたらし、従来トウモロコシと豆を主食としていた政府支援の学校給食に栄養の上乗せをします。
ある晴れた日に、ジマーンさんと生徒たちは次の収穫のためにトレーに苗を植えました。「1粒の種子、1株の植物、無駄がないように」と彼は言います。
ザンビアでは、1,800万人の人口の半分が貧困ライン以下で生活し、飢餓と闘っていますが、気候変動、経済の低迷、COVID-19の影響が相まって、食料不安がさらに深刻化しています。5歳未満の子どもの3分の1以上が発育阻害です。
ウガンダのサトウキビネズミからメキシコのカメムシまで、その土地の郷土料理を味わいながら、飢餓にスポットライトを当てるために世界中を旅してきたテレビ界の有名人、ジマーンさんの目にも、この組み合わせは有害な食材から作られる料理のように見えたはずです。
「ザンビアを支援することは、ザンビア人がザンビア人を支援できるように、ザンビア人に解決策を与えることです」と彼は言います。
食の未来
多くの場合、それはザンビアの食料の90%を生産している同国の150万人の小規模農家と協力することを意味します。そしてそのほとんどが女性です。
グエンベから北に数十キロ離れたモンゼ地区で、ジマーンさんは国連WFPの車から降り、笑顔の女性にハグをします。
「エメルダさんですよね」と彼が言うと、仲間の女性農民たちが歌いながら拍手で彼を歓迎します。
5ヘクタールの区画で作物を栽培する44歳のエメルダ・ヒチョーンボルワさんは、ザンビアの他の小規模農家と同様に、灌漑を雨水に依存しています。しかし、気候変動に伴い、雨はますます少なくなり、不安定になっています。
2017年、彼女は国連WFPが支援する農業グループに参加し、生産と収益の向上、干ばつ耐性のある種子の入手方法、収穫後の大きな損失の削減、市場とのつながりの改善を学びました。彼女は水を大量に消費する従来のトウモロコシから作物を多様化し、より丈夫なササゲ、ピーナッツ、ヒマワリを栽培し始めました。
「保全型農業の知識は、生産量を増やし、家族の収入を向上させるのに役立っています」と彼女は言います。
ヒチョーンボルワさんはまた、国連WFPが支援する栄養グループと貯蓄協同組合にも参加しています。この組合では、女性メンバー全員が資金と利子を出し合い、後にそれを取り崩して事業に投資しています。彼女はその資金を、ササゲソーセージの販売という新しいビジネスに使用しています。大角豆とも呼ばれるタンパク質たっぷりのササゲは、栄養価が高く、持続可能で、飢餓と闘う「スーパーフード」と考えられています。
「これこそが食の未来です」ジマーンさんは、エメルダさんと彼女の同僚たちがササゲソーセージを炒めるのを見ながら言います。
「これはひとつの小さな解決策ですが、世界的なインパクトを与える可能性があります」と彼は付け加えます。
この記事にご協力いただいた米国WFP国連世界食糧計画に感謝します。