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カンボジア、畑から教室へ:児童の空腹を満たす地域社会の工夫
, WFP日本_レポート
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WFP

28万6,000人のカンボジアの子どもたちにとって、朝食は一日の中で一番重要な食事です。1999年から国連WFPは子どもたちが登校し、授業や遊びに集中できるようにするために栄養価の高い食事を提供してきました。2015年に始まり、広がりを見せる地産地消の学校給食支援。食材の調達や運搬などに関する地域の人々との協力体制をご紹介します。

毎朝、シェムリアップ郊外の小学校に児童が登校してくる1時間以上前から調理員たちは働いています。冷蔵庫はなく小さなコンロだけで、調理員たちは新鮮な地元産食材を使った栄養満点の給食を平均150人分作っています。科学技術ではなく工夫によって、子どもたちの学校給食は提供できているのです。

2015年に国連WFPが2つの小学校で始めた、地元で作られた食材を使った地産地消の学校給食プロジェクトは、その後、拡大し、現在は4つの州で1万7,000人近い児童に提供されるようになりました。食材がどこから、どのように児童の元へ届くのかということは、子どもたちの健康に大きな影響を与える可能性があり、また、地域経済への影響や、地元農家の収入源にもつながります。

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学校給食の食材がやってくるまで

国連WFPはパートナー団体と協力し、各小学校が地元で生産された食材を確実に仕入れることができるかなど、食料の供給プロセスの調査などから準備を始めました。

「国連WFPカンボジアの職員は地元の食材を給食に使用することで、確実に一番新鮮な果物や野菜を児童が口にできるようにしたいと考えました」と国連WFPで地域の食材の活用を進めているカーラ・メヒアは語りました。

「まず、国連WFPの職員と保護者や教員が協力して、栄養バランスの良い給食メニューを開発し、食材は地域のどこで買えるのか、どの食材が安全に保存できるのかを調べました。豚肉のように要冷蔵の食材はリスクがあると判断さえれたので、私たちはより新鮮で簡単に運べる魚や卵といった食材に注目するなど、検討を重ねました」

それぞれの地域では、リスクを最小限にすべく独自の方法を模索してきました。ある小学校では、魚をその日の朝、いくつかの小規模な生産者から仕入れ、生きたままバイクに載せて運ばれてきます。そして、学校のキッチンでバケツから出された魚は米や野菜と一緒に調理されます。

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新鮮な食材が児童と地域社会に与える影響

現在、小学校で使われるほぼすべての食材は10km圏内の畑から取り寄せたものです。週替わりのメニューには毎日野菜が取り入れられ、そこへ定期的に卵と肉が加わり、旬の食材を基本に作られています。旬の食材は安く豊富で最も新鮮だからです。

毎日150人の子どもたちに食事を与え、食材を調達し、運び、そして調理することで教員、保護者、そして農家が一つになっています。

「皆が深く関わり合っています。地域住民全員が参加しています。何人かの保護者は農家として一部の食材を提供したり、教員が食材を保管・管理していたりします。地域が全ての工程に参画しています。保護者は児童が下痢などの病気になって学校を欠席することのないよう、子どもたちの健康と栄養を管理する役割も担っています」とカーラ・メヒアは説明します。

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食料だけじゃない

国連WFPは教室内で子どもたちに正しい歯磨きや手洗いのやり方など衛生管理の指導も行っています。そうすることで子どもたちは健康な生活習慣を身に着け、得た知識を家庭に持ち帰ることができます。

「学校給食プログラムは単に食糧を配るだけではありません」とカーラ・メヒアは言います。「子どもたちが口にする食の質や栄養価を改善し、キッチンでの食品の安全基準を高めるチャンスなのです」。

児童は給食が変わったことを喜んでいます。「子どもたちは給食が大好きで、一番人気のメニューはスクランブルエッグと空心菜です」。

国連WFPは、世界約60カ国で学校給食プログラムを実施しています。 子どもたちが学校に通い続けられるよう、引き続きのご支援をお願いいたします。