夕食とれずに眠る子どもたち
3年間の内戦で荒廃したイエメン。紛争で親の収入がなくなり、夕食を食べられないまま眠りにつく子どもたちがいます。貧困に加え、飢餓やコレラ、ジフテリアなどの感染症も二重、三重に彼らを苦しめています。
イエメンでは、人口2800万人のうち1800万人が食糧不足に陥っています。このうち800万人以上は飢きんのリスクが高まっており、食糧支援がなければ生命の危機にさらされる恐れがあります。
国連WFPは過去数年で、最も弱い立場の人々に対する支援を2倍に増やしてきました。深刻な飢きんを回避するため、国のあらゆる場所で時間との闘いを続けています。しかしイエメンの人々を写した写真は、この国がまだまだ危機を脱していないことを物語っています。
貧困と飢餓
「私は夜、帰宅しても子どもたちを起こしません。起きたら必ず、夕ご飯を食べたいと言うでしょうから」
イエメンでは内戦によって、300万人が国内避難を強いられています。ロースクールを卒業したワリドも、激しい武力衝突のため故郷のタイズを逃れました。多くの労働者と同様、彼も2016年9月から給料を支払われていません。タクシー運転手をして不安定な収入を得てはいますが、一家の食糧は月々の配給に頼っているのが実情です。配給は、彼らの生活の中で数少ない、"確実に"受け取れるものの一つです。
「ここ数カ月、ひどい生活を送ってきました。家には家具も、食べ物も、お金も何もありません。残業して遅く帰宅しても、私は決して、娘たちを起こしはしません。もし起きたら、夕ご飯を食べたいと言われるに決まっていますから」
故郷にとどまった人々も、収入がないのは同じです。アミール(3歳)の一家も、生計の手段をほぼ奪われました。唯一の稼ぎ手である父親はホデイダの漁師で、海岸での戦闘のため大きな船で漁に出ることはできなくなってしまいました。
食糧支援がなければ、800万人以上の人々が本格的な飢きん状態に陥りかねず、状況は切迫しています。国連WFPは昨年、毎月約730万人に食糧を提供していましたが、2018年から支援規模を760万人に拡大しました。
配給は、主に1カ月当たり50~75kgの小麦、5~10kgの豆と食用油4~8リットルです。食料に恵まれた人にとってはわずかな量に見えるかもしれません。しかし月約40米ドルかそれ以下で暮らす人にとっては、収入の3分の1にも匹敵します。
子どもたちへの重い負担
イエメンでは200万人近い子どもたちが栄養不良に陥っており、このうち40万人は深刻な状態で日々、生命の危機にさらされています。彼らは生きのびても、今後の健康と発達に取り返しのつかないダメージが残る恐れがあります。
国連WFPは子どもたちが致命的な状態に陥る前に栄養強化食品を配布し、栄養状態を改善しようとしています。
紛争が生み出す病気
紛争は、貧困と飢餓を生み出すだけではありません。インフラや保健衛生の制度が機能不全に陥ったことで、感染症も発生しています。2017年末にまでに、コレラ感染の疑いがある人は100万人に達しました。5カ月の間に感染者の数は減りつつありますが、まもなく来る雨期に再び大流行する恐れがあります。幼く弱い子どもたちが病気と闘うのに、食料と栄養は欠かせません。
今年は新たに、ジフテリア流行の兆しも出ています。感染が疑われる人は、これまでに1300人以上に上ります。流行が本格的に広がれば、人道危機はさらに深刻化してしまいます。
今できることは?
2015年の内戦開始から、4年目に入った現在までずっと、イエメンの人々は破壊と疫病、慢性的な飢餓状態に苦しみ続けています。