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【熊本支援報告】即戦力となる人材の提供

【熊本支援報告】即戦力となる人材の提供
, WFP日本_レポート

熊本地震を受け、国連WFPは物流支援を開始し、その一環として支援チームの派遣を行いました。今回は、国連WFP職員熊本支援チームの現地での活動をご紹介します。

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益城町にて調整業務にあたる国連WFP職員下村(右)©JVOAD

国連WFPは、熊本県の要請に基づき、行政とNPO支援団体などの活動調整を担う全国災害ボランティア支援団体ネットワーク(JVOAD)と連携し、自治体や支援活動にあたる様々な団体の調整業務を行いました。

被害が大きかった益城町へは、勤務先のミャンマーから急きょ帰国した、国連WFP職員下村理恵が向かいました。益城町では、町役場自体も被災し、支援や救護活動の対応に追われていました。一方で、全国からは様々な支援団体や個人から、支援の申し出が寄せられ、これらの団体の活動を調整する人材が求められていました。下村は、被災者のニーズと支援団体のシーズ(各支援団体が提供できる支援の内容)の調整を行い、情報共有の仕組みづくりや、炊き出しなどの支援の申し出の取りまとめを行いました。例えば、当初は、NPO、ボランティア団体や個人から、町役場へ直接、電話やインターネットで個別に炊き出しの申し出が入っていました。しかし、炊き出しの情報の引継ぎがうまくいかなかったり、時間切れで調整がつかなかったりすることもありました。下村は、役場に届く炊き出しのオファーを取りまとめ、いつ何食であればどこの避難所で受け入れが可能か、各避難所の需要とのマッチングを行いました。それにより、例えば、用意されたお弁当と炊き出しの重複を減らすことが可能になりました。また、下村は、NPO支援団体や個人が、被災者のニーズや課題を持ち寄って、情報共有や物資や人などのリソースを調整し合う場である「益城がんばるもん会議」の立ち上げに携わりました。この会議は、例えば、自分たちは引っ越しサービスが提供できるのでニーズがあれば教えて欲しい、あるいは、ある支援現場で飲食を無償提供したいが誰が責任者でどこに許可を取れば良いのか知りたいなど、シーズの共有や、活動を行うにあたっての疑問やそれに対する助言など、情報共有が活発に行われる場を、益城町で支援に携わる人々に提供しています。益城町へは、市外からも多くの団体が支援に駆けつけました。地元ボランティアと市外から来たボランティアの間で、オープンに様々な課題を話し合うことができる場として、「益城がんばるもん会議」は現在も週二回開催され、刻一刻と変化する被災地のニーズに対応するために、真剣な話し合いが行われています。

国連WFPの物流エキスパートである片岡美恵は、パキスタン事務所から帰国し、熊本県庁に寄せられた支援物資の在庫管理と出荷を担いました。今回の地震を受けて、熊本県庁には、70品目近くの多様かつ大量の支援物資が寄せられました。片岡は、これらの在庫を管理し、毎晩開催される支援活動報告会で、避難所の担当者などと在庫情報を共有し、避難所と支援物資とのマッチングを行いました。その結果、熊本県庁に送られた支援物資の大半を6月上旬までに被災者の手に届けることができました。また、大量の支援物資は保管するのにも費用がかかりますが、支援物資の保管のために熊本県が借り上げていた倉庫を閉鎖することができ、熊本県の担当者より感謝の言葉を頂きました。

宇土市や宇城市などを含む熊本県南部へは、普段は国連WFPローマ本部で学校給食プログラムなどの設計に携わる大垣友貴美が向かいました。彼女は、34箇所ある避難所を日々巡り、ニーズの聞き取りなどの情報収集や、解決策の提案、行政と社会福祉協議会、NPO団体との情報共有体制の構築に取り組みました。例えば、情報共有の場として、JVOADと保健所が共同で行う会議の立ち上げに携わり、避難所や自治体ごとに生じる支援の格差を縮めることに尽力しました。

最後に、国連WFP日本事務所で政府連携担当を担う濱井貢は、熊本県庁内に置かれたJVOAD事務所で、自治体や支援活動にあたるボランティア団体などの間で、調整業務のとりまとめを行いました。被災者の支援ニーズが、仮設住宅での生活復興や地域コミュニティの再構築などへと移行していく時期において、外部からの支援が被災地域の自立に繋がるきっかけとなるよう、行政や支援団体と共に、今後の復興支援の枠組み作りの調整にあたりました。また、今後、同様の大規模災害が日本国内で発生した際に、どのような形で国連WFPが貢献ができるのか、将来の展望を見据えて、行政や支援団体との関係構築に取り組みました。