写真で見る2021年: シリアで最も過酷な年の中心にいる人びと
3月にシリア危機から10年を迎える前夜、WFP国連世界食糧計画(国連WFP)のデータから、すでに高いレベルにあった食料不安が劇的に高まっていることが明らかになりました。わずか1年の間にさらに450万人のシリア人が食料不安に陥り、その総数はなんと1,240万人となり、過去最高の数字となりました。
10年にわたる紛争の後、シリアの大多数の家族にとって、生活はかつてないほど厳しいものとなっていました。2021年、680万人が国内避難民で、長年の悲劇、不確実性、想像を絶する喪失の末、生活を再建するために苦闘することになりました。
平和を願っていた時に、多くの家族が貯蓄を使い果たし、経済危機に対処できないでいます。1年を通して、パン、レンズ豆、米などの基本的な食料品は、かつてないほど高価になりました。同時に、シリア・ポンドの価値も下がり、家族は対応できなくなりました。
このような人びとを支援するため、国連WFPは8月以降、さらに100万人に命を救う食料を提供するよう規模を拡大しました。現在、14の全州で毎月570万人が国連WFPの支援を受けています。これらの人びとは、基本的な食事すら用意できず、子どもたちに栄養価の高い食事を与えることができない家庭です。2021年、国連WFPは子どもたちに学校給食と栄養強化されたおやつを提供し、妊産婦と子どもたちに栄養支援を行い、国中の家族の生活と回復力を高めるための支援を行いました。
診療所から教室、食卓まで、国連WFPは最も必要とする人たちに食料を届けました。新型コロナウィルスの最中、国連WFPのスタッフは、これまで以上に多くの家族が必要な食料を入手できるようにするため、全国を巡り支援を届けました。
2022年を見据えると、大きな課題が残されています。11月にシリアを訪れた国連WFPのデイビッド・ビーズリー事務局長は、「母親たちは、これから冬を迎えるにあたり、岩と岩の間に挟まれたような状態だと言っています。子どもたちに食事を与えて凍えさせるか、暖かくして空腹にさせるか、どちらかです。燃料と食料の両方を買う余裕はないのです」と語っています。
しかし同時に、シリアでは人びとの決意に驚かされる瞬間が常にあります。栄養不良から回復した子どもについて誇らしげに話す両親、生計と食料源を再建している農民、毎日生徒全員が登校し、授業中に健康的なおやつを食べることを確認する教師などです。
国連WFPから食料と支援を受ける570万人の人びとは、飢餓と食料不安との戦いに一歩近づいています。
国連WFPのシリアでの活動は、米国、ドイツ、カナダ、日本、ノルウェーを含む上位5カ国のドナーからの寛大な支援によって支えられています。
国連WFPは、シリアの家族が命を救う支援を受け続けられるように、2022年5月までに5億2780万米ドルの資金を必要としています。