緊急支援をパレスチナの人びとに届けるためには安全なアクセスが不可欠：国連WFP
これまでに50万人以上に食料と現金支援を提供。国境でさらなる支援物資の準備が整っている。
, Paul Anthem
国連世界食糧計画（国連WFP）は、ガザ地区国境に310トンの食料を配備し、人道回廊が確保され次第、絶望的な状況にある人びとに支援を届けられるよう準備を整えています。
エジプトのアリーシュに到着している国連WFPの支援物資は、ガザ地区内にいる国連WFPのチームへの妨げのないアクセスと安全な経路の確保が実現すれば、24万4,000人分の一週間分の食料を賄うことができます。国連WFPは、南部に逃れるガザ地区の住民の安全な経路を確保し、避難先で保護されるよう訴えています。国連WFPを含む全ての人道支援機関が、ニーズが刻々と高まっているガザ地区の住民への人道的なアクセスを許可される必要があります。
国連WFPパレスチナ事務所のサーメル・アブドルジャーベル代表は次のように述べました。「国連WFPは、中東・北アフリカ地域から飛行機やトラックで何トンもの食料を輸送し、支援物資を配備し、すべての検問所でガザ地区内に入るための許可が下りるのを待っています。私たちはガザへのアクセスが必要であり、地区内のどこであっても人びとに支援を届ける必要があります。」
アリーシュに輸送された食料物資には、栄養強化ビスケット20トン、移動式倉庫2セットが含まれます。また、缶詰やデーツバーなど、地域内の仕入元から調達した食料物資も国境に向かっています。すぐに食べられる食料セットには、ひよこ豆の缶詰とその他の豆の缶詰、紙パックのジュースが入っています。
ガザ地区内に住むイヤッド・ハリールと彼の家族8人は、緊急に支援を必要としている住民の一例です。「私が恐れているのは子どもたちのことです」と彼は言います。「そして、親戚のこと、近隣の人たちのことを恐れています。ガザ全体のことを恐れています。子どもたちが死んでいっています。」
「私たちはすべてを必要としています。安全が必要です。平和が必要です。生活必需品が必要です。電気、水、食料、飲料水。水がありません。まったくないのです。子ども用の薬。食べる物。飲む物。」
大きな困難に直面するなか、国連WFPは毎日多くの人に支援を届け、今回の危機が始まってからこれまでに、52万2千人以上のパレスチナの人びとに食料と現金の支援を提供しました。
10月16日（月）の時点で、国連WFPは国連指定の避難所92ヶ所にいる避難民約22万人に温かいパンを提供しました。月曜日には、30ヶ所の避難所で17万人の避難民にパンを届けています。何万世帯もの絶望的な家族が避難しており、避難所1カ所あたりの人数は3倍近くに増加しいます。
「数日以内に店から基本的な食料品は底をつくだろう」とアブドルジャーベル代表は話します。「インフラが損壊し、燃料が不足しているため、既存の在庫があっても店や人びとに届かないのです。私たちが協力しているパン工場の数は日に日に減っています。パンを製造するのに十分な水も電気もありません。避難所が過密状態にある一方で、私たちが被災者に支援を届けられる力が限られてきており、配給するパンの量を減らさざるを得なくなっています。」
パレスチナの人口の約3分の1にあたる184万人が食料不安に陥っています。国連WFPは、ガザ地区とヨルダン川西岸地区で、条件が整えば、今後30日間で80万5,000人に、切実に必要とされている食料、水、その他の必要な物資を届けることを目標としています。
国連WFPは、この緊急事態に対処するために、今後3カ月間で7,400万米ドルを緊急に必要としています。今回の危機は、深刻な資金不足の中で勃発したもので、国連WFPは今年6月に、受益者の60％に対する支援を中断せざるを得ませんでした。
