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人道支援だけでは不十分な南スーダンの現状

気候変動への取り組みが飢餓との戦いと安定した生活の構築にどのように役立つか、国際平和デーにWFP国連世界食糧計画(国連WFP)は考察します。
, Marwa Awad

気候変動は私たちすべてに影響を及ぼしますが、その影響を最も受けやすいのはサハラ以南のアフリカです。この大陸の何百万人もの人びとにとって、干ばつ、洪水、大嵐などの異常気象は日常生活の一つの特徴となっています。

キャッサバを収穫する農家のデン・ブラックさん。南スーダンでは、紛争と気候変動により、飢餓が深刻化しています。
キャッサバを収穫する農家のデン・ブラックさん。南スーダンでは、紛争と気候変動により、飢餓が深刻化しています。 Photo: WFP/Gabriela Vivacqua

アフリカにおける人道支援の多くは、南スーダンのような国での飢餓や紛争の火を消すような緊急支援に重点が置かれていますが、気候変動への対応に重点を置いた取り組みがより必要とされています。

私は人道支援に携わる者として、気候変動への対応を前面に打ち出さない限り、最も弱い立場に置かれたコミュニティが抱える問題は解消されないと実感しています。つまり、人命を救い、飢餓を防ぐための緊急支援を継続しながら、気候変動への対応を拡大することが必要なのです。

荒れた土地、洪水に飲み込まれた耕作地、凶作、インフラの消滅といった気候変動の衝撃に耐えているアフリカ大陸のコミュニティは、危機的状況にあるにもかかわらず、変化する気候に対応するためにその場しのぎの解決策しか見出せていません。南スーダンの国連WFPは、救命支援だけでなく、能力向上や生計向上プロジェクトも実施し、コミュニティが問題に対する持続的な解決策を見出せるように支援しています。

なかなか引かない洪水の水

私は南スーダンでの活動を通じて、気候変動危機の最前線で生きる人びとの革新的な精神と、それが世界で最も若いこの国に平和と発展をもたらす可能性を目の当たりにしてきました。

気候変動が最も弱い立場に置かれた人びとに与える深刻な影響を緩和するために、政府や個人からの一貫した予測可能な資金提供によって、彼らの努力を支援する必要があります。

国連WFPの気候適応プロジェクトの一つである水上菜園の設置作業の様子
国連WFPの気候適応プロジェクトの一つである水上菜園の設置作業の様子 Photo: WFP/Gabriela Vivacqua

南スーダンは、世界の2倍の速さで気温が上昇しており、地球上で最も気候変動の影響を受けている場所の一つです。2019年以降、農耕牧畜のコミュニティは、土地の形や特徴を変えてしまうような、絶え間ない壊滅的な洪水と闘っています。

スッドと呼ばれるこの国の湿地は、周辺の農地や牧草地へと拡大し、作物を水浸しにし、これにより家畜の大量死や大規模な国内避難民が発生しています。数百万人が深刻な飢餓に追い込まれ、数万人が飢きんに近い状況で生き延びるために奮闘しています。

南スーダンで最も被害が大きかった浸水地域をたびたび訪れる中で、1つだけはっきりしたことがあります。少なくとも、土地が乾燥し、浸水した土壌が元の状態に戻り、避難民の家族が家や村に戻れるようになるには、長い時間がかかるということです。

洪水が激化している南スーダンで、稲の種をまく女性たち。稲の栽培には多くの水が必要です。
洪水が激化している南スーダンで、稲の種をまく女性たち。稲の栽培には多くの水が必要です。 Photo: WFP/Gabriela Vivacqua

何十億ドルもの資金が投入され、緊急に命を救うための支援が行われましたが、気候変動の猛威と、現在も続く国内紛争のために、開発は頓挫しています。

南スーダンの未来を切り開くためには、小規模農業システムと家族経営の農家を支援する必要があります。こうした農業コミュニティや地元の食料生産者は、チャンスを与えられれば成長できることが、国連WFPの過去の実績から明らかです。南スーダンのような複雑な状況下でも、こうした草の根の投資が良い結果をもたらしているのです。

現地で問題解決をサポート

ワラップ州では、南トンジェ郡の小規模農家が、村を飲み込む氾濫原を水田に変えることで、気候変動に対応しようとしています。国連WFPの農業戦略に関するトレーニングや質の高い種子の提供により、コミュニティは洪水から土地を守るための堤防を築き、雨水を受ける穴を掘って、年間を通じて水を確保できるように努力しました。

南スーダンの他の地域が洪水に見舞われたにもかかわらず、南トンジェ郡の農村は3年連続で十分な量の食料を自給し、飢餓格差を解消してきました。これは、生活手段と回復力の向上を目指した支援なしでは、ほとんどの農村世帯で達成困難な目標です。 

農民の一人、ジョン・マビオールさんは、地域社会に見切りをつけ、まさに家を出ようと考えていました。彼は現在、ソルガム、米、キャッサバ、豆などの収穫量を2倍以上に増やし、得られた余剰分を売るビジネスを始めています。

彼の成功により、かつて無為に過ごしていた地域の若者たちは、彼を手本とするようになりました。「私たちは、より良い場所を求めてこの村を離れることを夢見ていました。でも、今は自分の未来はここにあると思えるようになりました」と彼は語ります。

洪水の多い南スーダンのユニティ州にて、ハスを収穫する人びと
洪水の多い南スーダンのユニティ州にて、ハスを収穫する人びと Photo: WFP/Gabriela Vivacqua

回復力向上のもう一つの例として、移住してきたユニティ州の女性たちが挙げられます。彼女たちの土地は3年間水没していますが、今では、木炭や薪に代わる安全でクリーンな代替え品として、侵略的な雑草であるホテイアオイから調理用燃料を作るという地元の取り組みに参加しています。

南スーダンの人びとを早期復興に導くには、地域の問題に地域で解決策を見出す小規模農家を優先させる必要があります。このようなローカルな取り組みが全国で定着すれば、世界で最も若いこの国に平和と繁栄をもたらすことが容易になるのです。

南スーダンの人びとが温暖な気候のために直面している困難を乗り越える手助けをしたいと考えている人びとは、気候変動の衝撃に対する回復力を向上する取り組みを支援することによって、その手助けをすることができます。これは、南スーダンの人びとが自らの将来をコントロールし、将来の願望を実現するための最も確実な方法なのです。

国連WFPの南スーダンでの活動について

 

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