ドローンが変える?食料支援 災害時の強い味方!
つい最近まで、ドローンと呼ばれる無人航空機(UAVs)を使うのは、航空専門家と一部のマニアに限られていました。しかしコストが比較的安く小回りが効くことから、人道支援の場面でも活用され始めています。
緊急支援でリーダー的な役割を担う国連WFPもドローンを利用し、さらに有効な活用方法を探っています。ドローンはどこが「すごい」のか?5つのメリットをご紹介します。
1. 数分で準備完了、被災地へGO!
災害発生後、一刻を争う緊急支援。いち早く被災地に到達し、被害状況とニーズをつかめるかが、成否のカギを握ります。ヘリコプターや大勢のスタッフを集めた支援チームとは違い、ドローンは災害発生後、数分以内に稼働し、素早く詳細に調査をすることが可能です。
2017年に最大級のハリケーン・イルマとマリアがカリブ海を直撃した時、パナマにある国連WFPの地域事務所はドローンを使って、被災した家屋の数やどの道路が遮断されてしまったかを確認しました。データは重要情報として緊急対応チームに提供され、ドローンの潜在力の大きさが示されました。
2. 曇り空も何のその!雲の下から鮮明画像を撮影
最近まで、国連WFPは支援に必要な情報の多くを、衛星画像に頼っていました。衛星画像は多額の費用がかかり、撮影画像の取得も衛星の位置に左右されるため、必要な情報に常にアクセスできるとは限りません。画質も撮影時の雲の厚さなどに左右されます。
一方、ドローンは雲の下を飛ぶので、特定地域のデータをリアルタイムで入手できます。衛星画像に比べてコストも抑えられます。ドローンは、調査の信頼性・品質・スピードを高め、緊急対応をより効率化する可能性を秘めています。
3. 災害の事前予測に一役
ドローンは、災害が起きた場合の被害予測にも役立ちます。例えば、モザンビーク政府はドローンを使って、雨季と乾季の地上の様子を高解像度で撮影。両方の画像を比べることで、洪水被害を受けやすい地域を特定するようになりました。今後このデータを使って、豪雨の前に被災の恐れがある地域の住民を、安全な場所へ避難させようとしています。
4. 「見えないデータ」も届けます
ドローンが提供するのは、目に見える画像だけではありません。画像をソフトウェアで分析すると、農作物が順調に育っているか、土壌の栄養分が保たれているかといったことまで観測できるのです。国連WFPは、コロンビアで農作物の生育状況を調べるのにドローンを活用することを検討しています。
ドローン画像によって、農家は農作物の発育状態を即座に知ることができます。問題をいち早く察知して原因をつきとめ、対策を講じることにも役立ちます。
またソフトウェアで細切れの画像を統合し、広範囲にわたる高画像の地図を作ることもできます。この地図を使って、その地域の気候変動の傾向を分析したり、予測したりできるようにもなると期待されています。
5. イノベーションが変える人道支援
より長期化・複雑化している緊急時の人道支援。災害時、より的確で迅速な対応を実現するため、先端技術の役割はより重要になっています。
国連WFPは2014年から、人道支援分野でのドローンの活用に取り組み始めています。ベルギー政府の支援を得て、ミャンマー、ペルー、ドミニカ共和国、モザンビーク、ニジェールで、ドローン活用のための講習を実施しています。
最先端技術を、最も必要とする人びとのために役立てられるのが、人道支援の分野です。
国連WFPの最高情報責任者(CIO)・技術部門長のエンリカ・ポルカリは「緊急支援を効率化し、支援を必要としている人々をさらに力づけ、また現在、支援から取り残されている人々をすくい上げる。技術革新は、そのためのカギになるのです」と話しています。