私は小さな「スポークスウーマン」
セネガル、逆境はね返す女の子たち
セネガルのサヘル地域は、伝統的に女性の社会的地位が低く、多くの女の子が早すぎる結婚を強いられています。国連WFPは、生徒の男女比率が同じ学校に対して給食支援を実施し、なるべく多くの女の子を教育の場に留めようとしています。
支援する学校の一つでは、10歳の女の子が生徒会の広報を担当する「スポークスウーマン」を務め、リーダーとしての才能を磨いています。
セネガル北東部、モーリタニア国境近くにある町マタムは貧困率が高い上に、文字を読める人は4人に1人と文盲の人も多い地域です。女の子は特に立場が弱く、学校をやめさせられたり、早婚を迫られたりしがちです。
国連WFPは、マタム郊外などの750の小学校で、現金を通じた給食支援を実施しています。こうした小学校では女の子たちに、校内で中心的な役割を担うよう指導しており、10歳のダイアリーもリーダーの1人です。
「私は広報担当として、学校で気持ち良くすごすために生徒会が作った決まりを、生徒のみんなに伝えています」と、ダイアリーは説明しました。
幼いながらも、彼女は自分の役割の重みを自覚しています。生徒会は、6~14歳まで350人の意見を代表する組織です。生徒が清潔でいること、教室だけでなく、学校のさまざまな場所を掃除しきれいに保つことも、生徒会の重要な課題です。
しかしダイアリーの夢は、広報の仕事ではないといいます。
「私はお医者さんになりたいの。だって今いるお医者さんは、お金がないからって、村の貧しい子どもたちを診てくれないことがあるんだもの」
サヘルの多くの地域と同様、マタム周辺では気候変動の影響を受けて雨量が不安定になり、穀物の生産量が落ちて、栄養不良と飢餓に陥る人の割合が高まっています。
「私が通学できて、お昼には温かい給食も食べられるのはとてもラッキー」とダイアリー。そして同じくらいの年の子たちが、道で物乞いをさせられているのを見ると、悲しくなるとも話します。
「あの子たちは路上になんかいちゃいけない。親と一緒にお家にいて、もちろん学校にも行かせてもらわなくちゃ。子どもはみんな、学校に通って勉強して、より良い生活を送るべきだもの」。10歳の大臣はきっぱりと言いました。
生徒会にはダイアリーら7人の女の子と、6人の男の子がおり、女性会長であるファオー・ディオプが彼らをまとめています。食堂では、女子だけでなく男子も配膳などの仕事を分担しています。女の子が食事の世話をすべきだ、という社会の押しつけは、ここにはありません。
「全校生徒は一人ひとりが、学校を清潔で、健康的で、争いのない場所にするための役割を果たすべきだと思うんです。私は生徒会長の仕事ができて嬉しく思っているし、学校を代表して国連WFPの支援にお礼を申し上げます」。若きリーダー、ディオプは胸を張って言いました。