「食品ロス」削減レシピが学校給食を変える
世界の多くの国で、食品の約3割が廃棄されているのをご存知ですか?
その中の一つ、ブラジルでは学校給食を通じて、子どものうちから食品ロスに対する意識を高めようとしています。カギを握るのは、給食づくりの最前線にいる調理員の人たちです。
ブラジル南東部、ミナスジェライス州の小学校では、普通だったら捨てられてしまう野菜くず-ビート(カブに似た野菜)の葉の部分や、カボチャのつるなど-と鶏肉を使った混ぜご飯を、給食の献立に取り入れています。
考案したのは調理員のルチアーナ。「子どもたちの目を引き付けるような、カラフルで栄養のある献立を作りたかったんです。素材を使い切ることは健康に良いだけでなく環境にも優しいし、おいしくもある、ということを分かってもらえると思ったので」と、彼女は説明します。
このレシピができてから、この学校では調理のやり方が変わりました。調理員は、これまでゴミ箱行きだった部位を、別の献立に使って栄養を高めたり、彩りとして使ったりするようになりました。例えばニンジンや玉ねぎの皮はスープのだしになり、いくつかの料理に活かされました。ルチアーナが地域の栄養士と協力してレシピ作りを進めたので、食材を無駄なく使うアイデアは、近隣の学校にも広がっていきました。
カラフルライスについて、生徒の何人かは勉強の一環として調査を実施しました。その結果、生徒の9割以上が献立を気に入り、7割が、中身の野菜を全部おいしく食べたと回答しました。
また学校側はカラフルライスができてから、保護者たちを集めて会合を開きました。栄養士や教師、保護者が一緒に、野菜を丸ごと使い切り、栄養価も高めるにはどうすればいいかを話し合ったのです。
この会合の後、生徒たちは新しい食材、特に野菜を積極的に食べるようになったそうです。ルチアーナは「毎日、おいしくて健康的な給食を作るよう努力しています。食事を用意すると、子どもたちはみんな、とても幸せそうになります。彼らにも、私にも、世界にとっても良いことです」と話しました。
ルチアーナのカラフルライスは、彼女の人生をも変えました。
彼女は、ブラジルの国民教育開発基金や国連WFPの飢餓研究所が開催する学校給食コンテストで、最も優れた5人のシェフの1人に選ばれました。彼女は賞金を得て、初めてブラジリアを訪れました。「そこで新しい調理法を学べましたし、いろいろな地域の食事を味わい、たくさんの人と出会い、メディアの取材を受けました。生涯忘れられない、魔法のような時間でした」。
ブラジルでは、およそ4200万人が16万校に通い、給食を食べています。学校給食が提供するのは食事だけでなく、食料と栄養に関する教育も含まれています。
給食での食材調達や調理、配膳は子どもたちのお手本となります。このため調理員は、生徒たちが健康的で持続可能な食生活を送る上で極めて重要な役割を果たしているのです。
さて、日本でも、皆さんの作った「食品ロス」削減レシピ=「#ゼロハンガーレシピ」を、飢餓ゼロに結び付けるキャンペーンが始まります!
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