食料確保のための国連WFPの取り組み — ひと袋分の食料を一つずつ
国連WFPは、2020年度ノーベル平和賞を受賞しました。この賞により、食料の確保と紛争との関連を浮き彫りにする国連WFPの取り組みが認知されました。国連WFPは現在、新型コロナウイルス感染症のパンデミックによって課せられる困難に立ち向かい、世界の最も支援が届きにくく最も食料不足になりやすい地域に住む一億人近い人々に食料を届けています。
まずは購入リストを作る
国連WFPは、その国で援助する必要がある人達の数を把握します。これを基にして私達は彼らを助けるための最善の方法を考え、それに合わせ計画を練ります。現物での食料支援を提供するならば、どんな種類の食品を提供するべきか、そして人々が必要とするカロリーや栄養を確実に満たすにはどれだけの量が必要かを熟慮しなければなりません。
こういった流れは皆さんが毎週している買い物と少し似ているかもしれませんが、はるかにずっと大規模なものです。国連WFPの配給食料には、穀類、豆類、植物油、塩、砂糖といった標準品目が含まれていますが、子どもや妊婦などの特別なグループに対しては特別栄養食品も提供しています。
先を見据えて計画を立てる
計画は数か月前から作成され、国連WFPが食料支援を提供するすべての国で、計画プロセスが進んでいます。それをもとに国連WFPの調達・物流スタッフが、必要な食料をどのように購入して配布するかを計画し始めることができます。
どこで購入するかを決める
食品の価格は毎日変化するので、国連WFPは最新の情報を用いて最善の決定をするために、世界中の市場動向に後れを取らないようにしなければなりません。国連WFPは、40の異なった商品を88の国で購入します。現地市場や域内市場あるいは国際市場をじっくりと検討します。
ほとんどの場合、国連WFPは、一つの国に特定期間内で輸送、配達する費用も含め、最低の価格に決めます。しかし、提供者側の制約(現地での購入を求めることが多い)、製品入手可能性または遺伝子組換えでないなどの商品仕様といった、他の要因を考慮しなければならないことが多々あります。
入札を始める
国連WFPは、必要な食料の大部分は競争入札によって調達します。各商品には、数十の正規の売り主を記載した供給業者登録簿があります。それぞれの購入で国連WFPは、リスト上の供給業者に連絡を取って見積を依頼し、オファーを査定します。このプロセスをより効率的でコスト効果の高いものにするため、国連WFPはしばしば、特定の商品に対して予測されるニーズを現地事務所を当たって調べ、その総計額の入札を行ないます。
最善のオファーをしてもらう
「私達は現地で米を買う時、印刷して署名する必要のある用紙を使います。これはその後ヘリコプターで小規模農家へ送られます。」と、ハイチの調達官ロベルタ・カチョッポラは言います。「それから彼らはオファーを木の箱に入れて提出し、その箱は現地事務所に戻されます。」 これはかつて、国連WFPのすべての作業にわたって一般的な方法でしたが、テクノロジーのおかげで、そのプロセスはより速くよりわかりやすいものになっています。現在国連WFPは、世界の価格の比較からオンライン入札プラットフォームまで、6つの異なるオンラインシステムを使っています。それは私達が以前よりずっと効率的に食料を購入するのに役立っています。 オファーを受領した後は、もっと簡単になります。あなたが買い物をするときに製品の異なるブランド間で選ぶのと似ています。契約は、最高の品質に最安値を申し出た入札者に対して与えられます。それからその食品は、供給業者から国連WFPに引き渡され、私達が届けようとする人達のもとへと旅を始めるのです。
より大きな未来を描く
国連WFPが食料を購入する時、それは経済や社会の発展を刺激するのにも役立っています。これの例として、南スーダンがあります。国連WFPはここで政府と協力し、農業部門の成長と投資を推進するよう働きかけ、特に地方における農業の実績や食料の確保、人々の暮らしを向上させています。 現在そして将来に向けて南スーダンの人々を援助する取り組みの一環として、国連WFPは国内で購入する食品の量を拡大しています。
国内で食料を調達するのには、供給者の限られた生産力、整備されていない道路、不十分な収穫後処理といった障害がありますが、調達官のフィデリア・ウェケサはとても熱心です。「たとえ複雑さや困難に巻き込まれることがあるとしても、この『地元で買う』取り組みは、中期的にも長期的にも大きな価値をもたらします。」と彼女は言います。 国連WFPは将来を見据え、暮らしを変えることができるよう地域の共同体に力を与えて、彼らが自立と自給自足に向けて歩みを進めることを可能にしています。