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世界人道の日 中央アフリカ共和国で奮闘するプログラム・オフィサ― 山下美由紀

世界人道の日 中央アフリカ共和国で奮闘するプログラム・オフィサ― 山下美由紀
, WFP日本_レポート

8月19日は「世界人道の日」。紛争が続き、食糧不足が大変深刻な国連WFP中央アフリカ共和国事務所で勤務する職員、山下美由紀(やましたみゆき)をご紹介します。

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© WFP

現在のお仕事について教えてください。

中央アフリカ共和国では、紛争が続き、食糧不足が深刻です。国連WFPの緊急支援活動にはレベルが1~3までありますが、中央アフリカは、最も緊急度が高く大規模かつ複雑な、レベル3の緊急事態と位置付けられています。

国内では、深刻な飢餓が広がっています。この国では紛争前から食糧事情が悪く、3割の家庭は食糧難でした。

紛争開始後は、食糧が高騰するなどさらに状態が悪化。9割の家庭は一日一食となってしまいました 私は首都バンギで、避難民への緊急食糧支援、乳幼児やその母親たちの栄養強化、学校給食などのプログラムの担当をしています。雨期が始まる前には、作物の種と食糧の配給をFAO(国際連合食糧農業機関)とともに重点的に行いました。あまりに食糧不足が深刻で、人々は、作物を作るための種を食べなくてはならないほどの状況に追い込まれているためです。作付けができないと今年の収穫がゼロになってしまいます。これを防ぐために国連WFPは食糧の配布をしました。また、現在、特に食糧不足が深刻な地域を把握するため、緊急食糧事情調査を行っています。

大変過酷な環境の中で仕事をしていますね。

こちらの治安は悪く、バンギ市内では銃声が聞こえることもあります。局地的に殺し合いも行われています。国全体で治安が悪化し、食糧の輸送も難しくなっています。

中央アフリカにはなかなか世界の関心が集まらず、支援機関は資金不足に悩まされています。現場ではどのような思いで働いていますか。

中央アフリカでは、紛争で農業や畜産ができなくなり、これまでの食糧の備蓄も尽きています。 農業の崩壊とともに、経済全体が崩壊の危機に陥り、避難民だけでなく、国民全体が危機にさらされています。 近隣国にも難民が避難しており、地域全体が危機に見舞われています。そのような中、いかに効果的に、最も支援を必要としている人たちのところへ食糧を届けるか、また、状況に応じて柔軟に、例えば、食糧購入のため、食糧引き換え券や現金を支給するプログラムを導入をするかなど、見極めることが重要となっています。

国連WFPに入った経緯、前職と国連WFPに入ってからのご経歴を教えてください。

高校時代と大学時代を海外で過ごした後、日本に戻り民間企業で少し働きました。その後、国外でボランティア活動を行い、ジュニア・プロフェッショナル・オフィサー(JPO)派遣制度*に応募し国連職員としてのキャリアをスタートしました。国連WFPに勤務して7年になります。JPOとして勤務したのは、1年半でしたが、様々な経験を積むことができたので有意義でした。国連WFPが自分にとって働きたいと思うような組織かどうかが分かりましたし、また、人道・開発分野に引き続き関わっていきたいという自分の気持ちも確かめることができました。

どの赴任地も、大変な現場だと思いますが、印象に残っている仕事を教えてください。

受益者や昼夜問わず一緒に働いている仲間達と過ごしている時間は、どれも思い出に残るものです。もちろん、仕事がうまくいった時に自分のチームメイトと喜びを分かち合うのも楽しみです。

国連WFPで仕事をするにあたり、日本人であることについてはどう感じますか。

私自身、あまり日本人として強く意識したことも、それが強みだと感じたこともありません。ただ、日本人に生まれたことは、幸運だったと感じます。日本には豊かな文化があり、日本人の規律の正しさや勤勉さというのは誇れるものです。ただ、他の国でもこういった美徳は見られます。海外で働く日本人として私が大切だと思うのは、異国において感じる違いや困難さにも動じない鈍感力を身につけ、相手を理解することだと思います。また、交渉事や議論をうまく進めることができる、コミュニケーション能力(語学力という意味ではなく)を伸ばすことも大切だと思います。

日本では、幸運にも子どもの頃からきちんとした教育が受けられ、将来の選択肢があり、海外にも行くことができます。その上、JPO制度により国連で働ける機会もあります。ぜひ、経済的に苦しい家庭環境の人にも機会があるよう、日本の政府や社会は奨学金や他の形での支援を今後も続け、意思ある人に、挑戦への機会を与えていただきたいと思います。

*国際機関で働くことを希望する若手邦人を、日本政府の経費負担で原則2年間、各国際機関に派遣する制度