シエラレオネの女性農家たち
ハウィナトゥ・サンノーは生涯を農作業に費やしてきました。家族を養うため土地を耕すなどの重労働もいといません。豊かな土壌に恵まれたシエラレオネ南部プジュンの農村では土地は暮らしの糧です。しかし、それは数多くの小規模農家にとって、過酷な暮らしでもあります。
ヘレブの農民グループの議長を務めるハウィナトゥは言います。
「以前は収量も少ない小さな田んぼで米を育てていましたが、WFPの支援のおかげでずっと広い土地を得られ、ずっと多くの米を作ることができます。」
ヘレブの農民グループは男性が110名、女性が90名を占め、日本政府の拠出によるWFP食料支援プロジェクトに参加して米を育てるのは今年で2年目になります。
米はシエラレオネの主食で、キャッサバやヤシ油とならんで農家にとって最も重要な作物です。しかしながら、現地産のコメが広く好まれているにもかかわらず、シエラレオネは外国からの米の輸入に依存しています。シエラレオネの農業はハウィナトゥたち小規模農民が大部分を担っていますが、水田インフラや栽培技術が不足しているため生産性が低いこと、せっかく生産しても保存設備の不備や市場から遠く、売ることが難しいことなどから、貧困の悪循環から抜け出すのが困難です。
このような問題を解決するため、WFPとシエラレオネ農業森林省は日本政府の拠出で、参加型フードフォーワーク食料支援、農具、改良種子、肥料を供与、研修も施し、沼地を開墾して小規模灌漑施設を整え、通年で米や野菜を栽培できる農地にする手助けをしています。今年は、ハィナトゥのような農家2600世帯を対象にボンバリ、ポートロコ、プジュン県48か所で支援を行い、414ヘクタールを整備しました。
支援の対象となったヘレブなどの村ではコメの生産量がヘクタール当たり0.6トン2トンに増えるなど目に見える良い結果がではじめています。
ハウィナトゥによると「売れたコメから得られる利益をグループ内で分け合い、さらに共同で子どもたちの学用品を買ったり、病気になった時に備えて薬を買ったりしたりしています。」
小規模農家、特に女性の地位向上は農民が人口の大半を占め、農業が国民総生産の多くを占めるシエラレオネの開発にとって非常な重要な要素です。このようなプロジェクトを通じて農村の女性は集団で活動を計画・実施し、作物を販売して収入を管理したりするスキルを身につけていき、ひいては農村社会の活性化へとつながっていきます。それがシエラレオネの食料不足を解決する着実な一歩になります。