学校給食の日―カンボジアの子どもたちに力を与える校長先生
イアム・ソカンさん(45歳)は、カンボジアで約20年間、学校給食プログラムの実施を監督してきました。現在は、シェムリアップ州アンコール・トム地区にあるDoun Aov小学校の校長先生を務めています。この小学校は全校生徒412名で、その約半数が女子生徒です。
国連WFPは、1999年からカンボジア政府の学校給食プログラムを支援し、908校で展開してきました。2014年には、いわゆる地産食材による学校給食プログラム(Home-grown School Feeding Programme)が始まりました。
これにより、地元の生産者から学校給食の食材を購入できるようになり、地域経済の活性化と雇用の創出につながりました。
「地産食材による学校給食は、地元のコミュニティがより能力を高め、より自立することを促します」とソカン校長先生は言います。「私たちは、入札プロセスを運営し、地元の小規模農家たちともっと交流し、そしてもちろん、もっと自立しなければなりません。」
「学校給食のおかげで、子どもたちは集中力が高まり、成績が良くなり、学校に来るのが好きになり、学校に恩返しをしたいと思うようになります」と彼女は付け足します。
ほとんどの児童が教師になりたいと思っています、と彼女は言います。
学校給食は、子どもたちに力を与えるだけでなく、子どもたちと教師の間に絆をもたらします。そして、給食にはもうひとつの役割があります。
「学校と保護者のつながりが強まっています」と彼女は言います。「今では保護者は学校や栄養についてよく知っていますし、頻繁にミーティングに参加して、学校が何を必要としているかを聞き、さまざまな形で貢献してくれています」。
「最も貧しい保護者でも寄付をし、学校の調理師への給料や、薪や油、食料品などを買うためにお金を出したりしています。また、学校の調理場を建設するときなど、学校が必要とするときにはボランティアとして参加してくれました。」と、ソカン先生は付け足します。
「学校給食を促進することで、学校への信頼感が高まります」とソカン先生は言います。この学校は、仕事で通勤時間が長い親が子どもを預けるのに便利な場所にもなっています。「私たちを信頼してくれているので、とてもやりがいがあります。」
このプログラムが始まる前は、保護者と教師はあまり会っていませんでした。学校で誰が教えているのか、校長が誰なのかさえ知らない人もいました。
ソカン先生も、このプログラムが彼女の人生にも変化をたらしたことを認めています。
「このプログラムがなければ、私は典型的な校長になっていたでしょう。子どもたちに教えたり調整したり、その他の学校の責任を果たすための業務に忙殺されていました。でも、このプログラムのおかげで、私はもっと影響を与えることができ、活力が沸いてくる気がします。」と彼女は言います。彼女が受けた研修では、衛生、栄養、簿記などのテーマが取り上げられました。
カンボジアで開発された学校給食プログラムは、わずか数カ所の試験的な場所でスタートしましたが、現在では200校以上の学校に拡大しています。このようなプログラムは、親が子どもを学校に通わせる動機付けになるとともに、子どもたちの食生活を多様化し、よりよい学習環境を整えることができます。
「学校給食を実施するかしないか、それは私にとってそれは問題ですらありません」とソカン先生は言います。
「私が生まれ育った1980年代には、このようなプログラムはありませんでした。友達と一緒に長い距離を歩いて学校に通っていました。早朝、家ではお粥や夕食の残りなどを食べていました。学校では、お菓子を買うことができる子どももいましたが、お金を持っていない子どももいました。だから、家に帰れるようにベルが鳴るのをひたすら待っていました」と彼女は言います。
国連WFPは、カンボジアで開発された学校給食プログラムを政府の管理下に完全に移すことを目指しています。
また、ソカン先生の学校は、通常の半日授業ではなく、昼食をとりながら午前と午後の両方を勉強する全日授業の実施校に選ばれています。
「今年は国連WFPの学校給食からカンボジア政府の学校給食実施に移行する最初の年です。もちろん、課題もありますが、私たち(教師、保護者、政府、国連WFP、その他のパートナー)が一緒になれば、若い世代を育てるための正しい方法を見つけられると信じています。」
国連WFPのカンボジアで活動について